共演ドラマ『ペンション・恋は桃色』3シーズン目が配信開始
リリー・フランキー×斎藤工の間にある信頼 もの作りの“パートナー”として惹かれ合う魅力とは
2025.01.14 19:00
2025.01.14 19:00
俳優としてだけでなく、監督・プロデューサーとしても活躍の場を広げている斎藤工と、そんな彼の手掛ける作品の常連でもあるリリー・フランキー。彼らが共演する連続ドラマ『ペンション・恋は桃色 season3』の配信が1月10日よりFODにてスタートした。東京の外れにあるペンション「恋は桃色」で起こる人間模様を描いたこのドラマ、今回はリリーが演じるシロウの娘・ハル(伊藤沙莉)の恋模様を中心に描くという、前2シーズンとは少し毛色の違う展開に……!?
「とにかく楽しい」という今作の現場について、そしてプライベートでも親交が深いという2人に互いの魅力についてたっぷりと語ってもらった。
この作品には他では許されない瞬発力がある
リリー 僕ら、マジで「このドラマを観たことがある」という人に会ったことがなくて。
斎藤 未だにないですね。
──いやでも、本放送のときに拝見してましたよ。
斎藤 本当ですか? かなりレアな人ですよ。
リリー 一時期ね、フジテレビも深夜に一挙放送したり、前は「そのつもり」が少しあったみたいなんですけども。今もう、「そのつもり」さえなくなってるみたいなので。いやでも、珍しくドラマを観ている方がインタビューに来てくださったね。今日の取材は、みんなイメージで喋ってるからね、質問も「桃色」から連想されるものばっかりで……。
──そんなことはないと思います(笑)。とりあえず、他のインタビュー等でも発言されていたのを拝見したのですが、お2人ともこの『ペンション・恋は桃色』という作品がとてもお好きだとか。
リリー 唯一、楽しんでやっている作品ですね。
──それはseason1から変わらずですか?
リリー そうだったよね。
斎藤 いや、めちゃくちゃ楽しかったですよ。
リリー 例えば、season1の撮影中に大雪になりました、と。普通だったら次の日の撮影は無理なんですけど、工君と「これは絶対撮った方がいい」と監督に言った方がよくない? となって。それで実際に撮ってしまったんですけど、そういう瞬発力ってなかなか他の撮影では許されないんですよ。でも、この作品ではスタッフも俳優も泊まりこみで一緒にものを作っていて、だからこその瞬発力を持っている。あの辺からちょっとクセになってきたよね。
斎藤 そうですね。最初はもう中止というか、もう外では撮らない、室内に設定しようという話になってたんですよ。でもリリーさんが「多分、是枝(裕和)さんだったら(外で)撮りますよ」というワードを監督とプロデューサーに突きつけたら「やろう」と。
リリー 「是枝さんだったら撮ってる」はね、パワーワードですよ。
斎藤 これはどの現場でも使えるなと(笑)。
リリー でもね、実際に『万引き家族』の撮影の時にあったんですよ。撮影しようとしたら雪が降ってて、都内で雪が積もってるなんてむしろ超レアじゃないですか。是枝さんは、それを撮ろうと。それは子供たちが歩いてたりする重要なシーンになったわけですけど、でもこの『ペンション・恋は桃色』で撮ったのは、雪の中でスカートを履いた主婦が三角テニスやってるという。こんなに必要がないシーンを、雪の中でやっている。
斎藤 それも、懸命にね。
リリー 僕、あのシーン大好き! あれはヨーロッパとかのカルト映画マニアが見たらアメージングだと思いますよ。
斎藤 ハイライトにあの瞬間だけ切り取って、映画祭とかで流してほしいですよね。
リリー あそこだけでこのドラマのスポットCM作ってもらいたいね。僕ら、いい意味で天気に恵まれてるんですよ。この『ペンション・恋は桃色』の撮影は絶対に悪天候なんですよね。そして今回も、「悪天候の中でそれをやるか」ということをやってますから。あれも名シーンになってるんじゃないかな。
斎藤 なってるでしょうね。
リリー 本当は紅葉してる時期のはずだったのに、紅葉してなかったり。
──そういうハプニングも生かしつつ、みたいなことができる現場なんですね。
リリー 生かすも何もないんですよね。
斎藤 そもそも選択肢がないですからね。
──season1、season2では斎藤さん私物のドローンがエンディングなどで使われていましたが、今回も撮影には使われていたのでしょうか?
斎藤 いや、今回はやめました。もう飽きまして。
リリー 私物だから、工君が持ってこないと自然とドローンのシーンはなくなるんですよ。
斎藤 今回の台本になかった、というのもあるんですけどね。でもエンディングは別の形のエモいカットになっているので、楽しみにしていてください。というかそもそも、あのドローンはTBS『王様のブランチ』の「買い物の達人」で調達したものだったんですよ。
リリー もう一度ブランチに出て、新しいものを調達してほしいよね。
斎藤 新しい映像が撮れるかどうかは『王様のブランチ』次第、みたいな(笑)。でも他局で手に入れたものをこうやってドラマに使うという……時代に合っているというか、エシカルな感じはありますよね。
リリー 本当はエンドクレジットに「協力:王様のブランチ」って入れて欲しかったよね。局の垣根を超えて。
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