2024.11.19 12:00
2024.11.19 12:00
演技ではコンプレックスも活かせると学んだ
──主人公、広野健太/ウイングマン役で主演の藤岡真威人さん、ヒロインのアオイ役の加藤小夏さんとご一緒してどんな印象がありますか。
藤岡さんは初めてお会いしたときから、ほんとに主人公オーラをまとった方だなってすごく思いましたね。撮影現場でどんなに大変でもいつも笑顔で明るいですし、広野健太という役に本気で向き合ってるなって瞬間を何度も目の当たりにすることができて、とても刺激をもらえたし、同い年なので見習いたいなって思いました。小夏さんはみんなのお姉さんって感じで、毎日すごく元気でその場にいるだけで周りが明るくなるような方です。やっぱりヒロインをやる方は、いるだけで周りが華やかにしてしまうんだなって思いました。
──では、今回の演技の中で、特に面白かったことや難しかったことを聞かせてください。
難しかったのはアクションですね。桃子自体そんなにアクションをするわけではないんですが、少しだけあり。監督やアクション監督、スーツアクターの方がすごく親身になって教えてくださいました。アオイさんの格好した吹き替えのスーツアクターの方に私たちが襲いかかるというシーンがあって、「思い切り来て大丈夫」って言ってくださったんですけど、やっぱり危ないですしほんとに当たらないようにする塩梅が難しかったです。また、ディメンションパワーをかけられて倒れるシーンでも、倒れたときに足が浮くと格好良くないとか、細かいポイントもたくさん教えていただきました。そして今回、スーツアクターの方たちがヒーローと悪役の格好で戦うシーンをちょっとだけ見れたんです。めちゃくちゃかっこよくて、自分もできたらいいなって気持ちになりました(笑)。
──スーツアクターの方のバトルシーンを生で見れる機会はなかなか無いですからね。
貴重な経験ですよね。それを生で見たことで、そのあと桃子を演じるときにヒーローオタクとしての熱がほんとに入ってお芝居ができたんですよ。
──リアルに得た感覚を演技にフィードバックできたと。では、先ほど上原さんは高校時代に部活入ってなかったとおっしゃってましたが、もし入るとしたら何部を選んでたと思いますか?
剣道か弓道だと思います。袴を履いて静かに集中してる表情とかすごくかっこいいな、美しいなって思うんです。今からでも入りたいです(笑)。
──桃子はヒーローに夢中ですが、上原さん自身が今プライベートでハマってるものはなんですか。
今は『ONE PIECE』です。最近アニメを1話から見始めたんです。改めて見たら、ルフィって17歳とは思えないほどの器の大きさの持ち主だなって。周りに人が集まってきて、自分も仲間のために命をかけて戦えるところがかっこいいなって思います。今、すごい夢中になって見てます。
──今のタイミングで『ONE PIECE』を見始めたきっかけは?
お芝居の先生に「人が人に惹かれる理由がすごく詰まっているから見てみなさい」って言われて見始めました。ルフィって、日本を代表する主人公じゃないですか。「主演をやりたいんだったら参考になる部分があると思うから見てみなさい」という言葉がきっかけでした。見ていくと、お芝居をやる上で私にはこういうところがまだ足りないなとか、いろんなことが学べるんです。そういう部分も含めて、今すごくハマってるんだと思います。
──座長としての心構えはルフィにありって感じですね。ではここからは、上原さん自身の話によりスポットを当てていきましょう。先ほども出ましたが、アイドル活動を経て、より本格的に俳優をやろうと思ったきっかけを聞かせてください。
アイドルをやりながら、ずっとお芝居をやりたいなという憧れがありました。そうした中で高校3年生のときにミュージカル『SHOW BOY』(2021年7月)に出させていただいたんですよ。初めて本格的なお芝居を経験したら想像以上に楽しくて、そこで私はお芝居をやって生きていきたいんだって確信しました。
──お芝居のどんな部分に強く惹かれたんですか。
最初、私はただ台本を読んでセリフを覚えて演じるって感じだったのですが、お稽古の中で「その役として生きる」ってことを演出家の方から教えていただきました。それまで私は「こういう風に動いて」って指示されないと動けなかったんです。でも「その役として生きる」ってことを教わってから、「この子ならここはこういう風に動くんじゃないかな?」って自分で考えるのがすごく楽しくなって、もっと本格的にやりたいなって思いました。
──アイドルは歌とダンスを通じて自分そのものを表現していきますが、演技は別の人の人生を表現していくのが大きく違うポイントだと思います。他人を演じることで今までとは違う自分を発見できたとか、新鮮な面白さもあったんじゃないですか?
ありました。新しい自分も見つけられましたし、自分がコンプレックスだと思ってることも、演じる上では長所になったりすることもあるのでそこも面白いなって思いました。私は小さいことで悩んでネガティブに考えちゃう性格で、それが自分では嫌だったんです。でも、そういう性格の子を演じるときに、自分の経験が活かせたんです。こんなことがあるんだって思いましたし、自分に刺激になりました。
──演技を通じてマイナスをプラスに転換できたと。
そうなんです。あと、演じる上で自分が経験したことないこともたくさんありますし、そのときは「この役のこの子は、このときどういう気持ちだったんだろう?」ってすごく考えます。自分が生きていく中での学びが多いので、俳優としてだけじゃなく、人としても同時に成長できてるなってとても思います。
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