10月16日の渋谷Spotify O-EAST公演をレポート
SHERBETSが25周年に向け踏み込んだ一歩、夢を与えた男と巡る “そして未来へ” ツアー初日
2022.10.24 18:00
2022.10.24 18:00
4月27日にリリースした最新アルバム『Same』をひっさげ、5月21日から全国10カ所を回った「欲望の種類TOUR」を6月27日に終えたばかりのSHERBETSが「24th→25th ANNIVERSARY TOUR “そして未来へ”」と題した新たなツアーを、前回のツアー・ファイナルと同じ渋谷Spotify O-EASTで10月16日にスタートさせた。
スタンディングのフロアを埋めた観客が見守る中、敢えてバラードとも言えるスロー・ナンバーでライブを始めたのは、逸る観客の気持ちをジラそうとしたわけではなく、そこから一転、「Let’s party!!」と浅井健一(Vo, Gt)が声を上げ、浅井と福士久美子(Key, Cho)がともにグレッチをかき鳴らすロックンロールになだれこむスリルを味わわせたかったからだ。
キーボードの横に置かれたランタンの灯りの連想から、筆者は森の奥にある秘密の城で繰り広げられるロックンロール・パーティに導かれるような錯覚と言うか、ストーリーを勝手に想像したりもしたが、そんなドラマチックなオープニングから2時間たっぷりとステージの4人は熱演を披露していった。
12月3日の大阪Banana Hall公演までツアーが続くことを考慮して、セットリストの掲載や具体的な曲名の記述は控えさせていただくが、ツアー・タイトルが物語るとおり、来年、彼らが迎える25周年に向けたファーストアクションと位置づけたツアーだ。浅井のソロ・プロジェクトから、98年に現在のバンド編成に生まれ変わったSHERBETSがこれまで発表してきた、あんな曲から、こんな曲まで演奏したと言えば、熱心さならどんなバンドにも負けないSHERBETSのファンのことだ。どんな曲を演奏したのか、なんとなく想像がつくのではないかと思うが、そんな新旧のレパートリーを聴きながら、改めて感じたのは、楽曲の振り幅の広さだった。
ロカビリー、ロック、ジャズ、ポップス、ニュー・ウェーブ、バラード、オルタナ──SHERBETSの楽曲がまとう色彩を、よりニュアンスが富んだものにしているその振り幅を端的に言葉にするなら、そういうことになると思うのだが、クールでフランティック、ピースフルでメランコリックなSHERBETSの世界観、いや、宇宙を、この日、新旧のレパートリーの数々とともにフロアにいた誰もがアンセムに拳を振ったり、ロックンロールに体を揺らしたりしながら、存分に楽しんだことだろう。
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