ヒップホップで社会を生き抜く! 第2回
アンダーソン・パークの人生から学ぶ「ハッスル精神」〜ホームレスから世界的スーパースターへ〜
2022.07.21 13:00
Anderson .Paak & The Free Nationals: NPR Music Tiny Desk Concert
2022.07.21 13:00
ドクター・ドレーとの出会い
アンダーソン・パークにとって大きな転機となったのが、ドクター・ドレーとの出会いである。Knxwledgeとのコラボ曲「Suede」を聴いたプロデューサーのDJ Dahiと、ドクター・ドレーのレーベル<Aftermath Entertainment>のA&Rを務めるTy Cannonがある日、アンダーソン・パークに「DJ Dahiとドクター・ドレーがやっているプロジェクトがあるんだけど興味ある?」と電話した。
当時のドクター・ドレーといえば、『Detox』というアルバムを10年以上リリースすると言いつつ、お蔵入りにしていたため、多くのファンがもうアルバムを出さないのであろうと考えていた。アンダーソン・パークも、この電話を受けたとき、「ドクター・ドレーのプロジェクトというのは多分嘘だろうけど、DJ Dahiと仕事ができるならやりたい」と思っていたようだ。
しかし約束のスタジオに行くと、そこにはドクター・ドレーと、彼の長年の共演者のD.O.C.がいた。しかし、ドクター・ドレーはアンダーソン・パークの曲を聞いた事がなく、その場でドクター・ドレーに「Suede」を聴かせることになったようだ。ドクター・ドレーは、無言で「Suede」を3回聴き、アンダーソン・パークは「アドリブで歌わせてくれ」とドクター・ドレー頼んだようだ。そのときにアドリブで歌った楽曲がドクター・ドレーの『Compton』に収録されている「All In The Day’s Work」となり、アルバムにも6曲参加することになった。
その翌年の2016年に、数年間制作していた『Malibu』をリリースし、アンダーソン・パークの名はまたたく間に世界に広がった。
Dumbfoundeadのように信じてくれる仲間、そしてドクター・ドレーのようなレジェンドと出会い、世界的なアーティストになったアンダーソン・パークであるが、彼の活動から学べることは多い。まずは人と繋がり、ローカルシーンからサポートされる人になる。そして、人と出会ったときに、自身のスキルやスタイルを見せることができるように、スキルを磨き、制作に励むということであろう。そのためにも、アンダーソン・パークが毎朝Dumbfoundeadの家で作業していたように、自身が本気であることを見せ、ヴィジョンを信じてもらうことが重要なのだろう。
アンダーソン・パークも2016年のインタビューにて「もし5年前にドクター・ドレーに呼ばれていたら、準備ができていなかっただろう」と語っている。アンダーソン・パークのキャリアを顧みると、その「準備」ができていることの重要性がわかる。
(Source)https://youtu.be/zhvRKhmUovs
https://www.theguardian.com/music/2016/apr/10/anderson-paak-interview-malibu-dr-dre
https://www.complex.com/music/2018/05/anderson-paak-on-meeting-dr-dre