5月から始まったツアーの千秋楽リキッドルーム公演をレポート
TENDOUJIが5ヵ月にわたる2マンライブツアー完走、04 Limited Sazabysを迎えたファイナル公演
2022.09.30 12:30
2022.09.30 12:30
先の見えない“コロナ禍”は、あの始まりから2年半が経った今も続いている。そんな状況下でも、人々は楽しめることを見つけ、希望を見出し進んできた。TENDOUJIがスタートさせた「EASY PUNK PARK」も、そんな企画のひとつである。イベントにこめられているのは「気軽に街のライブハウスへ行ける感覚を、みんなに取り戻してほしい。俺らもライブをやりまくる日常をちょっとずつでも取り戻したい」という願いだ。
そんな想いと共に5月から始まった2マンライブツアー「EASY PUNK PARK in West」「EASY PUNK PARK in East」は、9月21日に開催された東京公演「EASY PUNK PARK in TOKYO」で千秋楽を迎えた。対バン相手には04 Limited Sazabysを迎え、恵比寿LIQUIDROOMにそれぞれの信じる音楽を刻んだのである。
場内が暗くなると一斉に拍手が巻き起こり、先攻である04 Limited Sazabysを出迎えた。ジャーンと勢いよくかき鳴らされる楽器はすさまじい音圧で、足元から地鳴りのようにビリビリと振動が伝わってくる。GEN(Vo./Ba.)が「準備できてる? 一緒にやれる?」とフロアをたきつけ、「days」によりライブを封切った。ド頭からフルギアを踏みこんだ演奏に、オーディエンスも自然とハンズアップ&ジャンプ。前半で「Do it Do it」や「Now here, No where」といった懐かしいナンバーを投下し会場を沸かせると、後半では「Utopia」「Alien」など最近のヘビーチューンで盛り上げていく。
一段と会場が熱を帯びたのは、GENの歌いだしで始まる「Grasshopper」だ。彼がスゥッとブレスを取ると声なき歓声が響き、フロアがさらに前のめりになる。全12曲を「monolith」で締めくくると、最高な状態でTENDOUJIへステージを繋いだ。
みな自然体で身を委ねる、TENDOJIの音楽
後攻のTENDOUJIは、アサノケンジ(Vo./Gt.)のスーパーギターが冴えわたる「Kids in the Dark」によりスタートした。不規則に揺れるオーディエンスの頭は、それぞれが音を掴み楽しんでいることの証明といってもいいだろう。“お前の好きに楽しめよ”というTENDOUJIのアティチュードが、浸透していることを感じさせる。
グルーヴが波によって押し寄せる「Stupid!!」、サイケデリックなサウンドがクセになる「NINJA BOX」、ギターのカッティングに自然と躍らせられる「HEARTBEAT」とバラエティーに富んだ楽曲を展開。彼らの音楽を浴びた観客は、体を揺らしたり、クラップをしたり、こぶしを掲げたり。TENDOUJIの作り出す空気に、自然体なまま馴染んでいた。
怒涛の勢いで突き進むのかと思いきや、「I don’t need another life」を導いて一気にクールダウン。アサノの声に重なるコーラスは海風のように柔らかくなびき、無心で身を委ねたくなるような心地よい温度感を生み出す。モリタナオヒコ(Vo./Gt.)は「夏も終わりなんで、夏の曲をやります!」と宣言し「Young Love」を導き、爽やかなエモーショナルを紡いで前半を駆け抜けた。
折り返しポイントでは、オオイナオユキ(Dr.)が初めて作詞作曲を手掛けた「Blur blur」を投入。ドラムを叩きながら歌う彼が見えやすくなるように、ヨシダタカマサ(Ba)はそっとセンターからずれる。マーチを彷彿させる跳ねたリズムは軽やかで、“適当にいこうぜ”というメッセージをより説得力あるものにしていた。
「CRAZY」ではガレージロックを色濃く鳴らし、「Killing Heads」では叶わぬ恋をメロディックに歌いあげる。このご時世ゆえにコール&レスポンスできないのが心苦しいが、時期が時期であればファンの呼応が会場に響き渡っていたことだろう。タイミングを狙い定めて掲げられる手は、TENDOUJIの音楽はオーディエンスと“楽しい”を分かち合うことによって完成するのだと示唆しているようだった。
その後も「FIREBALL」「Peace Bomb」と“EASY PUNK”を体現するナンバーが続く。「COCO」ではステージ上手に出現した銅鑼を、助っ人のGENが力いっぱいに鳴らす一幕も。ラストスパートをかけるかのように、演奏は次第に熱を増していった。
最後を飾ったのは、爽やかかつブライトな「Boys」だ。穏やかな歌声は教会に響く讃美歌のようにピュアで、ハピネスが会場に充満する。歌詞も進行も劇的に変化する楽曲ではない。しかし、だからこそ王道にして至高であり、美しい。音楽が好きでたまらないということを、バンドが楽しくてしょうがないということを、TENDOUJIは純真な想いで伝えきる。爽やかに「ありがとうございました!」と叫ぶと、ステージを去ったのだった。
本編終了後には、アンコールの拍手に導かれ『MADCITY ONEMAN SHOW』の開催予告動画がステージに映し出される。その告知を受けて『MADCITY』に収録されている「HAPPY MAN」「THE DAY」「GROUPEEEEE」をアンコールで披露。モリタは「また、たくさんたくさんライブしようと思ってます!」と告げると、全国ツアーを締めくくったのだった。
いまだに自粛を必要とする日々は続いているし、元通りにならない日常に辟易してしまうこともあるだろう。しかし、少しでも“当たり前”を取り戻そうと行動するTENDOUJIのような存在もいる。こんな状況でも、変わらずにありのままで楽しめる場所を示してくれるバンドがある。彼らが全身全霊で表現する“楽しい”に身を委ねていれば、こんな現実だって気づいたときには越えられているのかもしれない。
セットリスト
04 Limited Sazabys
1. days
2. Do it Do it
3. Now here, No where
4. climb
5. Utopia
6. Alien
7. discord
8. Grasshopper
9. Letter
10. hello
11. Just
12. monolith
TENDOUJI
1. Kids in the Dark
2. Stupid!!
3. NINJA BOX
4. HEARTBEAT
5. I don’t need another life
6. Young Love
7. Blur blur
8. CRAZY
9. Killing Heads
10. FIREBALL
11. Peace Bomb
12. COCO
13. Boys
EN1. HAPPY MAN
EN2. THE DAY
EN3. GROUPEEEEE