稲葉友ら共演で福原充則が脚本・演出続投、コメントも到着
主演は安田章大から松田元太へ、演歌歌手目指す青年を泥臭く描く舞台『俺節』9年ぶり上演決定
2026.01.25 04:00
2026.01.25 04:00
Travis Japan松田元太の主演舞台『俺節』が、6月から8月にかけて東京・福岡・大阪にて上演されることが決定した。
原作は伝説の漫画家・土田世紀の同名漫画。演歌歌手を目指す青年の泥臭くも懸命に生きる姿を描いた同作は、2012年に早世した土田の代表作の一つとして知られている。9年前にSUPER EIGHT安田章大が主演を務めた初演に続き、今回も舞台版の脚本・演出を手がけるのは、小劇場から野外劇に至るまでダイナミックかつ人間味あふれる舞台を展開する福原充則。土田作品を特徴づける荒々しさと繊細さを併せ持つ独特の筆致と溢れ出す情念が、9年ぶりに福原の手によって生身の人間たちによる熱量に満ちた演劇へと昇華する。
舞台初主演となる松田元太が演じる主人公は、内気で繊細でありながら情熱的で、圧倒的な歌唱力を持つ青年コージ。歌やダンスにおける卓越したパフォーマンス力、主演ドラマ『人事の人見』などで見せるナチュラルで感情豊かな演技に加え、テレビのバラエティ番組では飾らない明るさで人気を集めるなど松田が、「全てをぶつける」と全身全霊でコージ役に挑む。
コージを見守り、時に傷つきながらも共に成長していく相棒のギター弾き・オキナワ役には、鄭義信や鴻上尚史作品を始め数々の舞台、ミュージカルで経験を重ねる稲葉友。音楽劇『浅草キッド』でも経験した福原作品の情熱と優しさを本作でも体現する。また、コージと恋に落ちる外国人ストリッパー・テレサ役には韓国で活躍するキム・チャンミ。アジアを中心に世界7ヵ国から候補者が集まったオーディションを勝ち抜いた彼女は、今回が初めての日本での舞台出演となる。また、コージに影響を与える大物歌手の北野波平役には益岡徹、流しの大野役には初演から引き続き六角精児が決定。ベテランならではの説得力で、作品に奥行きをもたらす。

歌手を目指して青森から単身上京したコージ(松田元太)は、抜群の歌唱力を持ちながらも極度のあがり症のせいで実力を発揮できずにいた。そこでお調子者のギター弾き・オキナワ(稲葉友)は、コージが抱く演歌へのたぎるような情熱にほだされ、自分が根城とするドヤ街「みれん横丁」に連れていく。すると偶然そこに駆け込んできたのは、ヤクザから逃れようとする外国人女性、テレサ(キム・チャンミ)。持ち前の正義感から彼女を助けようとしたコージは、ボロボロに殴られた末に無我夢中で歌い出し、周囲を圧倒するのだった。
テレサは不法滞在中のストリッパーで、彼女への想いが募れば募るほど、強く・深くなるコージの演歌。やがてコージはオキナワとのコンビで流しの歌手としての修行を始め、コンテストへの出場を繰り返す中でついにデビューの話が持ち上がる。だがそれは「コージ一人で、ソロ歌手として」という条件付きだった。
物語では演歌の先達たちとの交流、都会の片隅で懸命に生きる人々との出会いを経て、自分だけの歌=俺節を見出していくコージ。同時に劇中には「北国の春」「命くれない」など昭和の名曲も登場し、ドラマと絡み合いながら「歌の力」「歌の心」を伝えていく。
止まることのない時代の流れの中で、時に不条理に晒されながら、不恰好でも自分の道を生きる人たちへ贈る本作。 解禁されたキャストと脚本・演出の福原充則からコメントも到着した。
コメント一覧
松田元太
原作漫画を読んで「渋ッ!泥臭ッ!」と感じると同時に、自分の中にいろんな感情が湧き上がってくるのがわかって、そんな作品、役を演じられるということに、ハラハラドキドキ、ワクワクしています。
漫画本を閉じて横から見ると黒いんです。それだけエネルギーをもって描き込まれた迫力もあってか、登場人物たちの関係性や世界観には痺れるものがありました。出てくる歌のメロディーも歌詞も、横丁の人たちの話し声も、本当に聞こえてくるようで。その中で海鹿耕治はすごく人間味のある人物として生きている。だから、僕自身もこの世界観の中で生き切りたいし、観る人の感情を揺さぶって、揺さぶって、いきたいです。
演歌にトライできるのも楽しみで、今はただ魂でぶつかることしかできないんですけど、この舞台が終わる頃には「演歌歌手になります!」と言えるくらいになるつもりです。
前回、安田(章大)くんが演じたこの役をさせていただくことはとても光栄ですし、脚本・演出の福原(充則)さんも安心して楽しみながら取り組める環境を作ってくださっているので、あとは全力で自分の幅を広げていきたいです。
稲葉 友
原作漫画を読んで、圧倒的な熱量に打ちのめされました。そして福原さんが作る俺節も凄いものになりそうだなとも思いました。時代に翻弄される人たちの物語はとても切実ですが、同時にコミカルでもあったり。過去に観させていただいた福原さんのお芝居でも、「舞台上にいる人たちは楽しそうなのに、観ている自分は何故こんなにも悲しく感じられるんだろうか」ということも多く、その時代の人間の生き様を、演劇を通して感じられるのが好きなんです。
