Bezzy[ベジー]|アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

REPORT

みんなで楽しむ姿勢を貫いたZepp DiverCity公演をレポート

一途に進化を続けるにしな、今を鮮やかに刻んだツアー「クランベリージャムをかけて」最終日

2023.08.02 17:30

にしな ライブハウスツアー「クランベリージャムをかけて」Zepp DiverCity公演より(写真:renzo masuda)

2023.08.02 17:30

全ての画像・動画を見る(全22点)

ソファや本棚、クッションやおもちゃが並べられ、まるで自分の部屋のようなあしらいがされたZepp DiverCityのステージ。そこに静かに登場してきたにしなは、白いドアに赤いペンキで文字を書き始める。「with cranberry jam」──「クランベリージャムをかけて」。今回のワンマンツアーのタイトルであり、ちょうどこのライブの前日に配信がスタートした新曲の曲名でもある。

にしな(2023年7月27日 Zepp DiverCity公演より)

そんな演出を経て、「ランデブー」からライブは始まっていった。バンドメンバーの奏でるゆったりとしたグルーヴに身を委ねながら、にしなは身体を揺らしながら気持ちよさそうに歌う。先ほどのオープニングで一気に自分の世界へと惹き込んだだけあって、開演前はざわついていたフロアもじっくり聴き入っている。歌い終えると「やったー、最後、何やってもいいらしいから、ハメを外して楽しんでまいりましょう!」と語りかけ「東京マーブル」へ。前回のツアーよりもパワフルさを増したバンドの演奏の上で、にしなの歌声もいっそう豊かな力感をもって響く。歌詞を間違えても「めちゃくちゃ間違えた!」とすぐに言っちゃうあたり、本人もだいぶリラックスしているみたいだ。

ギターを弾きながら「真白」をエモーショナルに披露すると、浮遊感のあるイントロの電子音が夜空へと誘う「夜間飛行」へ。どれも何度もライブで聴いてきた曲たちだが、やはりこれまでとはこちらに届いてくる速度と強度が違う。そもそもソングライターとして特筆すべき個性とセンスをもっている彼女だが、それに加えてパフォーマーとしてもぐっと進化していることがはっきりとわかる。ときに叫ぶように、ときに囁くように、歌声の硬軟を自在に使い分けながら、メロディと言葉に身体ごと預けていくようなパフォーマンスだ。4曲を終えて改めて挨拶をするとフロアからは大音量の拍手が湧き起こった。「ファイナル、めちゃめちゃいい日にしたいですよね。私も頑張りますが、みんなにもかかってるから。最後まで燃え尽きていってもらえたらなと思います」。ライブでの彼女は決して饒舌なほうではないが、短いながらもフレンドリーなその言葉は、なんともいえない親密さを感じさせる。

その親密さゆえに次々と紡がれる楽曲もぐいぐいと胸に迫ってくる。張り詰めたような緊張感と膨れ上がる思いを切々と歌う「夜になって」、オーディエンスの手拍子が後押しするなか力強く刻まれるリズムの上で軽やかに歌声が躍る「FRIDAY KIDS CHINA TOWN」。続く「U+」では、フロアにマイクを向けてシンガロングを誘うにしな。〈何者になれずとも もうきっと大丈夫〉というフレーズが外向きの共通言語としてZepp DiverCityをひとつにしていく。

そして前半のハイライトといっていい風景を生み出したのが「透明な黒と鉄分のある赤」だ。ギターでの弾き語りから一気にギアを上げて曲に入っていくと、ダンスミュージックのニュアンスもふんだんに取り込まれたロックサウンドがフロアを躍動させる。歌い終えると「ふあー!」と大きく息を吐くにしな。「一緒に歌えるの、最高だ! 声出しライブって最高だ!」と笑顔を見せつつ、「サイ」「コー!」とか「ゼッ」「プー!」とか「トー」「キョー!」とか、単語を分けてコール&レスポンスを展開。即座に反応して声を返してくるオーディエンスも見事だ。その流れでメンバー紹介をしつつ各メンバーも同じようにコール&レスポンスを繰り広げていく。そのなかでもギターの真田徹は「おととい、にしなちゃんたんじょう……」とナイスなコール。そう、このライブの一昨日にあたる7月25日はにしなの25歳の誕生日。もちろんフロアからは「びー!」と大きな声が巻き起こった。

