舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で奮闘中の近況を語る
ハプニングさえも一期一会。松井玲奈がロングラン公演への初挑戦で得たものとは
2026.02.20 17:30
2026.02.20 17:30
客観的に自分の役を見られたことがすごく大きかった
──先ほど「裏側」の話がありましたけど、この作品はイリュージョンがふんだんに使われているのが他の舞台作品と違うところですよね。それだけに稽古も大変だったとお伺いしたのですが、いかがですか?
“魔法のお勉強”です。どれだけ注意を払っていても、タイミングが本当に小さくズレただけで、うまくいかない時があったりする。そうならないか、常にドキドキしながら本番に立っています。

──その“魔法”の部分があるからこそ、『ハリー・ポッター』シリーズを知らない人でも楽しめるエンターテインメントになっていると思うんですね。舞台に立たれている方からは、客席の反応は感じますか?
感じます。大人の方たちが息を飲む、というのももちろん伝わってくるのですが、お子さんが多い公演の時などは、魔法のシーンのたびにシンプルに「わぁっ!?」という声が聞こえてくるんです。そういう声が聞こえてくると「ああ、すごく楽しんでくれているんだな」と感じます。
──それこそ松井さんは、リアルタイムで『ハリー・ポッター』シリーズと育ってきた世代ですよね。大人になって関わると、この舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に描かれている物語や世界観にグッとくるところはありませんか?
そうなんです。『ハリー・ポッター』シリーズが好きであれば好きであるほど、この舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の中に散りばめられている作品同士の繋がりの部分が楽しめるんですよね。セリフ一つ一つの中に「あ、これってあの作品のあの時のことを言ってる?」みたいな、パズルのピースがそこかしこに散りばめられている。自分で脚本を読んでいても、舞台でみんながお芝居している声を聴きながらでも、「あーそうだ、ここってあのシーンと繋がっているんだよなー」と感じたり、ふとした瞬間に気づいたりすることがあります。すごくそれが面白いです。

──長く関わる中でもそういった気づきが得られるというのは、醍醐味ですね。
そうなんです、というのも演出補のエリックが、お稽古の最初の時にこの「全てのシーンがこれまでのシリーズと繋がっている」という話をしてくださったんです。それを考えながら台本を読み込むとまた面白いですし、観に来てくださるお客様たち……特に日本の『ハリー・ポッター』好きのお客様は、そういったリンクしている言葉一つ一つをしっかり拾っていくはず。だからこそ自分たちもそれを知っておいて、さらにそれをお客様と共有するという気持ちでセリフを届けられると一番いいよね、と。なのでセリフを話すときも、言葉に込められた過去作とのつながりや意味は常に意識して、考えながら演じるようにしています。
──ハーマイオニー役はトリプルキャストですが、トリプルキャストで演じることの面白さや、逆にプレッシャーなどはあったりしますか?
プレッシャーはもちろんあります。「自分のハーマイオニーってどう見えているんだろう?」みたいなことを最初は考えていましたが、その時の公演を見に来てくださった方に、今一番私ができる、私らしいハーマイオニーを届けられたらいいなと思うようになってからは、だいぶ気持ちが楽になりました。
また、お稽古の時も“客観的に自分の役を見られる”時間が持てたのがすごく大きかったです。これまではシングルキャストの作品しか出たことがなかったので、舞台に立っている自分を記録映像でしか見られなかったんです。でも実際に目の前で生身の人が自分と同じ役を演じていて、それに対して演出がついたりすると、自分自身も役を理解するのが早くなるというか、「やりたいことってこういうことなんだ」というのがすんなり自分の中に落とし込める。他のキャストの方たちと「どういうふうに思ってこのシーンを演じているか」だったり、「お互いどう見えていたか」というのを共有できる時間もあったので、そういう意味ではとてもお芝居の勉強にもなりましたし、トリプルキャストでよかったなと思います。

──皆さん、結構コミュニケーションを取られてるんですね。
本番に入ってからは、マチネ・ソワレ間のすれ違いぐらいでしか会えないのが残念なのですが。でも「今日どうでした?」「もう聞いてよー、こういうことがあって!」と井戸端会議が急に始まったりします。
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