僕が演じるオキナワはギタリストなのですが、演劇の中で楽器を演奏するのは初めてで、現時点では未知の領域に飛び込む怖さもあります。ですが怖がっている人の演奏に合わせて歌うのはもっと怖いと思うので、新しいスキルを身に付けられることに感謝しつつ、自分の身体のようにギターを扱えるように仕上げてオキナワとして生きられればと思います。
前回福原さんの作品に参加した時、様々な角度から人からも作品からもたくさんの刺激をいただきました。今回も松田さんとの共演を始め座組の皆さんとどんな作品作りが出来るんだろうかと今から楽しみですし、そんな座組を支える一員としてしっかり舞台上に存在できたらと思います。
キム・チャンミ
ワクワクしながらオーディションを受けたんですが、まさか合格するとは思わず、決まった時には、すごく嬉しいのに、胸がドキドキして、手も震えて、めちゃくちゃ泣いてしまいました。原作の漫画では、しんどい思いをしている人たちが力を合わせて生き抜く姿、夢を追いかけていく姿に大きな希望を感じました。どんなに寂しくて、悲しい状況の中でも自分で考えて、選んで前進していくテレサは強くて、素敵な人。その気持ちはよくわかりますし、リハーサルを通じてこれから出会う「テレサ」をとても楽しみにしています。
韓国ではドラマや映画をたくさんやってきましたが、最近は舞台出演も増えてきました。舞台ならではの緊張感や観客と繋がる感覚が好きなので、今後は舞台でも頑張っていきたいと思っています。テレビドラマや漫画など、子供の頃からたくさん日本の作品を観て育ったこともあり、日本で演じることができるなんて、感激です。今回ご一緒する俳優さんたちがどんなふうに準備し、役にアプローチされるのか、たくさん学んで、私自身の演技の幅を広げていけるといいなと思います。
六角精児
漫画の『俺節』は、土田世紀さんが生き方も含めいろいろなものを犠牲にしながら描かれた作品で、簡単には真似ができない世界を持っています。貧しくてもいいから演歌で生きていこうとしている人たちの物語は、「昔の人間ドラマ」ではありますが、自分にとっては身近な世界でもあり、素敵だなと感じます。初演の稽古中、コージを代役の方が演じていた日があったんですが、福原さんはその人にもしっかりダメ出しされていて。誰が演じていようと、つくづくその役が好きで、自分の書いたものを信じて演出されていることが伝わってきたのが印象的でした。僕が演じる流しの大野は、日本の歌の真髄を伝える人物として存在します。ですから、歌をしっかり理解して、その言葉とメロディーをお客様にお届けしたいです。
益岡 徹
僕が演じる役のモデルは北島三郎さん。僕が子供の頃には映画に出ていらしたし、僕自身もテレビドラマでご一緒したことがありますが、とっても素敵なお芝居をされる方という印象がありまして、それも今回ぜひ出演させていただきたいと思った理由の一つです。テレビが白黒からカラーになったり、自分の家に電話が引かれたり、トイレが水洗になったり……僕は昭和の中頃の生まれですから、台本を読んでいると、そんな情景がフツフツと蘇ってきます。情念やエネルギーが渦巻いた、迷宮のような人生を歩む若者がいて、彼らを包み込みこむような大人たちがいる——昭和の残り香が感じられるような人間たちの絡み合いはすごく魅力的です。登場人物たちみんなのエネルギーを存分に見届けていただきたいと思います。
福原充則(脚本・演出 )
今はもう初演がどうだったとか、そういうことは気にしていません。立ち返るべき場所は初演じゃなく原作漫画『俺節』。もう一度原作に戻って、そこから初めの一歩を踏み出そうと思います。原作の魅力は、とても共感できる主人公が、とても真似できないような生き方をするところ。主人公が読者を突き放すように暴走し、読む側が挑戦されているような感覚に陥っていくんです。この漫画を好きな理由は人それぞれでしょうが、僕はそんな〝僕が好きな理由〟から、この舞台を立ち上げていきたいと思います。
宣伝用のビジュアル撮影を進めていると、新しいキャストもみんな、メイクルームのドアから出てくる瞬間から、気合いの入ったいい空気を纏っています。漫画も台本も読んで、ビシッとやるべきことをつかんで表現してくれている。ワクワクすると同時に「これで面白くなかったら演出家の責任だな……」と感じ、緊張しているところです。
もともと時代遅れなものを描いた原作ですから、再演ともなれば輪をかけて現代の感覚とはズレている。少し前までは僕も、時代や文化を超えて人間同士が共感できる根幹のようなものがあると思っていたんですが、悲しいかな今はそんなことも簡単には信じられない。どうすればそこを乗り越え、自分たちと地続きの物語だと感じてもらえるのかは、大変な作業になるのかもしれません。ただ、そこを無理に繋がなくても、こちらとしては必死でやりますというか、いたたまれないほどの熱量を持った人間が舞台に立っているので、それを観て共感するなり、ドン引きするなり、プラスでもマイナスでも感情を動かしてもらえればいいなと思っています。
