2025.06.05 18:30
日向坂46 BRAND NEW LIVE 2025「OVER THE RAINBOW」より(写真:上山陽介)
2025.06.05 18:30
五期生による“おもてなし会”に続き、東京・国立代々木競技場第一体育館にて5月28日・29日に2デイズ開催された日向坂46のBRAND NEW LIVE「OVER THE RAINBOW」。開演前から満員の“おひさま”から巻き起こっていた熱いコールは、ステージ袖のメンバーにはどのように響いていたのだろうか。4月の「6回目のひな誕祭」にて、一期生・佐々木久美より副キャプテンを務めていた三期生・髙橋未来虹へキャプテンのタスキを委ねて一期生が全員卒業……まだあれから2ヵ月も経っていない。かなりの急展開ゆえ、乗り越えなければならない試練ととらえる方もいただろう。

だが、筆者が観たDAYS2での彼女たちは、かなり攻めたセットリストでのこれぞという進化劇を見せてくれた。正直、音響面で不利な印象もある代々木第一体育館だが、PAテクノロジーの進歩によりかなりイメージが変わってきた。特に今回のようなEDM系フィーチャーで攻めた意欲的なセットリストにおいては、いわゆるドープなロー感というか、重低音の迫力も追い風にしていたと思う。3月に加わった五期生の門出には嬉しいフォローウインドだったし、何より彼女たちのフレッシュさがうまい具合に作用したステージだった。サウンドチームの尽力にも拍手を贈りたい。

大音量による「Overture」で左右スクリーンに出演メンバー紹介が映し出されると、おひさまの大声援とともにOh〜!のシンガロングが巻き起きて、色とりどりのサイリウムが揺れる光景が目の前に浮かんだ。七色のライティング演出によりいよいよ“OVER THE RAINBOW”のカウントダウンへ。ステージにスモークが吹き込まれると、一段高いステージ壇上に、モノトーンのセットアップによるジャンプスーツ衣装をクールにキメたメンバーの勇姿が現れた。

“HINATAZAKA”の電飾を前にしてのフォーメーションダンスでまず歌い上げたのは「青春の馬」。2コーラス目でステージに降りてきたメンバーが、列を作っては目まぐるしく入れ替わっていく。その姿は軽やかというより、随所で見せたジャンプが特徴的だがシャープで力強い。まさにメンバーの気迫を感じるものであり、五期生も含んだ新生・日向坂46が揃った瞬間。DAY1を経て、そのシルエットはますますたくましくなったのだろうと想像した。その上でやはり抜群の存在感を放ったのは、五期生が一旦退場しての「海風とわがまま」共々、エース・小坂菜緒ではなかったか。彼女の凛々しい佇まいが新体制に安定感を寄与していたのはたしか。髙橋未来虹仕切りのMCの流れもスムーズで、新キャプテンとしての頼もしさも感じた。


「海風とわがまま」「一生一度の夏」という爽快感あふれるサマーチューン連発は、おひさまのボルテージをますます上げていく。三期メンバー・上村ひなの先導で元気よくセンタ-ステージに駆けていった「一生一度の夏」での、360°ダンスのフォーメーションは、なるほどセンターステージの方が観応えがあり、後のMCでも明かされたが四期生にとっては初のパフォーマンス。ラストをニコニコのピースサインでキメて拍手喝采。「真夜中の懺悔大会」では花火が噴き出す中で左右の階段セットも使ってのダンスでも魅了。恒例の“懺悔コーナー”だが、DAY2では藤嶌果歩、富田鈴花、宮地すみれのジャンケンにより富田鈴花を選出。まさにこれが起爆剤となって「あの娘にグイグイ」では富田鈴花のアグレッシヴな魅力が開花。彼女に加えて髙橋未来虹、四期生の石塚瑶季、小西夏菜実、清水理央、竹内希来里、平岡海月、渡辺莉奈による13thシングルの“ひなた坂”選出メンバーが元気なパフォーマンスを見せる。人数が少ない分、各々のヴォーカルがより聴こえてくるし、センターステージでのダンスの動きものびのびとして大きい。その一方でステージ上でのアメコミ風の映像演出も楽しく、富田鈴花も次の14thシングルの活動をもって卒業が決まっているのがより寂しくなった。

さらにテクノポップナンバー「あのね そのね」では、小西夏菜実、清水理央、宮地すみれの四期生3人が、ステージ上に授けられたピンクのジャングルジムに腰掛けながら歌う印象深いシーンが。かと思えば、二期生・金村美玖、三期生・髙橋未来虹、山口陽世、四期生・平岡海月が再びセンターステージに飛び出して、ティンバレスが炸裂するラテンポップ「どこまでが道なんだ?」で華やかに歌う。4人それぞれへのおひさまの掛け声も楽しい。なおDAY1は此処で「夜明けのスピード」が披露されたようで、セットリストには手が加えられていた。

中盤でガラリとムードを変えたのは、日向坂46のもう一人のエース、金村美玖だった。ゾクゾクする荘厳なインストを背に、センターステージで繰り広げたソロダンスパフォーマンスが圧巻! 我らがヒロインがクラシックバレエ育ちならではの麗しい舞いを繰り広げたかと思えば、これが「月と星が踊るMidnight」の導入部となり三期、そして四期の選抜メンバーがスタンバイ、ロック魂を感じさせるパフォーマンス。“僕たちの世界は なんて美しいんだ”“誰に何を言われても 僕たちはまだまだ諦めない 過ちを恐れるな”と歌い上げる未来への賛歌は、まさに日向坂46の今を歌い上げたメッセージナンバーと言っていい。エンディングも金村美玖のダンスが締められたが、このときの彼女のせつなげな表情がまた良かった。

この辺からはセンターステージとメインステージ双方を活用した、サプライズ性のある演目となって、目線の持っていき方が大変。ハッと気がつけばすでに金村美玖の姿は消えていて、メインステージで金色のボンボンを手にした三期、四期の選抜メンバーが。イントロでボンボンを置くと、ヘッドセットマイク使用により自由になった両手いっぱいを使っての踊ってみせる。二期生・松田好花をセンターにとびっきり可愛らしい表情で「アザトカワイイ」へ。この柔剛織り交ぜての両極で楽しませるのが、今回のステージテーマだったのかもしれない。間髪空けずファットな4つ打ちビートが響き渡り、「キュン」はクラブ系イベントでも相性が良さそうに感じた重厚なEDMにアレンジ。なんて思っていたら「ってか」「君しか勝たん」を怒涛のメドレー展開。二期、三期、四期勢揃いのパフォーマンスで、「君しか勝たん」のウインクは四期生のエース候補・正源司陽子が愛らしくキメてみせた。

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