2022.11.04 11:50
©「世界は僕らに気づかない」製作委員会
2022.11.04 11:50
本年度の大阪アジアン映画祭にて「来るべき才能賞」を受賞した話題作『世界は僕らに気づかない』が2023年1月13日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamura ル・シネマほか全国公開されることが決定。さらに、ポスター画像、予告映像、キャスト・監督のコメントが到着した。
トランスジェンダーである自らの経験を元に制作した『僕らの未来』が国内外で注目を集め、2022年公開の『フタリノセカイ』で商業デビューを果たした飯塚花笑監督が、レプロエンタテインメント主催の映画製作プロジェクト「感動シネマアワード」にて製作したオリジナル長編第五作。
群馬県太田市に住む高校生の純悟は、フィリピンパブに勤めるフィリピン人の母親を持つ。父親のことは母親から何も聞かされておらず、ただ毎月振り込まれる養育費だけが父親との繋がりである。純悟には恋人の優助がいるが、優助からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自分の生い立ちが引け目となり、なかなか決断に踏み込めずにいた。そんなある日、母親のレイナが再婚したいと、恋人を家に連れて来る。見知らぬ男と一緒に暮らすことを嫌がった純悟は、実の父親を探すことにするのだが……。
8年の構想期間を経て結実した本作の主人公・純悟を任されたのは、『東京リベンジャーズ』(2021年/英勉監督)でのパーちん役など、その存在感ある演技が輝く堀家一希。複雑なバックグラウンドを抱える難しい役柄かつ映画初主演という重圧もある中で、飯塚監督との深いコミュニケーションと共に丁寧に役作りをした結果、悶々として自分の本当の感情を吐露できない純悟を見事に演じきっている。息子である純悟への深い愛情を抱きつつ、感情的に厳しい態度もとってしまう母親・レイナを演じるのは、スコットランド人の父親とフィリピン人の母親を持つガウ。本格的な演技は初挑戦ながら、観客の視線を釘付けにするパワフルな演技を披露している。2022年の大阪アジアン映画祭でワールドプレミアを迎え〝来るべき才能賞“を受賞。その後ドイツ、韓国、ニューヨーク、香港、オランダ、シカゴ、フィリピンなど世界各地で高評価を得た。
この度公開されたポスターは、フィリピン人の母親・レイナと、フィリピンダブルの息子・純悟が真横を向き遠くを見つめるショットが大きく映し出される。日本語タイトルの他に英題「Angry Son」が大きくと入っており、さらに、「世界で一番嫌いな人 世界で一番愛する人」とコピーが添えられ、思春期という多感な時期にいろいろな問題がない交ぜになった環境の中、素直になれない息子の複雑で煮えくり返った怒りを感じられるポスターとなっている。予告編では、出勤前の支度をしながら営業電話をするフィリピンパブ嬢の母・レイナの様子をカメラに収める息子・純悟。そこにナレーションで「子供は親を選べない。親も子供を選ぶことはできない」と純悟の声が重なる。「ジャッピーノ。僕らのようなフィリピンハーフの子をそう呼ぶらしい」「だって俺フィリピン人で、フィリピンパブ嬢の子なんで」と自身の境遇を嘆く台詞が続き、さらに恋人からの決別宣言、母親が「再婚する」といきなり知らない男を家に連れてきたり、かつて「カマちゃん」と自身がゲイであることを理由にいじめをしていた同級生と出くわしてしまったりと彼を取り巻く苦々しい環境がつまびらかにされる
また、この度到着した監督・キャストのコメントは以下の通り。
堀家一希(渡辺純悟役)コメント
この映画の見どころはやはり、親子の愛です。
今まで気付けなかった、向き合えなかった愛に気づき、これから少しずつでも向き合えるようそっと背中を一押ししてくれる、そんな作品になっていると思います。是非、『世界は僕らに気づかない』、お楽しみください!
ガウ(渡辺レイナ役)コメント
映画のタイトル通りジェンダーや国籍または宗教、文化の間に挟まれて世界に気づかれず、理解されず苦しんでいる人々が多くいると思います。主人公の純悟やその周りの人達はその一例でしかないのですが、この映画を通して少しでも多くの人に知ってもらい考えてもらえるきっかけになれたらいいなと思います。きっとそこから認め合うことが始まり自由で平和な暮らしが出来ると私は思っています。どうぞ心で観て下さい!
飯塚花笑(脚本・監督)コメント
この世界の片隅で、ある種の生きづらさを抱える人たちの存在がどうしても気になってしまう。おそらくトランスジェンダーである自分自身のアイデンティティがそうさせて来たのだろう。今回の映画の主人公は、フィリピン人の母と日本人の父親を持つ青年だ。意外にも知られていないがこの国には、出稼ぎでやって来た沢山のフィリピン人女性が、日常に溶け込んで暮らしている。そしてその子どもたちもまた、この国の中で暮らしている。この映画で描くのは、異なる文化を持った母親への息子の眼差しであり、“愛の問題”についての物語である。この映画を観て、身近にあった愛に気づく人がいるならば……私はとても幸せに思います。