そしてソファに座り、アコースティックギターをつま弾き始めるにしな。そこから立ち上がって歌い始めたのは「春一番」だ。ピンと張り詰めたような楽曲が続く中に穏やかなアコギの音とシンプルなバンドサウンドがじんわりと染み渡る。この曲を境にライブは後半に突入。リラックスした雰囲気で伸びやかな歌声を響かせた「centi」を経て、広がりのあるサウンドが会場に響き渡る。にしなにとってのターニングポイントを刻んだ「青藍遊泳」だ。曲にちなんだ青い光がステージの上を美しく照らし出す。

次のページ

最新曲が生んだこの日一番の狂騒

全ての画像・動画を見る(全22点)

作品情報

にしな デジタルシングル「クランベリージャムをかけて」

「クランベリージャムをかけて」ジャケット

「クランベリージャムをかけて」ジャケット

にしな デジタルシングル「クランベリージャムをかけて」

2023年7月25日(火)リリース

配信はこちら

イベント情報

にしな ワンマンツアー2024

にしな ワンマンツアー2024

2024年
2月12⽇(⽉・祝) 札幌・Zepp Sapporo
2月19⽇(⽉) ⼤阪・梅⽥ CLUB QUATTRO
2月23⽇(⾦・祝) 福岡・Zepp Fukuoka
3月4⽇(⽉) 東京・恵⽐寿LIQUIDROOM
3月15⽇(⾦) 愛知・Zepp Nagoya
3月24⽇(⽇) 広島・CLUB QUATTRO
3月30⽇(⼟) ⼤阪・NHKホール大阪
4月6⽇(⼟) 宮城・仙台Rensa
4月13⽇(⼟) 新潟・LOTS
4月20⽇(⼟) ⾼松・オリーブホール
4月28⽇(⽇) 東京・NHKホール
チケット代:4800円(税込)
一般発売発売日:2月1日(木)

にしな ワンマンツアー2024

にしな ライブハウスツアー「クランベリージャムをかけて」

にしな ライブハウスツアー「クランベリージャムをかけて」

2023年
6月24日(土) 北海道・札幌PENNY LANE 24 OPEN 17:00/START 18:00
7月08日(土) 福岡・ DRUM LOGOS OPEN 17:00/START 18:00
7月13日(木) 大阪・なんばHatch OPEN 18:00/START 19:00
7月14日(金) 愛知・名古屋DIAMOND HALL OPEN 18:00/START 19:00
7月17日(月祝) 宮城・仙台Rensa OPEN 17:00/START 18:00
7月26日(水) 東京・Zepp DiverCity OPEN 18:00/START 19:00
7月27日(木) 東京・Zepp DiverCity OPEN 18:00/START 19:00 ※追加公演
チケット代:4,800円(税込)

にしな ライブハウスツアー「クランベリージャムをかけて」

新時代、天性の歌声と共に現れた新星、「にしな」。
やさしくも儚く、中毒性のある声。
どこか懐かしく、微睡む様に心地よいメロディーライン。
無邪気にはしゃぎながら、繊細に紡がれる言葉のセンス。
穏やかでありながら、内に潜んだ狂気を感じさせる彼女の音楽は、聴く人々を徹底的に魅了する。
Spotifyがその年に注目する次世代アーティスト応援プログラム「RADAR:Early Noise」に選出。ゆっくりとマイペースにリスナーを虜にしてきた彼女の声と音楽が、静かに、そして、より積極的に世の中へと出会いを求めに動き出す。
最重要ニューカマー、「儚さと狂気」を内包する才能が、ここに現る。

RANKINGランキング

RELATED TOPICS関連記事

  • 40点以上にも及ぶ渾身の陶芸作品を展示 藤原さくら初のPOP-UP SHOPが下北沢で3日間限定開催、テーマは大好きな“どうぶつたち”

    2023.08.01 00:00

    シンガーソングライター・藤原さくらが、“どうぶつたち”をテーマにしたPOP-UP SHOPを8月18日から3日間限定で開催する。 藤原さくらは、現在放送中の日本テレビ系水曜ドラマ『こっち向いてよ向井くん』に赤楚衛二演じる主人公の妹・麻美役として出演中。また、10月にShibuya WWWXにて4週に亘るワンマンライブ「週刊空港(エアポート)」を開催することが決まっている。 今回のPOP-UP SHOP企画は、オフィシャルファンクラブ“Meating”で年に1回発行している「Meating Magazine」内の企画にて、陶芸に挑戦し制作した作品がファンの中で話題を呼んだことを機に立ち上がった。<a href="https://bezzy.jp/2023/08/29706/">…

