ディズニー&ピクサー『わたビバ』参加への喜びと共感を語る
芳根京子の笑顔を支える思考術。心をポジティブで満たす、母ゆずりのメソッドとは
2026.03.24 19:00
2026.03.24 19:00
屈託のない笑顔で取材現場に現れ、まるで壁なんてないように人懐っこく周りとの距離を縮めていく。その天真爛漫な様子を眺めていたら、なんだか彼女があいくるしい小動物のように見えてきた。
ディズニー&ピクサーの新作『私がビーバーになる時』で芳根京子が演じたのは、小さい頃から動物が大好きな大学生・メイベル。おばあちゃんとの思い出がつまった森が、高速道路の建設によって壊されてしまうと知ったメイベルは、大切な場所を守るために奮闘。ビーバーとなって、森の動物たちと共に大騒動を巻き起こす。
好きなものに一直線。感情豊かでパワフルなメイベルに対し、芳根京子は「共感できた」と語る。確かにくるくる変わる表情は、キュートなビーバーそのもの。弾むような声で話す彼女を見ているだけで、気づけばこちらまで気持ちが明るくなる。
文字通りの“元気の塊”。ビタミンCみたいな芳根京子の笑顔を支えているのは、大好きな動物と心癒す自然、そして愛する母からの教えだった。【記事最後にプレゼント情報あり】

意識しているのは、役の芯がブレないこと
──今回の役はオーディションで射止めたと聞いています。10年以上のキャリアを持つ芳根さんでもやっぱりオーディションは緊張しますか。
緊張します! オーディションを受けたときも緊張しましたし、合否が出る間もずっと緊張していました。だから、合格の連絡をいただいたときはすごくうれしかったです。
──合格の連絡はどういうシチュエーションでもらったんですか。
ちょうどそのときお仕事でヴェネツィアに行っていたんです。船に乗るために列に並んでいた時に、マネージャーさんから「決まりました」と教えてもらって。その場で「えー!」と声が出ました。もし日本だったらあんなに大きな声で叫べなかったかもしれませんが(笑)、ヴェネツィアの真ん中で「やったー!」と大喜びしました。
ディズニー&ピクサーの作品に携わらせていただく事は、ずっと夢でした。でもまさか自分が主人公の日本版声優を務めさせていただけるなんて思っていなかったですし、しかも主人公はビーバー。私は動物が大好きなので、動物がたくさん出てくる作品というのも、勝手ながら運命を感じました。
──それだけ動物がお好きなんですね。
大好きです。ちょっとタイプは違いますけど、家にはフェレットがいて。ビーバーとフェレットは似ているわけではないんですが、くりっとした目の感じとか、茶色くてもふもふなところとか、共通点はある気がしています。勝手に親近感を抱いていたので、自分がビーバーになれるということもうれしかったです。
──そんなビーバーをはじめ、可愛い動物がたくさん登場します。芳根さんのお気に入りのキャラクターはいますか。
ローフが好きです。厳しい動物の世界を描いている本作の中で、ローフはマイペースなのんびり屋。そんな他の動物たちとちょっとリズムが違うところがシュールで笑えて、癒し効果も抜群のキャラクターだなと思いました。
──現実の世界でもあれくらいのんびり生きられるといいですよね。
私はどちらかと言うとメイベルみたいな猪突猛進タイプなんです。ところどころ「大丈夫かな?」とハラハラしたりもしましたが、おばあちゃんとの思い出の森のために一生懸命になるところは共感できました。想いの強さがちゃんと伝われば、お客さまにも共感していただけるんじゃないかなと思って臨ませていただきました。
──芳根さんの演じる役は、いつも観ている人たちが愛着を持てるキャラクターになっていると思います。役が愛される人物になるために心がけていることはありますか。
もちろん自分の演じたキャラクターを愛していただきたいという気持ちはあります。でも、実際に愛していただけるかは、受け取るみなさん次第で、愛の強要はしたくないなと思っています。
私が意識しているのは、ちゃんと筋が通っているかどうかということ。そのキャラクターが何を大切にしているのか。何を守りたいと思っているのか。そこがブレてしまうと、観て頂いている方たちも共感できなくなってしまう。だから、キャラクターのいちばん大事な芯の部分がブレないように演じようと心がけています。
メイベルはそこがすごくはっきりしているんですよね。動物に対する愛やおばあちゃんに対する愛。そうした愛が、メイベルの軸になっていました。

──声はどうでしょうか。普段のお声より少し低めなのかなと感じたのですが。
そうですね。台詞量の多い役だったので、あまりキャンキャンした声だと耳にしたときに引っかかる気がしたんです。ですので、監督とお話しさせていただいて、普段より少し低めの声にして、その分、メイベルの勇ましさが伝わればいいなと思っていました。
──体を使う普段のお芝居と、声だけで感情を表現する吹き替えのお仕事。出力は違う気がするのですが、このあたりはいかがですか。
普段のお芝居だと、体に伴って声を出すので、体の動きによって予期しない言い方や声のボリュームになったりすることで、それがお芝居としてもリアルな表現になるんですが、声の場合は、映像を見ながらちゃんとこの言い回しにしよう、このボリュームで当てようというふうに狙いを定めていかなければいけません。そこが大きな違いかなと思います。
いつも声のお仕事をいただくたびに、声優さんはすごいな、と尊敬します。私は、声を張ろうとするとやっぱり体を使わないとなかなか出せなくて。メイベルがわあわあと言うシーンは、いつも体に力が入って右手がグーになっていました。でも、声優の方たちは力まずとも力んだような声が出せる。それは見ていて感動するものがあります。
あとは難しかったのが、小さな声を出すときです。普段のお芝居だと拾ってもらえる声量が、アフレコだと聞き取りにくくなる。そのさじ加減が難しくて、小さい声なんだけど張っているという声の出し方には苦戦しました。
でも、よく考えると普段のお芝居もそうなんです。感情を大きく出すお芝居より、声を抑えて、でも役の心情はしっかり届けるお芝居のほうが、ずっと難しい。そこは通じるものがあるなとも思いました。

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──溺れかけるシーンとか、どうやって声を出すんでしょう。
あそこは実際に口に水を含んで声を当てていました。他にも鉛筆をくわえているシーンは自分の指をくわえてみたり。そういういろんなテクニックを教えていただけたのも面白かったです。
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