2022.08.14 12:00
2022.08.14 12:00
自分の要素が役の一部になったときに演じた意味を感じる
──福地さんが、ふだんから役を作るときに決めていることや軸にすることはありますか?
外側のことですが、身に付けているものに、人は結構引っ張られると思うんです。役にとって、それは体の一部みたいだなと感じて。衣装だったり、髪型だったり、その人の性格が出るようなものは毎回すごく気になりますね。
──内面的には、頭の中でしっかりと組み立てたキャラクターを演じるタイプですか?
どうなんでしょうか……それももちろんあるのですが、現場に行くまでは相手がどんなふうに喋るのかとか、自分だけでは想像できないところがたくさんあるとも思うので…どちらかと言われると難しいですね。
──お芝居をはじめた当初から、そうやって相手のお芝居を受けて演じるような感覚がご自身の中にありましたか?
いいえ、ありませんでした。最初は「なんだろう、お芝居って」と思っていました。そこから経験を重ねて、そのほうがやりやすいなと思うようになりました。
──それが、役を演じる面白さにも繋がりそうですね。
そうなんだと思います。そのときに感じたことが自分の言葉として出てしまったとしても、それは自分に戻ったわけではなくて、自分の要素が役の一部になっただけ。そんなとき、この役を自分が演じさせてもらった意味みたいなものを少し感じられました。
──複数の撮影が同時に進むこともあるかと思いますが、役が抜けなかったりすることはないですか?
去年はお着物を着ている時間が多くあったので、洋服を着ていても、所作が日本人らしい動きというか…(笑)。写真を撮るときにお着物を着ている時の手になっていたことがありました。
──かわいらしい!!
でも、それは役を引きずるとはまた違う、クセみたいな感じですよね。お稽古して、からだに馴染んでいるみたいな期間はありました。
──気持ちの切り替えという面ではいかがですか?
(撮影時期が)重なっていたのがキャラクターの方向性など全然違う役柄だったので、使う筋肉が違うというかなんというのか……?笑い方とか、筋肉が覚えている感覚がありました。その作品作品が持っている空気感だったり、ご一緒する方によってチームによっても自分の中から引き出される部分が違ったりもするので、現場で自然と役になれたような気がします。
──お話をうかがっていて、福地さんは“出会い”を大切にされているように感じたのですが、人と接するのがお好きですか?
お話しする時間は好きですね。街で買い物するときも、物の説明とか聞いたりすると前に自分が買ったものと、知らずに繋がっていたことがあったりして、そういう時にご縁があるなと思います。その会話だけでも嬉しくなります。
──すごく素直!
市場とかに行くと、ものや旬な野菜を見つけたり、自分が惹かれたものについて話をしてくれる人がたくさんいるので、そういう場所は好きですね。
──市場に行かれるんですね。
行きます。東京にもいくつかあるので、その街にある市場をみつけたら立ち寄ります。活気があり元気がもらえる場所です。
──実際に買われるんですか?
自分がふと足を止めたものがあったら、買いますね。
──それも、ひとつの出会いですもんね。
そう思います。私は“仕事だからこう考える”みたいな、仕事とプライベートの切り替えがあまりなくて。仕事の話をしても、生活の話をしても、全部同じことを喋っている気がします(笑)。だから、その人の中から出てきた感想とか、自分にかけてくれた言葉とか、人として吸収したいと思うことがあるので常に学びだなと思います。
──なるほど。そうやって仕事とプライベートを区切らないほうが、ご自身の中でやりやすい?
それがやりやすいです。街で(インタビュアーに)お会いしても、普通にこのまんまだと思います(笑)。知らない人という感覚ではなくて、気が付いたら「あれ」って反応すると思います。
──お人柄が素敵ですね。
逆にそれしかできないんだと思います(笑)。
次のページ