2022.09.15 12:00
2022.09.15 12:00
9月16日より公開される映画『よだかの片想い』。本作で主人公の相手役を演じた中島歩に続き、主演の松井玲奈にもインタビューを行った。
今回松井が演じるのは、顔にアザがありながらもたくましく生きるなか、飛坂との出会いで“遅い初恋”を迎える主人公・アイコ。現実では女優、小説家など様々な顔を持つ彼女だが、今回の映画化にあたっては、松井自身が島本理生の原作小説を読み、長年映像化を熱望していたという。本インタビューでは、原作との出会いから、本作のテーマである“コンプレックス”について、そしてそのテーマを通して伝えたい作品の魅力を聞いた。
──映画『よだかの片想い』は、2012年に島本理生さんが発表された恋愛小説が元になっています。松井さんが原作に惚れ込み、映画化に繋がったそうですね。
そうなんです。7年前、渋谷のヴィレッジヴァンガードにたまたま入ったら、なぜか天体コーナーに『よだかの片想い』の文庫本が置いてありまして。それがすごく異様な光景に見えたんです。きっとタイトルだけでここに置かれたんだろうなって(笑)。当時はちょっとだけ本から離れていたんですけど、不思議と引かれるものがあって。試しに買って読んでみたら、私のすごく好きなお話だったんです。
──どこに惹かれたのでしょうか?
これまで触れてきたラブストーリーは、エンタメ要素が強かったんです。ガラッと急に見え方が変わったり展開が進んだりする作品が多かった中、『よだかの片想い』で描かれている恋愛模様って、そういう作られた演出がなくて。日常と同じように、人と人との関係を積み重ねていく中で、劇的ではなく自然と変化が起きていく。それがとても魅力的に感じました。ある時「映像化したい作品はありますか?」と聞かれて「『よだかの片想い』です」と提案したんです。仮に私が参加できなかったとしても、この作品を映像で見てみたい、と思っていました。
──映画化が決まった時は、どんな気持ちになりましたか?
数年前から映画化に向けて動きつつ、一時期は止まっていたんです。本来、主人公の松井アイコは大学生の設定なんですけど、撮影が決まった時、私は28歳になっていたので「今、大学生役ができるだろうか?」という不安が最初にありました。
──映画では大学院生の設定に変わっていますね。
そこで1つ不安が解消されました。とはいえ、これだけ多くの方が力を貸してくれて、映画を作る土台を用意してくれた。そんな中で「皆さんの期待にちゃんと応えられるだろうか?」というプレッシャーはありました。
──理系大学院生のアイコは、幼い頃から顔にアザがある女の子です。松井さんはアイコの人間性をどう捉えて、お芝居に臨まれましたか。
私の中では普通の女性だと思って演じました。顔にアザがあることがウィークポイントであり、コンプレックスに捉えてしまう人がいるとは思うんです。もちろんそれも作品の大事な要素ではあるけど、本筋はアイコが中島歩さん演じる飛坂(逢太)さんと出会って、初めて抱く恋心の物語だから、そこを重点的に演じるようにしました。アザがあることを強く意識したり、「だからこういうお芝居をしなきゃいけない」というよりかは、シーンの中でその問題が持ち上がった時に、どう反応するかを大事にしましたね。
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