「FLOWERS TOUR」後半戦が中野サンプラザからスタート
go!go!vanillasが“聖地”に捧げた感謝、3年越しのシンガロングに未来を誓う
2023.04.09 17:00
go!go!vanillas(2023年3月24日 中野サンプラザ公演より)撮影:西槇太一
2023.04.09 17:00
「こんな素敵な会場がなくなっちゃうのは寂しいです。ここに自分らの名前を、演奏を刻めたことは一生忘れられない思い出になると思うので、みんなもそれを持ち帰ってください!」(柳沢進太郎/Gt)
「俺にとって中野は聖地。上京したとき、中野ブロードウェイに通ったり、牧を含め、いろいろな人と遊んだりした思い出があります。その中野でライブができたなんてうれしい」(長谷川プリティ敬祐/Ba)
「昔、中野に住んでたから懐かしい。だから思い出深い場所だし、中野サンプラザで、ずっとやりたかったんです」(牧達弥/Vo, Gt)
「7,000人くらいの大きなホールになるらしい。そこでまたやろうぜ」(ジェットセイヤ/Dr)
ライブの中盤、go!go!vanillas(以下バニラズ)のメンバー達は建て替えのため今年7月2日を以て、50年の歴史にいったん幕を下ろす中野サンプラザへの思いをそれぞれに語ったのだった。
メンバー達が異口同音に中野サンプラザのステージに立ててうれしいと語ったのは、もちろんここが国内外のロック・アクトが多数、ライブをやってきたという意味で、日本武道館、日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)と並ぶ日本のロックの聖地だからだ。因みに筆者はここでラモーンズやキュアーの来日公演を見たことがあるのだが、それを伝えたら、メンバー達は、おぉ、すげえと言ってくれるだろうか? いや、そんなどうでもいいことはさておき、建て替えまで4ヵ月を切ったタイミングで実現したバニラズにとって最初で最後の中野サンプラザ公演に臨むにあたって、自他ともに認めるロックンロールの継承者である彼らが一つの時代の終わりを惜しむ気持ちを滲ませたとしても全然不思議ではない。そんな瞬間を見られたこともある意味、この日の見どころの1つだったと思うのだが、その一方でライブそのものは春の訪れとともに新しい時代の始まりを印象づけるものになったところにこそ意味がある。
昨年12月14日にリリースした6thアルバム『FLOWERS』をひっさげ、全国各地のライブハウスとホールを回る「FLOWERS TOUR 2023」もいよいよ後半戦に突入。柳沢の凱旋公演となるツアー・ファイナルの秋田を含め、後半戦はホール公演が主となるが、今回のツアー中、最初のホール公演となるこの日、新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインの緩和によって、ようやく出してもいいことになった観客の声をホール中に響き渡らせたい、響き渡らせようという意気込みとともにバニラズは念願だった中野サンプラザのステージに臨んだに違いない。
そんな思いに応え、SEの「RUN RUN RUN」が流れ始めた時点で、すでに立ち上がってバンドを迎えた観客は、早速、シンガロングの声を上げた。
この日、バニラズが演奏したのはアンコールも含め、『FLOWERS』の収録曲を軸に新旧のレパートリーも交えた全20曲。曲と曲の間に客席から飛ぶ歓声やメンバーの名前をそれぞれに呼ぶ声を聞きながら、本来のライブがようやく戻ってきたと改めて感じたのだろう。「元気にしてたかい? いいね! いいね!」と牧は快哉を叫ぶと、「思いっきりぶちかますから全力で受け取ってください!」と改めて、この日の意気込みを宣言。
「ソールドアウトありがとうございます。明日も(中野サンプラザ公演2日目が)あるけど、今日で果てるくらいの気持ちでやります! 君達と一緒に歌いたい。大きな声で歌ってくれ!」
そこからバンドは「ペンペン」「青いの。」他、バニラズのロックンロールを次々に披露。そして、「一緒に歌ってくれ!」と声を上げる牧に応え、シンガロングする観客の声がホール中に響き渡る。演奏の推進力を担うようにリズムを刻むプリティのピッキングのかっこよさは音源もさることながら、やはりライブで見てこそだ。
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