短期連載コラム第二回目となりました。読者の皆様こんにちは、架乃ゆらです。(第1回はこちら)
今回は出演している映画『僕の月はきたない』について。
あらすじを大まかに説明すると、オナ禁をして修行をしている役者・古谷とその古谷に憧れるOL・琴絵のお話です。なぜ古谷という役者がオナ禁をしているのかは前作にあたる映画『30days』で描かれるのですが、前作を観ていなくても大丈夫な作りです。
軽く説明すると前作『30days』はコロナ禍の時に製作されたほぼ全編Zoomの画面を通した映画なのですが、その中で古谷さんは自分をもっと成長させるために何か一つ成し遂げることを課題にします。それがなぜかオナ禁で、30日間続けることが成功したら憧れの存在である女優の階戸瑠李さんに告白することにします。日々今日もオナ禁に成功しましたとZoomを通じていろんな関係者の方に報告したり、階戸さんに捧げる歌を作って練習したり、階戸さんへの思いを爆発させたり。最終的に告白をするのですが成功というより大人の対応でかわされる感じになるのですが、結果はどうあれ一つのことを信念を持ってやり遂げたということでハッピーエンド?に終わります。しかしこの映画の撮影が終わった後も古谷さんの悩みが完全に晴れることもなく、京都のお寺へ修行に行くことになります。ここまでが完全にノンフィクションの事実で、『僕の月はきたない』のお話に繋がります。
事実と創作が混同している作品なので若干とっつきづらいかもしれませんが、わたしは最初台本を読んだ時にとても面白いと感じました。わたしが演じる琴絵の存在がこの映画において異質な存在で、それまで古谷さんの人生の登場人物のみでほぼ構成されているのですが琴絵はフィクションの存在で、でも琴絵が古谷さんに憧れるきっかけになったのは前作の『30days』なんです。琴絵は古谷さんと関わることで一つの救いを見出すし、古谷さんもまた琴絵の影響で一つの救いのようなものへ辿り着きます。
とはいえそんなに難しいお話でもないし、言ってしまえばアホ映画みたいな感じなのですが、一口にそう言えない要素もたくさんあります。わたしは完成されたものを観てとても感動してしまいました。
突然ですがわたしは仮面ライダーオーズという作品が大好きです。オーズは人の欲望をテーマに作られていて、ヤミーと呼ばれる人間の欲から生まれた怪人とオーズが戦います。欲望と一言に言っても例えばお金をたくさん稼ぎたいという欲望がありますよね。これは良い欲望なのでしょうか、または悪い欲望なのでしょうか?お金を稼ぎたいから多くの人々は労働するのであって、労働の結果ストレスを溜めてイライラしてしまったり、はたまた効率よくお金を稼ぐために詐欺を働いたりするのは結果的に悪いことですが、その根っこにある「お金をたくさん稼ぎたい」という欲望自体は良いも悪いも無いものだと思います。オーズの主人公の火野映司というキャラクターも「人を助けたい」という欲望を持っていてそれが暴走してしまうシーンがあったり、終盤ヒロインの比奈ちゃんというキャラクターが二つの選択肢で悩むシーンには仲間のキャラがどちらかだけを選ぶんじゃなくてどっちも選んでいい、比奈ちゃんのわがままで良いじゃない!とアドバイスをするクッソ熱い名シーンがあります。オーズは善悪のつかない欲望という大きなものと向き合った作品で、面白いので是非観てください。
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