グレイス・ジョーンズやジョニー・グリーンウッドも賞賛
ザ・スマイルのドラマー、トム・スキナーがソロ名義1stアルバム『Voices of Bishara』発表
2022.09.09 15:30
Photo credit: Andre Baumecker
2022.09.09 15:30
このレコードは、不正直さと偽情報が増加する時代に、コラボレーションとコミュニティを通して、何か真実のものを世に送り出す試みである。”Bishara”とは良い知らせをもたらす者であり、このアルバムに参加するミュージシャンは、私にとって非常に大切な存在で、この考えを尊重し、集団で暗闇が広がるところに光を広げるのである。 – Tom Skinner
ドラマーでありプロデューサーでもあるトム・スキナー。レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドと共に組んだバンド、ザ・スマイルやUKジャズの最高峰と言われるロンドンを拠点に活動するテナー・サックス奏者シャバカ・ハッチングスのサンズ・オブ・ケメットでの活動でも知られる鬼才として名を馳せているが、そんな彼がトム・スキナー名義では初となるアルバム『Voices of Bishara』を発表。同作から新曲「Bishra」が公開されている。
今作は、数多あるレコーディング・セッションを編集し、タフで魅力的な新しいサウンドを実現した無駄のない美しいアルバムとなっている。タイトルは、スキナーが隔離期間に繰り返し聴いていたチェリスト、故アブドゥル・ワドゥドの1978年のソロ・アルバム『By Myself』にちなんでいる。ワドゥドのアルバムは彼自身のレーベル〈Bisharra〉から自主リリースされたもので、スキナーの作品タイトルではアラビア語の綴りを使用しているが、どちらも同じ意味を持っており、「良い知らせ」または「良い知らせのもたらす者」と訳されるとのこと。
『Voices of Bishara」の制作はトム・スキナーがロンドンのブリリアント・コーナーズで行われたセッションにミュージシャンの友人たちを誘ったところから始まった。このレギュラーイベントは、クラシック作品をフル再生し、それに対して即興で応えるというシンプルな形式をとっている。その夜は、ドラマーのトニー・ウィリアムスが1964年にリリースした作品『Life Time』に焦点を当てて行われ、彼と彼の友人たちが作り出した音楽は、Skinnerにアルバム1枚分の新曲を書かせるほど特別なものとなったという。
スキナーは、チェロ奏者、ベース奏者、サックス奏者2人とともに、全員が同じ部屋にいる、クラシックなスタイルで本作をレコーディング。彼はその音楽を家に持ち帰り、他の多くのプロジェクトの合間に編集を行い、その後スタジオ録音で徐々にアルバムを形づくっていった。
ハサミを自由に使って、楽器間の編集を徹底的にやり始めた。そうすると、音楽に新しい命が吹き込まれたんだ。私は、セオ・パリッシュのように、曲を切り刻んだり、セクションをループさせたりする偉大なディスコのリエディットからヒントを得たんだ。私は純粋主義者ではない。過去にとらわれたくないんだ。音楽をいじくりまわして、何が起こるか見るのは本当に力になった。それが正しいことだと感じたんだ。 – Tom Skinner
その結果、タイトでヒプノティック、そして唯一無二な音楽が完成。『Voices of Bishara』は、時代を超越した深く感情的な音楽で構成されており、チェロとベースが織りなす深いハーモニーによって、豊かな音世界に深みと質感を与えている。もちろん、グレース・ジョーンズからジョニー・グリーンウッドまで様々なアーティストが賞賛を送るスキナーのパーカッシブなリズム・マジックも収められている。
私たちは個々の声であり、集合的に集まっている。このアイデアは、私たちが集合することで、よりポジティブな何かをもたらすことができるというものだった。何かの始まりなんだ。 – Tom Skinner
『Voices of Bishara』は帯付きの日本流通仕様盤のCDと輸入盤CD、そして輸入盤LPとデジタルで11月4日に発売される。