11年磨き上げた俯瞰力で主演舞台『FFBE幻影戦争2』に挑む
初心を忘れず、自分なりのベストを積み重ねたい。M!LKリーダー・吉田仁人の人生哲学
2026.02.03 19:00
2026.02.03 19:00
努力が何かわからない。ただ好きだからやっているだけ
──続編ということで、きっといろんなところが前作よりパワーアップしているんじゃないかなと思います。モントに関して、今回はどんなふうに見せていきたいと考えていますか。
今作は、モント以外のキャラクターにも華々しくスポットが当てられているんですね。新たに登場するキャラクターの紹介もあって、彼らがどんな想いで生きているのか、しっかりと描かれている。個性的なキャラクターの背景を見せつつ、王としてのモントが物語の軸としてブレずにいることが今回は大事なのかなと思っています。

──モントは、吉田さんにとって感情移入しやすいキャラクターですか。それとも自分とは遠いところにいるキャラクターだなと感じますか。
モントの争いを好まないところは共感できるし、仲間に対する思いもすごくわかるなって思います。ただ、僕とモントで大きく違うのは、困難に対峙したときの姿勢。僕は総合的に見てリスクが高いなと思うと、じゃあ今はやめておこうって冷静に判断するところがあるんですけど、モントは困難に対し、いつも以上のパワーを発揮してぶつかっていく。そうやって自分で自分の熱量を上げられるところがモントのすごいところだし、僕もそうできたらいいのになと思いますね。
──今のお話を聞いていると、吉田さんはあまり自分のことを主人公タイプだとは思っていない?
思ってないですね。僕が知ってる主人公って、誰かのために動ける人。僕は、自分が何をできたかに重きを置いてる人間なので。結果として、自分のためにやったことが、誰かにポジティブな影響を与えていることはあるかもしれないけど、自分がそうしようと思ってやったことじゃないから。そんなに主人公タイプだとは思わないです。
──グループでいるときもそんな感覚ですか。
それが、うちは他の4人が圧倒的に主人公タイプなんですよ(笑)。色は違えど、積んでるエンジンは一緒みたいな。四者四様の主人公感がある。そういうメンバーとスタッフさんとの橋渡しをすることが僕の役割なのかなと。

──いい意味で俯瞰しているところがあるような。
そうですね。だから、時々自分の素直な感情がわからなくなるときがあるんですけど(笑)。グループのときは、みんなの言ってることを整理整頓する役割を買って出てるところはありますね。
──それこそ去年の紅白歌合戦への初出場が決まったときの動画とか、めちゃくちゃ落ち着いていましたね。
あれはもう周りが喜びすぎて、僕の感情までドレインされたみたいな感じで(笑)。「どういうこと?」しか出てこなかったですね。そういう過ごし方を数年していた結果、素直に感情を出すことをしなくなりはじめている自分がいて。それが不思議だなと思いつつ、まあいいかって感じではあります。
──そういうことを踏まえた上で、こうしたソロの場は意識の面でも居方の面でも違いはありますか。
一人のときは、より誰かを頼るようになります。音楽にしても、お芝居にしても、ソロでやってるときは成長途中という意識が強くて。本当はもうちょっと胸を張りゃいいのになって自分でも思うんですけどね。ずっと、なんか足りていないんだよなっていう気持ちがあって。グループでいるときよりも、人に力を借りることは多い気がします。
──そもそも俳優業は吉田さんの活動の中でどういう位置づけでしょうか。
グループとは違う表現者としての仕事っていう認識ですね。これまでもお芝居に関しては何回もオーディションを受けてきました。でも、全然受からなくて。そんな僕がこうしてお芝居をさせてもらえる場があることに単純に感謝があるし、少しずつグループではない僕に対しても需要が生まれているんだと思うと、ありがたくもある。だからここで絶対にベストパフォーマンスを出したいって気持ちは強いです。

──『女優は泣かない』という映画で吉田さんのお芝居を拝見したとき、すごくナチュラルにその場にいる方だなって思いました。
僕のお芝居の基本スタンスが馴染むなんです。台本に書かれていることをちゃんと表現することをいちばんに考えていて。だから、台本を読んでいて、「これは自分と違うな」って引っかかることがない。あくまでこの台本が何を届けたいのかが大事で、そのためにじゃあ自分の役はこういう感じでいたほうがいいかなって頭で組み立てて、実際に現場で共演者のみなさんとの温度感を確かめながら、自分はどこにいたらいいだろうということを考えていく。本当、駒なんです。
──やっぱり俯瞰思考が強めなんですね。
基本そうかもしれないです。主観で動くことが、仕事ではほぼないかもしれない。常にバランスを見てます。
──はたから見てると、吉田さんは努力家の印象が強いです。それこそ音楽の話になりますけど、M!LKの活動を始めたばかりの頃は、突出して歌がうまいというわけではなかったと思うんです。どちらかと言うと、ダンスの人というイメージで。
そうですね。事務所も最初はダンスで入ったんで、歌はそこまでうまかったわけではないです。
──それがよくここまで歌唱力を磨き上げたなと。
好きなんでしょうね。よく「努力」と言っていただくんですけど、僕は努力って何か、あんまりわからないんです。好きだから、うまくなりたい。うまくなりたいから、練習する。本当それだけって感じで。ガンプラと同じです。

──ガンプラ?
めっちゃ時間をかけて綺麗に組み立てたガンプラに対して、見た人が「めちゃくちゃ苦労したでしょ?」って言うけど、本人は苦労と思ってないんですよね。趣味だから。僕にとって音楽もそういうところがあって、趣味を超えた仕事みたいな感覚なんです。だから、磨き上げるのも全然苦じゃない。それこそ数年前の自分の歌声とか「聴いてらんねえな」ってなりますし、「今ならもっとできるけどな」ってなる。そう思えることが好きだし、楽しくて、やっているんだと思います。
──吉田さんにとって「頑張る」ものではないんですね。
「頑張る」って思ったことはないですね。音楽に関しては、ただやりたいっていう気持ちがすべてです。
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