わたしがいろんなカルチャーを好きな理由
前述の通りAV以外のお仕事も案外やらせていただき、その中で再びお芝居をする機会がありましたが、当たり前に部活動とは違いプロの世界なので、楽しさ一辺倒ではありませんでした。AVもそうですが、今まで経験した多くの仕事は一度ある程度の要領を掴むとあまり聞こえは良くないですがこなしながら遂行することができました。正解らしい正解は分からないながら、自分のポジションや全体の流れをなんとなく読み取ってその流れに乗ることができたつもりでした。
ですが、お芝居に関しては一度たりともそんな感覚がありませんでした。セリフを覚えて言うだけではない無数のことを意識して考えて自分の輪郭を外すことに必死になって全部がぼやけてしまったり、ワークショップに行っても講師によって言うことも違うし、一言で言えば分からないことばかりです。この分からない感覚がいろんな仕事をしてきた中でお芝居にだけ強くあるので、もっと追求したい、もっとお芝居をしたい、分からないのはきっと分からないままだけど、この『分からない』ともっと仲良くなりたい。
そんな思いが日に日に強くなり、AV女優を引退して役者を目指すことを決めました。
さて、長い長い自分語りをご清聴ありがとうございます。自分語りついでにもっと架乃ゆらについて知っていただくために、好きなものをざっと紹介します。
まずは昭和カルチャーです。松本隆さんの詩をきっかけに松田聖子さんなどの昭和アイドル、音楽、純喫茶、古着、建築、ファンシーグッズ、本、漫画、テレビ番組などなど。主に80年代あたりのカルチャーが好きですが、作家なら太宰治が一番好きです。三鷹に行ってここが太宰が入水した川かあ〜と眺めに行ったりもします。あとは少し時代が進んで平成初期のいわゆるy2kなカルチャーも大好きです。インスタントで記号的でクールで病んでいてかっこいい!
特撮も好きです。仮面ライダーが特に好きで平成仮面ライダーは網羅しています。一番好きなのはオーズです。ガワ萌えをするので、地元にいた頃はイオンモールのヒーローショーを観に行き、ちびっこに紛れて握手をしてもらったりしていました。
ブワッとした言い方になってしまうのですが、可愛いものも大好きです。昭和ファンシー好きが転じてサンリオにハマり、KIRIMIちゃんという鮭の切り身そのもののキャラクターがいるのですが、そいつが推しです。ネット発祥のキャラクターも大体好きですし、自治体が苦肉の策で生み出したであろうゆるキャラたちも味わい深くて大好きです。キャラクターだけではなく学生時代に原宿カワイイ文化が流行り、AMOちゃんになりたい時期もありました。アイドルで言えばハロー!プロジェクトさんが好きで、ライブにこそ行ったことがありませんがYouTubeで信じられない可愛さのMVを観てよくたまらなくなっています。最近は韓国アイドルもよく観ています。
お笑いも好きです。子どもの頃からテレビっ子でお笑い番組をよく観ていたし、かつてはよく大阪の劇場へ足を運んでいました。baseよしもと後期あたりで、かまいたちさんがまだ漢字表記の頃でした。今でもたまに劇場へ行ったりテレビを観たりYouTubeを観たりラジオを聞いたり、楽しくお笑いを享受しています。たまに仕事でお笑い芸人さんとご一緒することがあるのですが、普通にオタクなので上がりまくったテンションを隠すのに必死です。ミーハーだと思われたくないという意地の表れです。
学生時代からニコニコ動画をよく観ていて、インターネット文化も愛しています。垂れ流しのようなゲーム実況に憧れて、ついにコロナ禍から自身のYouTubeチャンネルでゲーム配信を始めました。匿名の不特定多数が集まり、根も歯もない言論を繰り広げてそこから何も生み出さなかったり、かと思えばボーカロイドが大発展したり。かつてはオタクばかりでカオスな空間だったのがスマホの普及でオタクではない人たちも有象無象に加わり、凶悪になったりならなかったりでますますカオスなインターネットカルチャーを今日も眺めています。
架乃ゆらという存在についておおまかに分かっていただけましたか?自己紹介がとても長くなってしまいましたが、実はこのコラムは出演する映画『僕の月はきたない』の公開に合わせてスタートしたものになります。ですが今回映画のお話を全くしなかったので続きはまた次回…。6月15日より新宿k’s cinemaさんにてレイトショー上映です!是非観に来てください。
最後まで読んで頂きありがとうございます。次回をお楽しみに!