2026.01.13 19:00
2026.01.13 19:00
緊張することをネガティブには捉えていない
──高杉さんがクランクインする頃にはすでに作品の空気が出来上がっていたわけですよね。どうでしたか?
そうですね。僕が演じる山吹が登場するのは家族がバラバラになったあとですが、みなさんが作り上げてくださった空気の中に身を委ねるだけでよかった。心地がよかったです。特別に何か仕掛けてみようということもなく、ただセリフを覚えて、山吹の気持ちでカメラの前に立っていれば、やり取りが成立する。そんな印象でした。尊敬し、信頼する先輩方ばかりだったので。

──役へのアプローチは人それぞれかと思いますが、高杉さんは特別に事前準備をするわけではない?
基本的には台本を読み込んでいくだけです。読んでいくうちに、やがて最適解にたどり着きます。そしてさらに読み込んでいく中で、僕にしか見つけられないもの、僕が演じるからこそ見つけられるものを拾い集めていきます。このスタイルはどの作品でも変わりません。
──演じるのがフィクショナルなキャラクターでも、ですか?
ジョッキーやヤンキーを演じるときも基本的に変わりませんよ(笑)。もちろん、役の個性が立っていれば立っているほど、演じる手がかりになるものは多くなりますけどね。山吹は等身大のキャラクターなので、とにかく台本を読み込むこと、そしてその積み重ねこそが重要でした。
──山吹はまさに等身大のキャラクターで、『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)や『東京リベンジャーズ』シリーズなどとは、演技のテイストが違うと感じました。ご自身としてはいかがでしょう?
おっしゃるとおりで、作品ごとに求められるお芝居のテイストは違います。いつでも柔軟にオーダーに応えられるよう心がけていますが、できれば事前にそれとなく知っておきたいですよね(苦笑)。どういうテイストが求められるのかを。

──先に分かっていれば、よりすんなりと作品世界に溶け込むことができると。
そうです。大きめの芝居を求められるのであれば、その想定で準備をし、現場に向かうことができる。これとは逆に、余計なものを削ぎ落とした、ナチュラルなお芝居の場合も同じです。事前に分かっていれば、現場では最小限のすり合わせで撮影ができると思うんです。
──一口に「お芝居」といっても多種多様ですもんね。
たとえば、ナチュラルなお芝居を求められたとして、何をもってしてナチュラルだとするかは人それぞれじゃないですか。こうしてインタビューでお話しをしているときにだって、僕は身振り手振りを用います。これが僕にとってのナチュラル。目の前の相手に気持ちを伝えようとするとき、思いがけず声が大きくなることもある。これも僕にとってのナチュラルです。演じる役や作品に適したニュアンスを掴むのって、すごく大切だと思うんですよね。

──高杉さんは現場で求められるものに対して、柔軟に対応できるのでしょうか?
いえ、僕はけっこう時間がかかるほうなんですよ。「(演技を)大きくしてほしい」というオーダーに応えるのも大変ですが、削ぎ落としていくのも大変。たとえば、“見る”という行為にしたって、そこには何かしらの意味や力が生まれるものです。いろんなことに意識をめぐらせ、しっくりくるところまでたどり着くのに、どうしても時間がかかってしまうんです。
──デビュー時から緊張することは変わらないと、とあるインタビュー記事で読みました。ちょっと意外でした。
そうですか。いまでも変わらず緊張しますよ。
──こういったインタビューに関してはどうですか?
もちろん、緊張しています。自分の持ってきたものが、果たして合っているのか分かりませんから。
──言葉選びとか?
言葉の一つひとつに関してもそうですね。それにインタビュアーの方は一人ひとり違います。そのみなさんを相手にして、僕がどれくらい話せるか分からない。やっぱり緊張しますよ。
──緊張することをどう捉えていますか? いいことですか? それとも抑えたいものですか?
あってもいいものかなと思っています。過度な緊張をしてしまうのには理由があるはずだし、これをうまく和らげる方法もたくさんあるはず。緊張すること自体をネガティブには捉えていません。

──高杉さん流の対処法って、何かありますか?
それはやっぱり事前準備だと思います。準備がどれくらいできているのかで、緊張感は変わってくる。付け焼き刃の知識や経験で挑むのは、緊張して当然だと思います。緊張の根底にあるのって、要は不安だと思うんです。じゃあなぜ不安が生まれてしまうのか。それは向き合い方が足りていないから。そういうふうに考えています。とはいえ、どれだけ準備しても緊張してしまうことはありますし、あまりそこに囚われたくないなと思っています。時は進んでいきますからね。
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