2022.11.08 15:00
写真:Press Association/アフロ
2022.11.08 15:00
テイクオフのスキル
ミーゴスの3人のなかでも、特にテイクオフは三連符に緩急を与え、言葉遊びと巧みなライムスキームで、ヒップホップファンの間では高く評価されている。どのような路線の楽曲でも、テイクオフが持ち前のラップとライムでヒップホップグループとしての土台を作っていたとも感じる。クエイヴォも「テイクオフが一番ミーゴスで上手い」とインタビューで明かしており、クエイヴォとオフセットに比べてメディア露出が少ないテイクオフであったが、ラッパーとしてはミーゴスのなかで最も評価されていたと言えるだろう。2018年のソロアルバム『Last Rocket』も、ミーゴスメンバーのソロアルバムのなかで最もメディアから高く評価されており、2022年の10月にはクエイヴォとのアルバム『Only Built For Infinity Links』をリリースしている。
「Trap History」の著者であるA.R. Shawは、「テイクオフがミーゴスを結びつけている存在であることを知らない人は多い。彼はミーゴスのなかで最年少であったが、他の2人が彼の後ろをついていっている形だった。彼は最も静かで、控えめな性格であったが、ミーゴスのなかで最も優れたリリシストだと評価している人は多い」と語っている。また、クエイヴォとオフセットが音楽をやる前から、テイクオフが本格的に音楽活動をするために自宅に簡易的なホームスタジオをつくったとも明かされている。テイクオフがいなかったら同じ家に住んでいたクエイヴォとオフセットが音楽をやることもなかったと考えることもできる。
クエイヴォとオフセットに比べて落ち着いたイメージでのテイクオフであったが、「Drink Champs」のインタビューに出演した際に、一般的にも自分が評価されるときがきたと明かしていた。「俺は静かで落ち着いているけど、まじで盛り上げるときがきた。適切に評価されるときがきたんだ。亡くなってから称賛するのではなく、今評価してくれ」と語っていた。そんなテイクオフとミーゴスがラップ、そしてポップカルチャー全体に及ぼした影響は計り知れない。