『連続ドラマW フィクサー』Season2で重要な役を担う
「とにかく考えて、でも柔軟に」役者道を邁進する町田啓太が語る自分との戦い
2023.07.06 12:00
2023.07.06 12:00
この春にWOWOWにて放送がスタートした『連続ドラマW フィクサー』。井上由美子が“フィクサー”を題材に描いたノンストップサスペンスで、全部で3Season制作されるという大作だ。政財界のトラブルや企業間の揉め事などを解決するため、表舞台に立つ権力者を不敵な笑みで引き込む主人公のフィクサー・設楽拳一を唐沢寿明が怪演し話題を集めている。
7月から始まるSeason2では、Season1から出演している大手新聞社政治部記者・渡辺達哉が物語の鍵を握る。そんな達哉を演じる町田啓太に、作品について、自身について話を聞いた。
早く作品に入りたかった
──町田さんは、特にここ近年は途切れないほど出演作が続いていますが、作品や経験を重ねていく中で、お芝居やお仕事に対する気持ちに変化はありますか?
もちろんあります。特に、作品は1人で作るものじゃないので、できる限りコミュニケーションを取ることが大切なんだなというのは、最近すごく思うことかもしれないです。仲良く話すということではなくて、自分の考えや知りたいと思っていることをちゃんとディスカッションするという意味で。ついつい自分の中だけで頑張ってしまったり、ディカッションすることを億劫に感じてしまいそうになったりしますが、そこはちゃんと話していかないといけないなと感じています。
──そんな町田さんは、4月からWOWOWにて放送がスタートした『連続ドラマW フィクサー』Season1、7月からオンエアのSeason2に出演しています。まずは『連続ドラマW フィクサー』の脚本を読んだ際の感想を教えてください。
多くのキャラクターの陰謀や欲望が渦巻いている世界観が面白くて引き込まれました。「早くこの作品に入りたいな」とすごく思いました。
──メッセージとしてはどのようなものを受け取りましたか?
まだ受け取りきれていない(取材時は撮影中)……といいますか、Season1から3まですべてを通して1つの作品なので、全部が終わったときに何か感じられるものがあるんじゃないかなと思います。様々な人や権力、欲望と関わってどう向き合って、どう変化していくのか。ご覧になる皆さんと同じように、僕自身も、それがどういうことなのかというのは最後になってみないと分からない。どう感じるのか楽しみですね。
──脚本は『白い巨塔』や『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』などで知られる井上由美子さんが手掛けられました。井上由美子さんの作品にはどのような印象をお持ちですか?
登場人物が強いですよね、いろんな意味で。だからこそ魅力的でもある。それぞれのバックボーンがすごく見えてきて、ものすごく考えさせられます。演じる身としては、そういうものを発見していくのが苦労する点でもあり、楽しい点でもあるという印象です。
──町田さんが演じるのは大手新聞社政治部記者・渡辺達哉。新聞記者という役を演じるにあたり、特別に行った準備や役作りなどがあれば教えてください。
できれば新聞社に行って取材をさせてもらいたかったんですが、それはさすがにできなくて。でもこういう仕事をしているので、新聞社に勤めている方とお話しさせてもらう機会もありますし、自分なりに調べたりはしました。その中でわかったのは、僕が今回演じさせてもらっている政治部というのは、戦場だということ。もちろんそこにいる全員ではないと思いますが、ほとんどの人がすごく向上心や出世欲があり、プライドも持っていて「誰かよりも少しでも先に」と思っているのが日常なんだろうなと。だから僕も達哉を演じるうえで、そのくらいやってしまっていいんだなと思いました。達哉がなぜあれほどまでに正義感を持っているのか、なぜ真相を明らかにしたいと思っているのか、本質的には、弱い立場の人に寄り添いたいからだと思うんですよ。でもそれをついつい忘れて、前のめりすぎちゃうのが、たぶん初期の達哉。そんな達哉がいろいろ学んで「自分がやりたかったのはこういうことなんだな」と気付くのがSeason1なのかなと思って演じました。
──なるほど。
あとは、話を聞きながらメモを取ったり、そういう新聞記者としての技術的なところも重要ですが、内面的にはやはり母親との関係性というのを第一に置いて演じなければいけないなと思っていました。達哉を人間として理解しなければいけないなと。実際、いろいろなものに巻き込まれていくなかで、新聞記者であるということが関係なくなる場面もあるので、人間性はブレることなくいたいなと思いました。
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