初のBillboard Live Tour東京公演1st SETをレポート
“たった一人”のTETSUYAに酔いしれた一夜 極上のヴォーカルとメロディで年末を温かく彩る
2024.01.30 19:00
TETSUYA(2023年12月28日 Billboard Live TOKYO公演より)写真:緒車寿一
2024.01.30 19:00
L’Arc~en~Cielのリーダー&ベーシストであるtetsuyaがソロアーティストTETSUYAとしてクリスマス〜年末にかけて”TETSUYA Billboard Live Tour 2023”を敢行。ここでは昨年12月28日にBillboard Live TOKYOにて行われた公演2本(Billboard Liveでは夕方公演の1st SET、夜公演の2nd SETと2回行われるのが通例)のうち、1st SETの模様をお届けしたい。
「音楽に抱かれて夜を過ごす。美味しい料理とお酒を心ゆくまで愉しむ。それが“Billboard Live”」の通り(公式サイトより)、本公演はTETSUYAにとっても今宵集まったオーディエンスにとっても普段から馴染み深いライヴハウスやホール、またはスタジアムといった形ではなく生演奏付きのレストランといった趣きであるので、聴衆は着席にて思い思いにドリンクや料理などを楽しみながらの鑑賞となる。これだけでも年末のスペシャル感はいやが上にも高まるところであろうが、加えてステージ上に注目してみると何とバックに控えているであろう(と、思い込んでいた)サポートミュージシャン達の楽器類が確認できないばかりか、TETSUYAが駆るであろう(こちらもてっきり、そう思い込んでいた)ベースやギターの類も確認出来ず、セッティングされているのはスタンドマイク一本、それとアンティーク調の譜面台に一人がけ用のソファであった。
これは一体、どういうことなのだろう。ひょっとしてサポートも従えず、またベーシストとしてでもない、一人のヴォーカリストとしてのTETSUYAの美しい歌声で存分に酔いしれることができるのではないだろうかと全身が沸き立ってしまう筆者を尻目に場内は暗転。今宵のパーティーを先導せんとTETSUYAがその姿を表す。その出立ちはアウターが肩口にワッペンのついたミリタリー調のテーラードジャケット、インナーに黒いシャツ、パンツもタイトなスキニーといったシックなコーディネートであり、ポイントでラメのネクタイ、足元はスニーカーで外すなど、煌びやかさや遊び心も存分に効かせたスタイリングであった。バックバンドも、自身の楽器も携えることなく、たった一人で。
パーティーの幕開けとして選曲されたのは「FATE」。ではあったのだが、それはカホンとベースがボトムに、そしてピアノとアコギが上物として据えられたアコースティックなアレンジへと大胆な変貌を遂げており、ライトが仕込まれたマイクスタンドが怪しげに赤く光を放つ中、客席もそれに呼応する形でL’Arc~en~Cielのライヴでお馴染みのマラカスライトを赤に。Billboard Live場内が真っ赤に染まるという些か“らしからぬ”光景が広がる。サウンドスケープが一気に雄大な景色へと広がるサビの力強い歌声で場内は早くもTETSUYAに掌握されてしまう。
続く「EDEN」では原曲の荒々しい疾走感、その勢いを削ぐことなくこれまたアコースティック調のアレンジを聴かせてくれる。これにはどうしたって思わず身体が動いてしまう。躍動する楽曲とその歌声に身を揺らしつつ改めてステージに目をやるとマイクスタンド、そして場内のマラカスライトは緑に染まっているではないか。赤からの緑。当公演の前がクリスマス当日のBillboard Live YOKOHAMAであったため、少し遅れてのクリスマスプレゼントが少々ぶっきらぼうに届けられた様な感覚を味わう(笑)。そんな「EDEN」が嵐の様に過ぎ去った後にTETSUYAはしっとりと「Prentender」のメロディを歌う。気怠げなその旋律に合わせ今度は真っ白に染まったマイクスタンドにしなだれかかる仕草が何ともセクシー。
曲終わりで乱れ飛ぶ歓声に答えたTETSUYAは“呼んだ?”と一言。今後はBillboard Liveでワールドツアーがやりたいということや今日はいつも以上に声の調子がいいこと。そして音楽だけではなく食事も楽しんでいって欲しいことなどオーディエンスへの感謝と気遣いを見せ、”みんなが楽しいって言ってくれるのが僕の幸せ”と、いつもよりアットホームな会場がより一層温かくなる言葉を投げかけてくれたかと思いきや歌詞へと話題が移るとTETSUYAの調子だけではなく歌詞の微小な間違いも分かると豪語する来場者に対しては”歌詞はレコーディング時の気持ちが綴られているだけであって、その日の気分で変えることもある”とテンションの上がる俺様モードも茶目っけたっぷりに見せてくれた。
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