2026.04.13 18:00
2026.04.13 18:00
異次元な人間でいたい。はにかむように笑って、彼女はそう宣言した。
2022年のデビュー以来、加速度的に注目を高める片岡凜。そのユニークなキャラクターはもちろん、ドラマや映画で見せる鮮烈な存在感は、文字通り異次元。他の誰にも似ていない唯一無二の道を、彼女はもうすでに歩みはじめている。
公開中の映画『鬼の花嫁』で演じるのは、ヒロイン・柚子の妹である花梨。“妖狐”のあやかし・瑶太の花嫁として、権力を笠に柚子を攻撃し続ける花梨だが、柚子が“鬼”の一族の次期当主・玲夜に見初められたことから、立場は逆転。花梨は、柚子に嫉妬の炎を燃え上がらせる。
欲望によって、人は鬼よりも恐ろしい生き物になる。だが、片岡自身は自分のことをあまり欲深いとは思わないという。謙虚な彼女の中にたぎる数少ない欲──それが、唯一無二の表現者になりたいという果てなき野望だった。

お芝居の楽しさは、片岡凜じゃない誰かになれること
──片岡さんの演じた花梨、とても憎たらしいキャラクターに仕上がっていました。ぜひお芝居の裏側を聞いていきたいのですが、たとえば柚子が友達からもらったネックレスを奪うシーン。あそこで、「あ〜げない」と言って柚子の頬にキスをするのは、台本に書いてあったんでしょうか。
あれは書いていなかったです。私のアドリブでした。
──どういう意図からあのアドリブが生まれたんですか。
柚子は花梨がどれだけいじめても反抗してこない。そういうお姉ちゃんに、花梨はちょっと甘えている部分もある気がしたんです。花梨は花梨で花嫁であることへのプレッシャーを抱えていて、そのストレスを吐き出せる相手が、お姉ちゃんだった。言葉にするのは難しいんですけど、自分の言いなりになってくれるお姉ちゃん大好き、みたいな感情を表現したいなと思って、ああいう形になりました。
──すごく小悪魔的でした。
ありがとうございます。お姉ちゃんに対して憎しみを持っているけど、愛情もゼロなわけではないんですよね。花梨のお姉ちゃんに対する気持ちは、そうした相反する感情が入り混じったものだったと私は解釈しました。

──じゃあ、「一生許さないから」とあっかんべーをするのも、やはり片岡さんのアドリブで?
そうですね。まずお姉ちゃんと話すときは、しゃがんで下から見上げる感じにしようと思って。そのほうが、花梨が柚子を見下している感じがわかりやすく伝わるかなと思ったんです。
──そこって2パターンある気がして。ふんぞり返るような形で柚子を見下ろすという構図もあり得たと思うんですね。でも、片岡さんは下から見上げる方法をとった。
下から行ったほうが、嫌でも相手の顔が見えるじゃないですか。相手を馬鹿にしたりナメてる人って、たぶん相手の嫌がってる顔を見たいと思うんです。それで、下から行こうと。
──面白い。そういうのって事前に台本を読んでいるときに画が広がっていくんですか。それとも現場のインスピレーションで?
ほとんど現場ですね。もちろん台詞や感情の流れは事前に台本を読んで、しっかりと把握していきます。でも実際に自分がそこでどう動くかは、その場に立って相手とお芝居をしてみないとわからない。だから、現場で流れている空気を大事にしています。
──そういうとき、自分から仕掛けるのは好きですか。
大好きです(笑)。いっぱい仕掛けます。

──本編を観ても、すごくいろんな試みをされているから、観ていて目が離せませんでした。
ありがとうございます。まず自分がいろんなバリエーションを提示することが大事だと思っていて。その中から、より良く見えるものを監督と相談していくことが、今の私のやり方なんです。今回も、池田(千尋)監督がとても心強い方だったので、現場でたくさんご相談させていただきました。
──片岡さんは、お芝居をするのが楽しいんだろうなというのが伝わってきます。
楽しいです。お芝居をしているときがいちばん幸せだなと感じます。
──お芝居がそんなに楽しいのは、自分がどういう人間だからだと思いますか。
本来の片岡凜じゃない誰かになれることがすごく楽しくて。それがいちばんのベースかなと思います。私だったらしないことができたり。花梨みたいに人をいじめる役を演じるのも、役者でなかったらしないので(笑)。
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