2025.06.04 18:00
2025.06.04 18:00
お芝居って、決して僕だけの手柄じゃない
──奥平さんにとって、ちゃんと自分のことをわかってくれている存在といえば誰が浮かびますか。
いちばんは地元の友達。お仕事で言えば、事務所のマネージャーさんとか、普段から一緒にお仕事してる人たちですね。それくらい近い人じゃないと、なかなかそう感じることは難しいですよね。

──地元の友達とは今もよく会うんですか。
いまだにずっと変わらず、結構頻繁に会いますね。特に遠出するとかではないんですけど、一緒にご飯を食べたり、オンラインゲームをしたり。
──友達といるときって、どんな感じですか。
やっぱりいちばん素でいられますよね。お仕事をしてるときの自分も素ではあるんですけど、なんだろう、学生ノリみたいな感じって現場では出せないじゃないですか。でも、友達の前だと気にせず出せる。中学高校の頃から話す内容が何も変わらないんですよね。そこにすごく安心感を覚えます。
──普通の21歳の男の子でいられるということですね。
バカみたいな冗談で普通に笑って。誰にどう見られるとか気にせず、素でいられる場所があるのはありがたいなと思います。

──このお話って語り手の視点が変わるたびに、それぞれのキャラクターの印象が変わるんですよね。どの視点から見るかで同じ人でも見え方は違うもの。奥平さん自身もご自身が思う自分と世間から見られている自分にギャップを感じますか。
むっちゃ違うと思いますよ(笑)。僕も普通の人間なんで、ダメなところもあるし、怒られることもある。でも、表に立ってるときはいいところしか切り抜かれていないので。ありがたいんですけど、そこがすべてじゃないよっていうギャップはあります。
──それこそ『御上先生』のときとか、奥平さんのお芝居を見て「お芝居がすごい」「天才肌」というイメージを持つ人は多かった気がします。
お芝居について褒めてもらえるのはうれしいです。でも、役って僕一人でできていることじゃないので。でも、どうしても僕一人で考えたとか、僕が頑張ってたというふうに思われちゃうことが多くて、それはちょっと悔しいですね。やっぱり周りの人の力がものすごくあるものなので。

──表情が印象的に見えるのも、照明さんのライティングの力だったりしますしね。
そうなんです。いい脚本を書いてくださる脚本家の方がいて、いい画を撮ってくださる撮影部の方がいて、いい演出をしてくださる監督さんがいて、僕のお芝居なので。でも、観ている人はそこまで目がいかないし。まあ、目がいくようじゃダメだとも思うんですけど、そこはちょっと寂しいですね。お芝居って、決して僕だけの手柄じゃない。いい現場でいい人たちと出会えたおかげだなといつも思っています。
──そういう意味では、もっと自分のこういうところを見せたいという願望ってありますか。
もっと喋ってるところを見てほしいですね。だから、ラジオをやってみたいです。ラジオだったら普通に素で話せるから、僕がどういう人か、ある程度わかってもらえると思うし。僕のことを応援してくださる方々にも、まだ知らない部分は絶対たくさんあるので。素の自分を思い切り出して、応援してくださる人とのギャップが埋められたらいいなって。

──俳優さんは、素を見せる場がそんなにないですからね。
そうなんですよ。バラエティ番組だと構えちゃうところがあると思うので。本当、素の僕のまま人前に出る場って映画の舞台挨拶くらいしかない。可能な範囲でいいので、奥平大兼はこういう人間だよということをもっと伝えていきたいです。
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