(C)2023『⽉』製作委員会
2023.09.14 18:00
10月13日(金)より全国公開される宮沢りえ主演映画『月』から予告が解禁された。
原作となったのは実際に起きた障害者殺傷事件をモチーフにした辺見庸による同名小説。事件を起こした個人を裁くのではなく、事件を生み出した社会的背景と人間存在の深部に小説という形で切り込み、我々と社会全体が「見て見ぬふり」をしてきた不都合な問題をつまびらかに描く。
本作で監督を務めるのは、コロナ禍を生きる親子を描いた『茜色に焼かれる』など常に新しい境地へ果敢に挑み続ける石井裕也。本作は10月4日から13日まで開催予定の第28回釜山国際映画祭ジソク部門(Jiseok部門)への出品も決定している。
公開された予告編は重度障害者施設の日常から始まり、新たな命を宿した主人公・洋子(宮沢りえ)と「二人で頑張ろう!」と胸を張る夫の昌平(オダギリジョー)の姿を映す。そして、新生活に向けて歩み出すところから一変し「知ってる?施設は森の中にあるの。隠されているのよ。本当は誰も現実を見たくないからでしょ」という陽子(二階堂ふみ)の言葉から、不穏な空気が漂い始める。
そこから洋子が見た障害者施設の現実は、暴力と虐待。次第に疲弊していく洋子に声をかけたのはさとくん(磯村勇斗)だった。「変えたほうがよくないですか?」と真っ直ぐに洋子を見つめ、衝撃的な行動に出るさとくんと、取り乱しながらも「私はあなたを絶対に認めない」と人を傷つけることに対して否定する洋子。両者の「いのち」をめぐる戦いが展開していく。
さらに、「この映画の刃はあなたに向けられている」と目を背けたくなる衝撃の描写から、最後に語られる「生きててよかった」という一言。果たして洋子は、この現実から希望を見出していくのか。