2024.02.13 07:00
©︎2024 「Cloud」 製作委員会
2024.02.13 07:00
主演・菅田将暉×監督・脚本黒沢清の初タッグでおくる映画『Cloud クラウド』が9月に公開されることが決定し、スチール写真とコメントが解禁された。
『スパイの妻』(2020)で、第77回ベネチア国際映画祭銀獅⼦賞(最優秀監督賞)を受賞した⿊沢監督が映画最新作に選んだのは、顔のみえない社会で拡散する、憎悪の連鎖から⽣まれる“集団狂気”を描いたサスペンス・スリラー。主演は、『花束みたいな恋をした』(2021)、『ミステリと⾔う勿れ』(2023)など数々の映画に出演し、アーティストとしても圧倒的な⽀持を受ける菅⽥将暉。菅田は本作の出演オファーを即決。「ラーテル」というハンドルネームを使い、転売で稼ぐ主⼈公・吉井良介を演じる。
菅⽥と⿊沢は、本作の撮影現場で10年ぶりに再会。初対⾯は、主演作『共喰い』(2013/⻘⼭真治監督)で参加した2013年の第66回ロカルノ国際映画祭で、2022年に57歳の若さで故⼈となった⻘⼭監督から紹介された時以来だったという。今回の発表に際して、菅⽥は「⽣活の中に潜む、怖さとユーモア。 ⿊沢監督の頭の中が毎⽇少しずつ開⽰されていく撮影は、とても楽しく、贅沢な時間でした。 ピュアで歪な⼈間のアクションがたまらない。とにかく完成が待ち遠しい。」とコメントし、⿊沢は、「現代⽇本の⽚隅で、時折まったく無⽬的と思われる暴⼒事件が起きることがある。原因を探っていくと、そこにはちょっとした恨みやムシャクシャした気分がインターネットによって集結し肥⼤していくシステムがあるようだ。私はこうした現象がアクション映画の題材になるのではないかと考え、この企画をスタートさせた。」とコメント。また主演の菅⽥について「菅⽥さんにお願いした主⼈公吉井良介は、真⾯⽬で⼀途な悪党という、現代⽇本映画ではほとんど⾒かけない⼈物である。キャラクターの分類としては⽭盾しているのかもしれない。しかし菅⽥さんはこの難しい役を極めて繊細に、かつ堂々と演じてくれた。」と称賛した。
『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』のアリ・アスター監督をはじめ、スリラー・ホラー映画の作り⼿を⽬指す世界中の監督たちが、必ずその影響を⼝にする⽇本⼈監督は“Kiyoshi Kurosawa”。90年代にその道を切り拓き、昨年商業映画デビューから40年、今年第17回AFA(アジア・フィルム・アワード)の審査委員⻑も務める⿊沢がサスペンス・スリラー作品に挑むのは、2016年公開の『クリーピー 偽りの隣⼈』以来となる。なお本作の撮影は昨年11⽉25⽇から12⽉22⽇に⾏われ、現在制作中。
主演︓吉井良介役/菅⽥将暉 コメント全文
⽣活の中に潜む、怖さとユーモア。 ⿊沢監督の頭の中が
毎⽇少しずつ開⽰されていく撮影は、とても楽しく、
贅沢な時間でした。 ピュアで歪な⼈間のアクションがたまらない。
とにかく完成が待ち遠しい。 映画「Cloud」宜しくお願いします。
監督・脚本/⿊沢 清 コメント全文
(作品について)現代⽇本の⽚隅で、時折まったく無⽬的と思われる暴⼒事件が起きることがある。原因を探っていくと、そこにはちょっとした恨みやムシャクシャした気分がインターネットによって集結し肥⼤していくシステムがあるようだ。私はこうした現象がアクション映画の題材になるのではないかと考え、この企画をスタートさせた。主⼈公は、ささやかな⾦儲けによって少しでも⼈より優位に⽴ちたいと願う、ごくありふれた男である。この⼈物が不⽤意に周囲の恨みを買い、最後には命を賭けた死闘へと引きずり込まれる物語だ。しかし撮影が進むにつれて、私はこの映画がそう簡単にスカッとするアクションにはなっていかないことに気づいた。その理由のひとつは、主演の菅⽥将暉が驚くべき演技⼒でこの⼈物に深い陰影と複雑さをもたらしてくれたこと。もうひとつは、この死闘が思いがけず“戦争”の様相を⾒せ始めたことだ。⾦儲けと復讐が折り重なって増幅され、ついに暴⼒が作動し、気が付いたらもう引き返せなくなっている。現代の戦争も、ひょっとするとこのようにして起こるのかもしれない。
(主演・菅⽥将暉について)菅⽥さんは、誰の⽬も釘付けにする俳優だ。何と⾔ってもあの顔つき、そして声、⽴ち姿、奥の⽅にいても⼀発で菅⽥将暉とわかる唯⼀無⼆の個性があらゆる場⾯から⽴ち昇る。にもかかわらず、⼈混みの中だと市井の⼈物に溶け込んでしまう⼀般性、庶⺠性のようなものも同時に持ち合わせている。持って⽣まれた資質と計算とを巧みに組み合わせることのできる実に聡明な⽅なのだろう。そんな菅⽥さんにお願いした主⼈公吉井良介は、真⾯⽬で⼀途な悪党という、現代⽇本映画ではほとんど⾒かけない⼈物である。キャラクターの分類としては⽭盾しているのかもしれない。しかし菅⽥さんはこの難しい役を極めて繊細に、かつ堂々と演じてくれた。繊細な部分が計算で、堂々としたところが資質なのか、あるいはその逆なのか、どちらかはわからない。いや、どちらも計算かもしれない。それとも全ては直感なのか。正体は不明だが、この正体不明こそ⼤スターの証なのだなとあらためて納得した。