2024.11.08 11:00
©︎2024 映画『本心』製作委員会
2024.11.08 11:00
本日11月8日(金)より全国公開された石井裕也監督最新作『本心』の本編映像が解禁された。
『ある男』で知られる平野啓一郎による同名の長編小説を実写化した本作は、“リアル”と“リアルでないもの”の境界が今よりさらに曖昧になった世界が舞台のヒューマンミステリー。キャストには池松壮亮を主演を筆頭に三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子ら映画界を牽引する実力派俳優陣が集結。AIで亡くなった母を蘇らせ、母の“本心”を知ろうとする青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の「心」と「本質」に迫る。
今回解禁されたのは、主人公・朔也(池松壮亮)とアバターデザイナー・イフィー(仲野太賀)の“本心が見えない”対話シーンを描いた本編映像。AIに生前の母の情報を集約させ人格を形成するVF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用して仮想空間上に母を蘇らせる選択をした朔也は、とある事件で“結果的に”人助けをしSNSに動画が拡散されて英雄として祭り上げられることに。そんな朔也を気に入って彼を雇用したイフィーを前に、朔也は神妙な面持ちで「僕は英雄でも何でもなくて、あの時はあそこにいた人に暴力をふるって…」とたまらず事件の真相を告白してしまう。
それに対しイフィーは「朔也さんはいずれ本当の事を話してくれると思ってました」と笑みを浮かべ、「僕はあなたの目が好きです。嘘をつかない目をしているから。だから聞くんですよ、本音で答えてください。三好さん…彩花さんのことが好きになってしまいました。朔也さんも…ですよね」と問い正す。朔也の答えは「いえ…ただの同居人です」。
イフィーは質問を続ける。「僕と一緒に暮らせば彼女の生活は保障されます。朔也さんも、そう思いますよね」。感情を呑込み、無言で頷く朔也。さらにイフィーが「それなら、僕と彩花さんの仲を取り持ってくれませんか?」と問うと、朔也は「はい」と答える。
口から出る言葉とは裏腹に表情は曇り、“本心を言えない”あるいは“自分の本心がわからない”朔也と、「他の金持ちと違って、あなたたちの苦しみを理解できるんです。僕だけは…」と笑い最後まで“本心を見せない”イフィー。2人の“静かなる熱演”が光るシーンは淡々としつつどこか緊迫感に満ちた映像となっており、そこには羨望、侮蔑、嫉妬、困惑、そして愛……人間が心の奥底に隠し持っている感情や言葉にはしない“本心”が詰め込まれている。
池松と仲野は10代の頃からの旧知の仲で、2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』で秀吉と秀長の兄弟役を演じることが決定している2人。仲野とのシーンについて池松が「朔也とイフィーは、朔也がイフィーだったかもしれない、イフィーが朔也だったかもしれない、というようなとても親和性の高い関係性だと思います。今作において最も重要な要素のひとつである格差と本心が浮きあがるパートの役です。2人のやり取りは、この作品性のとても本質的な部分と繋がっています。そんな役を、 信頼する太賀が演じてくれたのは、とても大きかったと思っています」と語る通り、関係の深い2人だからこそ作り出せる空気感となっている。
仲野も本作の出演について「脚本を初めて読んだ時、常に挑戦を続ける石井監督の更なる挑戦に、身震いしました。AI が発達して変わりゆく社会と、変わることのない人間の愛の形を描いた今作が、池松さんをはじめとする素晴らしい俳優の方々によって、どのように映画になっていくのか楽しみでした。僕が演じたイフィーという役は自由度が高く、軽やかでありながら寂しく、とても欲深い人間味をもっています。複雑なキャラクター像を演じるのは、僕自身大きな挑戦になりました。石井監督の演出を信じて導かれるように撮り切れたと思っています」と共演者への敬意を交えて語っている。