    #藤原さくら

  • 成田凌主演ドラマ『転職の魔王様』主題歌の先行配信も決定 miletが午前5時をテーマに心の内側を描く、3rdアルバム『5am』8月リリース

    2023.07.17 20:00

    シンガーソングライター・miletが、2023年8月30日(水)に3rdアルバム『5am』を発売することが決定した。 今年5月に自身初の日本武道館公演「milet live at 日本武道館」を2daysで開催し、本日17日からスタートするドラマ『転職の魔王様』主題歌を新曲「Living My Life」で担当するmilet。 アルバム『5am』には、「Living My Life」やテレビアニメ『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』エンディング主題歌「コイコガレ」、ドラマ『やんごとなき一族』主題歌「Walkin’ In My Lane」、映画『七人の秘書 THE MOVIE』主題歌「Final Cal<a href="https://bezzy.jp/2023/07/28948/">…

    #milet

  • 弾き語り公演を皮切りに8公演行う全国ツアーも開催決定 シンガーソングライターTOMOO、初のフルアルバム『TWO MOON』9月リリース

    2023.06.28 21:30

    シンガーソングライター・TOMOOが、メジャーファーストアルバム『TWO MOON』を9月27日にリリースすることが決定した。 本日6月28日にホールワンマンツアー「TOMOO LIVE TOUR 2023 “Walk on the Keys”」東京・NHKホール公演を開催したTOMOO。初フルアルバムとなる『TWO MOON』には、多くのアーティストや著名人から支持され注目を集めるきっかけとなった「Ginger」、ドラマ『ソロ活女子のススメ 3』オープニングテーマ「夢はさめても」、映画『君は放課後インソムニア』主題歌「夜明けの君へ」などを含む全13曲を収録。曲順や全収<a href="https://bezzy.jp/2023/06/27933/">…

    #TOMOO

  • プロデュースはyonkey、ジャケットはwataboku描き下ろし シンガーソングライターkatagiri、TVアニメ『贄姫と獣の王』書き下ろしED曲を7月リリース

    2023.06.27 20:30

    シンガーソングライター・katagiriの第1弾シングル「call your name」が7月12日に配信リリースされることが決定し、イラストレーターのwatabokuが描き下ろしたアートワークが公開された。 種族を超えた無償の愛がテーマの今作は、現在放送中のTVアニメ『贄姫と獣の王』の第2クールエンディング主題歌として書き下ろされた楽曲。壮大なスケールで鳴るストリングスに乗った、哀しくも優しく力強いkatagiriの歌声が印象的で、プロデュースはKlang Rulerのフロントマン・yonkeyが務めている。 『贄姫と獣の王』の第2クールは7月12日放送の第13話よりスタート。TOKYO M<a href="https://bezzy.jp/2023/06/27840/">…

    #katagiri#贄姫と獣の王

  • a子が男性を手に掛ける衝撃的なシーンも シンガーソングライターa子、新曲「あたしの全部を愛せない」配信スタート&MV公開

    2023.06.21 00:00

    シンガーソングライターのa子が新曲「あたしの全部を愛せない」を本日6月21日に配信リリースし、ミュージックビデオを公開した。 「関ジャム 完全燃SHOW」で一躍注目を集めたa子の最新作は、彼女の幻想的な世界観とウィスパーボイスが沁みる切ない恋の曲。軽快かつミドルなテンポとギターリフが耳に残る重厚感あるサウンドとは裏腹に、恋に怯え自分自身を卑下してしまう女の子の葛藤が赤裸々に綴られている。 MVは寂れたトイレが舞台となっており、制作にはa子率いるクリエイティブチーム・londogが携わった。灰色がかった映像が彼女のアンニュイな雰囲気をさらに引き立たせており、a子が男性を手に掛ける衝撃的なシーンも<a href="https://bezzy.jp/2023/06/27593/">…

    #a子

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram

COLUMN & SPECIAL連載&特集

ALL SERIES

RANKINGランキング

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram