映画『架空の犬と嘘をつく猫』で特に語りたいシーンとは?
やっと辿り着いた、意味のある初共演。伊藤万理華×深川麻衣の共感交換トーク
2026.01.20 19:00
2026.01.20 19:00
ものをつくるのが好きなのは、母からの影響なんです
──頼とかな子、お二人はどちらに共感できますか。
伊藤 どちらの気持ちもわかるんですよね。
深川 どっちもわかるよね。
伊藤 かな子のことを完全な悪にはできなくて。育った環境から来るかな子の寂しさもわかります。そこから出てくる無意識の行動って簡単には直せないと思うんです。かな子自身も自分が勝手なことをしている自覚がありますし……。また、まいまいが、単にしたたかな女の子ではなく、悪気なく人に甘えてしまう女の子としてかな子を演じているので余計に悲しくなるといいますか、ついかな子に寄り添いたくなりました。
深川 やっぱり人間っていろんな面を持ってるじゃないですか。頼ちゃんの好きな人に自分の気持ちをストレートに言えずに、ぐちゃぐちゃしちゃう感じもわかるし。かな子にとって母親の存在は大きくて、共依存みたいになっている。客観的に見ると、その関係性から抜け出してほしいなと思うけど、本人が意識しないようにしても、どうしても親と似てきて同じことをなぞろうとしちゃうのもよくわかる。だから、本当、どっちにも共感しちゃいますね。

──もし自分が頼の立場だとして、かな子みたいな人が現れたらしんどいですよね。
伊藤 耐えられないと思います。
深川 不安だよね。頼ちゃんが酔い潰れるシーンがあるじゃない? あそこが健気で可愛くて。
伊藤 素直じゃないからね、頼も。あのおんぶのシーンは私もすごく印象に残っています。
深川 頼ちゃんがああなるのはすごくわかる。観てて私も、そりゃヤケ酒もするよねと思った。
伊藤 さっきまいまいが言ってくれたバスタオルのシーンは、本当に頼ちゃんもかな子もどっちもつらくて。あのバスタオルは、頼ちゃんがかな子に精一杯寄り添った結果。あれができる頼ちゃんは強いと思います。私だったらできない。絶対に目も合わせられない。
深川 そうだよね。
伊藤 すごく嫉妬しちゃうけど、かな子に事情があることもわかっている、というのが本当につらくて。これは映画を観たあと、話が止まらなくなるやつです(笑)。

深川 かな子としても、お客さんとしても、あそこで山吹がはっきり言ってくれたことですっきりしたと思います。かな子は、ずっと男の人に頼ることで自分のつらさを解消してきた。そういうずるさに気づいていないふりをしていたけど、どこかで本当はちゃんとわかっていたんですよね。ただ、あんなふうに鋭い言葉を突きつけられたことがなかったから、ずるずると甘えてしまっていただけで。きっとあの場面がかな子の転換期になると思う。
──ご自身の中に、頼っぽいところだったり、かな子っぽいところを感じる部分はありますか。
深川 かな子は母親から強い影響を受けている女の子。私も、ポジティブな意味で母親の影響を受けてる部分はあると思います。私は母と仲が良くて、母は手先が器用で編み物とかクラフトとか得意なんですけど。
伊藤 へー! すごい!
深川 母のつくったバッグとか大事に使わせてもらっています。私がものをつくるのは好きなのは、小さい頃からの母の影響ですね。

伊藤 私は遠慮しがちなところが頼ちゃんに似ているかもしれないです。人と一緒にいると顔色をうかがって言いたいことがあっても言わないまま「平気だよ」と飲み込んでしまうことがあって。でも、自分の健康に良くないなと思って、最近は気兼ねなく話せる人には「ここ行きたい」とか「あれ食べたい」とか素直に言えるようになりました。
深川 いいと思う。
伊藤 それでも、やっぱり相手の反応を気にするところは残っていて。そういうところは頼ちゃんっぽいのかな。でも、日本人みんなそうなのかも。
深川 確かに。

伊藤 みんな空気を読むから。
深川 文化みたいな感じだよね。
伊藤 うん。私は周りの人に同化しがちな性格なので、たとえば山吹みたいな人がいて、自分を置いて初恋の人に行っても、そっかそっかって許しちゃうかもしれないです。
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