2025.03.14 18:00
2025.03.14 18:00
自分じゃない人生を生きる度に、新しい自分が生まれる
──今回、海さんは主演です。理想の座長像や現場での居方の理想はありますか?
座長というものがわからなすぎて、マネージャーさんに聞いたんですよ、「座長ってどうしたらいんですかね」って。そしたら「自分で引っ張ろうとせずに、カイくんらしく、そのままでやればいいと思うよ」と言ってくださったので、引っ張るのはやめようと思います。年上の方もいるし、同い年の方もいるし、年下もいるしで、僕はちょうど真ん中の世代なんですよ。だから僕が引っ張るというよりも、皆さんの胸をお借りして、みんなで一つになれたらいいなと思っています。

──実際、デュランたちもみんなで力を合わせて戦っていくわけですしね。
そうそう。座長は僕かもしれないですけど、主人公は6人いるので、みんなで大事にこの作品を作りたいと思っています。
──海さんは普段はグループで活動していて、まさに“みんなで力をあわせて進んでいく”というのは似たような感覚なのではないかと思うのですが、そういうご自身の経験も活かせそうですか?
そうですね。グループでの活動も、舞台を作り上げるということも、根本的には一緒だと思っていて。一緒にいる時間は違うかもしれませんが、グループだったら「このステージでやりたい」、舞台だったら「無事に完走したい」という一つの目標がある中で、その目標に向かって各々ができることをする、というのはどちらも一緒。だから僕も自分なりにできることをやって、みんなで協力し合って助け合って、一緒に進んでいく時間になればいいなと思っています。

──もともと舞台でのお芝居に興味があったとおっしゃっていましたが、舞台に限らずお芝居というものの面白さや難しさを、現在どのように感じていらっしゃいますか?
お芝居の素敵だなと思うところは、自分じゃない人生を、その期間生きられること。それはたぶんこの仕事じゃないとできないことですよね。「明日から美容師やります。次の日はショップ店員、その次は農家で……」みたいなことって、普通はできないじゃないですか。それができるのがこの仕事。いろいろな人生を生きる度に、新しい自分が生まれる……と言うんですかね。それは自分から離れた何かなのか、自分が付随した何かなのか、それはわからないですけど、自分からいろいろなものが生まれるのがすごく新鮮で、やっていて楽しいなと思います。
──難しさは感じていない?
いやいや! そのたびに新しい自分を産まなきゃいけないので難しいですよ。自分とは全く違う人間ですが、僕が演じているので、つまり自分の中にある発想や価値観から生まれるもの。だから、その価値観や発想を広げるという作業をどんどんしていかないと頭打ちになっちゃうんだなということは感じているので、常にいろんな文化に触れたり、いろんなものをインプットしたりするようにしていています。

──お芝居も含めて、個人仕事は超特急の活動にどのような影響を与えていると思いますか?
それぞれが影響を与えていますよ。個人仕事もグループに影響を与えているし、グループの仕事も個人にもちろん影響を与えているし。例えば僕がお芝居で感情の表現の仕方を得たことで、ダンスで全身から指先まで感情を乗せるときにスムーズになるわけですし。特に超特急はただカッコいいダンスをするとか、面白い振りをするっていうだけじゃなくて、ダンサーも歌っているくらい、感情表現を大切しているので、そういう面ではすごく役に立っているなと思います。あとは、グループで番組に出たときに、例えば僕だったら「あ、『アンナチュラル』に出てた子だ」と思ってもらえたり、逆に一人で出たときに「超特急の子が出ている」と気づいてもらえたり。それぞれがそうやって作用していることがすごくいいなと思います。逆に超特急じゃなかったら、今回のお芝居ももらえていなかったかもしれないですしね。
──では海さん個人としての今後の目標や、今後個人でやってみたいことはありますか?
グループ活動を続けていきたいのはもちろんなので、個人のことで言うと……年齢を重ねても、自分の表現したいことを表現できていられたらいいなと思っています。それがお芝居だったらベストですけど、お芝居だけにとらわれず、自分の口なのか行動なのか、とにかく自分の何かで、自分が表現したいことを発信していられる人でいたいです。

──演じてみたい役や、出たい作品は?
今回はたくさんのキャストが出る豪華な舞台なので、次は例えば3人とか2人とか、少人数でやるものをやってみたいですね。それは舞台じゃなくてドラマや映画でも。俳優として自分が鍛えられる現場に身を置きたいです。あとは『アウトレイジ』みたいなヤクザものとか、社会的メッセージのあるものとかもやってみたい。強面に囲まれたり。超特急のイメージとかけ離れた役で、僕を知らなかった人や超特急を知らなかった人もブッ刺しにいけたらいいなという気持ちは常にあります。
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