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『青春18×2 君へと続く道』公開記念リレーインタビュー #1

「“それでも人生は続く”と描きたかった」藤井道人が『青春18×2』にしたためた自叙詩

2024.05.04 17:00

2024.05.04 17:00

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主題歌は僕らの旅のお守りでした

──劇中、岩井俊二監督の『Love Letter』が印象的に引用されていました。藤井監督にとって、岩井監督はどんな存在でしょうか。

僕にとっては『リリイ・シュシュのすべて』や『スワロウテイル』はある種のトラウマとして強烈に記憶に残っている作品です。今回の『Love Letter』に関しては原作通りではあるんですけど、『Love Letter』で描かれた雪景色はきっとアミの過ごした只見の街にも通じるものがあるだろうなと思って。あの映画からアミに何かを感じ取ってほしくて、そのまま残しました。

──実際、雪景色がとても美しく描かれていました。

実はこの映画の企画書の表紙に、雪の中を1本の電車が走っている写真がプリントされていて。雪の降らない台湾の人たちにとって、雪はそれだけ特別な景色。きっと台湾のチームが雪の電車を表紙にしたのも、この景色が見たかったからだろうなと思って。台湾チームへのリスペクトも込めて、その願いは叶えてあげたいと思いました。

映画『青春18×2 君へと続く道』本編クリップ

──『余命10年』もそうですが、川を渡るという場面が象徴的に使われている印象があります。

「橋」は今回大事にしたポイントの一つです。ジミーにとっても、僕らのマインドとしても、海を越える話ですし。『Beyond Youthful Days』という洋題の通りですね。越えていくということは常に意識していて。線路を越えたり、橋を越えたり、ジミーの成長に合わせてのロケーションは意図的に配置しています。

──主題歌はMr.Childrenの「記憶の旅人」です。

ミスチルは僕の青春のバンド。聞くだけならタダだと思って(笑)、ダメもとでお願いしてみたんです。そしたら、ある日、エンジン(Mr.Childrenのマネジメント会社)のスタッフの方にプロデューサーたちが呼び出されて。正式にお断りされるのかなと思ったら、「やると決めていないのに、桜井(和寿)がデモを作ってしまいまして」とおっしゃるんです。何でも「これは自分たちが今やりたいことそのものだ」と思ってくださったみたいで。こんなにうれしいことはないですよね。撮影中は、台湾チームも日本チームもずっとこの曲を聴いていて。僕らの旅のお守りみたいな曲でした。

『青春18×2 君へと続く道』主題歌 Mr.Children「記憶の旅人」スペシャル映像

──クランクイン前に主題歌が出来上がっているのはかなり珍しいですよね。

珍しいです。そんなの、(『余命10年』『パレード』でタッグを組んだ)野田洋次郎さんくらいでした(笑)。しかも、曲についてディスカッションは一切していないんです。一発でツモ。それも、とてもうれしかったです。

──エンドロールで歌詞の字幕を入れているのも印象的でした。

この作品のために書いてくれた曲なんだから、聞き取れないともったいないなと。よくあるじゃないですか、エンディングにいい感じの曲が流れてきて、歌詞を聞きたいけど、歌詞を聞こうとするとクレジットが読めなくて。クレジットを読もうとすると歌詞が聞き取れないみたいなことが。だったら、字幕を入れればいいじゃんって。それで世界観が汚れるとは一切思わないタイプです。歌詞を聞きたい人、クレジットを読みたい人、どちらもモヤっとすることがないように、字幕を入れました。

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夢を叶える前と後、どちらが苦しいか

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作品情報

青春18×2 君へと続く道

©2024「青春18×2」Film Partners

©2024「青春18×2」Film Partners

青春18×2 君へと続く道

2024年5月3日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

出演:
シュー・グァンハン 清原果耶
ジョセフ・チャン 道枝駿佑 黒木 華 松重 豊 黒木 瞳

監督・脚本:藤井道人 原作:ジミー・ライ「青春18×2 日本慢車流浪記」
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」(TOY'S FACTORY)
エグゼクティブプロデューサー:チャン・チェン 音楽:大間々 昂 撮影:今村圭佑
製作幹事:JUMPBOYS FILMS/サイバーエージェント
制作プロダクション:JUMPBOYS FILMS/BABEL LABEL

1986年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。
大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(2014 年)でデビュー。
以降『青の帰り道』(18年)、『デイアンドナイト』(19年)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20年)、『ヤクザと家族 The Family』(21年)、『余命10年』(22年)『ヴィレッジ』(23年)、『最後まで行く』(23年)など精力的に作品を発表。
2019年に公開された『新聞記者』は日本アカデミー賞で最優秀賞3部門含む、6部門受賞をはじめ、映画賞を多数受賞。

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