映画『青春ゲシュタルト崩壊』の主人公たちに重ねた経験とは
二人にとって「頑張れ」はプレッシャー?佐藤新と渡邉美穂の言われたい言葉、譲れない“好き嫌い”
2025.06.23 19:00
2025.06.23 19:00
「頑張れ」は「応援してる」に言い換えるようにしている
──映画の中で印象的だったのが、「負けるな。頑張れ」という言葉が人を追いつめてしまうことでした。決して悪意で言ってるわけじゃない言葉だからこそ、こういうコミュニケーションって難しいですよね。
渡邉 めっちゃ気をつけようと思っていても、うっかり言っちゃうときはあります。
佐藤 わかる。今、IMP.で舞台をやっていて(取材は5月中旬に実施)、一緒に出ている後輩のことを鼓舞するつもりで「もっと頑張れよ」って声をかけたあと、いや、もうめちゃくちゃ頑張ってるのに、その言い方は違うよなって我に返ることがあった。
渡邉 わかるなあ。めっちゃわかる。
佐藤 確かに「負けるな、頑張れ」って難しいですよね。
渡邉 だからそういうときは「応援してるよ」って言い換えるようにしています。「頑張れ」だと相手に圧をかけちゃうけど、「応援してるよ」はあくまでこっちの話だから。負担を与えず、自分の気持ちを伝えられるいい言い換えなのかなって。

──難しいのが、「頑張れ」と言われてプレッシャーを感じる人もいれば、気合いが入る人もいると思うんです。お二人はどうですか。
佐藤 時と場合によるなあ。
渡邉 よるよね。自分が何か取り組んでいるときに「頑張れ」って言われたら、「あ、まだ私の頑張りが足りないんだ」って思っちゃうし。
佐藤 わかるわかる。
渡邉 昔、学校の先生に「頑張ってるかどうかを決めるのは自分じゃなくて周りの人だから」って言われたのを今でもよく覚えていて、確かにそうだなと。どれだけ自分が頑張っているつもりでも、周りにはそう見えなかったら、やっぱり本気で頑張れていないんだと思う。むしろ自分で「私は頑張ってる!」って思っちゃうのって、結構怖いなということに気づいて。だから周りから「頑張れ」と言われたら、「そっか、まだ伸びしろがあるってことか」って受け止めるようにしています。
佐藤 僕も昔よりは「頑張れ」って言われたら燃える方向にはなっていますね。20歳を越えたあたりで気づきました、そういう厳しめのエールがどれだけありがたいことかって。
渡邉 甘やかすだけがすべてじゃないですよね。本当に「頑張れ」と思ったなら言ってほしいし、自分も言いたいです。

──お二人は人から言われて気合いが入る言葉ってありますか。
佐藤 また社長の話で申し訳ないですけど、うちの社長ってなかなか褒めてくれないんですよ。だからどうにかして「良かったよ」を引き出そうと頑張ってて。
渡邉 それは燃えるね。
佐藤 燃えますね。だから、何回も聞きます、「今日どうでした?」「ここ、どうでした?」って。でも出てこない(笑)。
渡邉 出てこないの? それはなんとしても出したいね。
佐藤 きっとまだまだ伸びしろがあるってことなんだと思います(笑)。いつか社長から褒め言葉が出たときは、メンバーで祝杯をあげます!

──渡邉さんは褒められたほうが伸びる人ですか。
渡邉 もちろん褒められるほうがうれしいに決まってるんですけど、私、褒められるとわかりやすく調子に乗るんですよ(笑)。撮影の現場でも、「今のすっごい良かったです」って言われると、すぐ「えへへ」ってなって、そのあとがダメになっちゃう(笑)。
佐藤 「えへへ」じゃないぞと。
渡邉 そう(笑)。だから、褒められても表向きにはお礼を言って、心の中では「甘えるな。リップサービスかもしれないぞ」って気を引き締めています。なので周りにも「調子に乗るんで、あまり褒めないでください」って伝えてるんですけど。でも褒められないと泣いちゃうんですよね〜。めっちゃ面倒くさい女です(笑)。
佐藤 いや、でも褒められたら僕も調子に乗りますよ。
渡邉 乗るよね! 絶対ウェイってなる(笑)。
佐藤 褒められたくて、この仕事やってますから。
渡邉 大事大事。だから周りには「本当に良かったときだけ褒めてください」ってお願いしています(笑)。
次のページ