2023.02.16 18:00
2023.02.16 18:00
今一番欲しいものはコメディ力
──“自分のやりたい役、挑戦したい役に挑戦できる場になっている”とのことですが、では今年の『赤澤と狐太郎の日常〜明日は大事なオーディション編〜』で赤澤さんがやりたいこと、挑戦したいことは何なのでしょうか?
コメディです。僕、コメディに苦手意識があって。というのも、この仕事を初めて1〜2年のときに『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』に末っ子のトド松役で出たんですけど、お兄ちゃん役のみんなは人気者で、お芝居のキャリアも長くてコメディにも慣れていて。そんな中で僕自身はお芝居自体にも慣れていない状況だったから、自分の中での課題がすごく多かった。シリーズを重ねる中でどんどん好きにはなっていったんですけど、どうしても、お兄ちゃんたちに比べると自分はコメディができないなというコンプレックスがずっとありました。その気持ちを払拭したいなと思って、今回コメディに挑戦することにしました。今自分が一番欲しい武器がコメディ力なんです。
──『赤澤と狐太郎の日常〜明日は大事なオーディション編〜』で改めてコメディに挑戦してみていかがですか?
おもしろい……と思います。ただ、今回は特殊な演出で、果たしてどうなるんだろう。台本を読んでいた段階ではおもしろいと思っているんですけど、お客さんにどう伝わるのかは……ドキドキですね。
──しかも、出演するのは赤澤さんおひとり。
はい。共演者の狐太郎はいるんですけど(笑)。ハードルをすごく高く設置しちゃったなとは思うんですけど、この公演を経て別の作品に何かひとつでも持って帰れたらいいなと思っています。
──それにしても、苦手意識があるものをあえて、自身のプロデュース公演で挑戦しようとするのは、すごいですよね。ストイックというか。
いやいや。生き残るためにはやらないといけないことだと思うし。何よりも、苦手を潰すことで、自身がもっと表現することを楽しめると思うので。今年はコメディに挑戦しますが、「来年は歌とかいいんじゃない?」という話もしていて。今まで自分は歌が得意だという意識はなかったのですが、グランドミュージカルも経て、歌を改めてアウトプットする機会が欲しいなと思うようになってきて。だから今からワクワクしています。
──たしかに、やりたいことに挑戦する場所が1年に1回あると考えると、素敵ですね。
めちゃくちゃ楽しみだし、それをお客さんも一緒に楽しみにしてくれたらうれしいなって。「今年は何をやるんだろう」「どう見せてくれるんだろう」ということも含めて楽しみにしてほしいです。……ってまずは今年ですよね。今年の公演も成功すると良いんですけど(笑)。
──舞台の登場人物としては“2.5次元舞台界のトップアクターになりたい赤澤遼太郎”と、赤澤さんが演じるキャラクター・狐太郎の2役。舞台上では“2.5次元舞台界のトップアクターになりたい赤澤遼太郎”という設定ですが、実際赤澤さんご自身が俳優として目指しているのはどういった存在なのでしょうか?
この通り、トップになりたいです。人気がないといろいろな人に僕のお芝居を見てもらえないし、そのためにも、まず自分の主戦場の2.5次元界でちゃんと実力を認められないといけない。それができたらきっとどこでも戦えると思うんです。2.5次元界のトップを目指すというのは、実際、僕自身の今の目標です。
──先ほど「生き残っていけない」という発言もありましたが、そういった危機感のようなものを感じている?
焦りはありますね。『チェーザレ』の現場にいて思ったのは、やはり今も俳優として残られている方は、その人にしか出せない個性やお芝居を持っているということ。その人だからこそできる表現、オンリーワンのお芝居を皆さんが持っているんですよね。僕も昔、演出家さんに「自分にしかできないお芝居をやりなさい」と言われたことがあるのですが、結果的にそれが残っていくことに繋がっていくんですよね。だから“赤澤遼太郎だからこそできるお芝居”は、この先もずっと追い求めいくんだろうし、そうすることで自ずといろいろな目標が近づいてくるんじゃないかなと思っています。僕にしかできない表現をしたい。オンリーワンになりたい。そう思っています。
──そのために、今のご自身には何が必要だと考えていますか?
足りないことばかりですけど、今、自分が一番欲しいものはコメディ力です。僕はプライベートでも、計算で笑いを取れる人間じゃないので、そこは頑張っていきたいなと思っています。コメディとかお笑いというものに対して、身構えてしまう自分がいるというのがすごく嫌で。そこを乗り越えないと、上には絶対にいけないと思っていました。おそ松さんのときのお兄ちゃんたちにも「僕、ここまでできるようになりました」って言えるようになりたいという想いも強いと思います。あのとき、本当にめちゃくちゃ悔しかったから。でもコメディのお芝居でも、やっぱりその人にしか生み出せない笑いってあると思うんです。その人の顔、声、雰囲気、芝居だからこそおもしろいみたいな。だからここでも、赤澤遼太郎にしか生み出せない笑いを追い求めていきたいです。
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