おはようございます。こんにちは。こんばんは。
2回目のコラムになります。
これを読んでいるみなさんは「行きつけの店」ってありますか?
僕は友だちが少ないうえに、1人で飲みに行くことやご飯を食べに行くことも苦手です。
そんな僕が唯一、1人で入れる行きつけの店があります。バンドマンの友人が経営している「T」というお店です。
僕はそんなにお酒が強くないし味の違いもよくわかりませんが、
この店のレモンサワーはこれまでに飲んだレモンサワーでダントツに好きです!
今日のコラムは、ちょっと前の話ですが
音楽と映画の宣伝の仕事をしている友人と「四星球」というバンドのワンマンライブを観たあと「T」に立ち寄ったときの話です。
この日の四星球のワンマンライブは数年後に「伝説」と呼ばれるようなとにかく凄まじいライブでした。この伝説のライブを見た後にレモンサワーよりも甘酸っぱく、刺激的な展開が訪れるとは…
これが俗に言う「事実は小説より奇なり」というものなのでしょうか?
・
・
・
「今日は伝説のライブだったね!」
「笑って泣けるだけでなく、フリとオチ、そして伏線回収…こんなライブ初めてです!」
伝説のライブを目の当たりにした僕たちは、感動と興奮の入り混じった感情を「T」に持ち込んで、ライブの余韻をレモンサワーと共に味わっていた。
3杯目のレモンサワーを飲み終えライブの余韻も収まってきた頃、僕らの会話は映画の話題に移った。その会話が、今回のコラムのテーマ「片想い」の始まりだとはこのとき僕らも予想していなかった。
・
・
・
「ジュンさんの一番好きな映画はなんですか?」
「一番ではないけど、凄く好きなのが銀杏BOYZの曲をモチーフにした『いちごの唄』って映画…知ってる?」
「あっ、石橋静河さんの出てる…!」
「そう!それ大好きなんだよね!」
「じゃぁ、石橋静河さんと柄本佑さんの出てる作品、知ってます?」
「えっ…それは見てない…」
「あっ、やっぱり!」
「それって『君の鳥はうたえる』ですか?」
L字のカウンターテーブルの一番遠い席にいた女性のお客さんが不意に僕らの会話に加わってきた。
「そうです!見ました?」
「はい!染谷くんが良い味出してますよね!」
初対面の2人が好きな作品の話で一瞬にして急接近し、盛り上がった。
それと同時に話についていけない僕は急に疎外感を覚えた。
そもそも僕は邦画しか観ないうえに年間5本くらいしか映画を観ないので、しばらく2人の会話に耳を傾けながらひたすら無言で相槌を打っていた。
「坂元裕二の新しいドラマ観ました?」
「えっ…観てません!」
・・・
えっ!?
坂元裕二さん?
僕が参加出来なかった2人の会話に知っている名前が出てきた…チャンスだ!
「今、坂元裕二さんって言いました!?」
ドラマ・映画にあまり詳しくない僕でも脚本家・坂元裕二さんの作品となると話は別。一気にテンションが上がった!
「はい!坂元さんの新作見ました?」
「いえ!観てないですけど…僕、坂元さんのファンです!」
「あ、私もです!」
坂元裕二さんといえば、昨年大ヒットした映画「花束みたいな恋をした」の印象が記憶に新しいが、元々テレビドラマで数々の名作を生み出してきた希代のヒットメイカーです!
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』『最高の離婚』『anone』『それでも、生きていく』
坂元さんの好きな作品が多過ぎて思わず話に熱くなってしまったが、カウンターテーブルの向こうからもほぼ同じ熱量で坂元さんへの愛が返ってきた…
しかも彼女は映画に詳しいだけでなく、この日の服装を見たら、ファッションに興味があることもすぐにわかったし、映画『花束みたいな恋をした』の話で音楽ネタにも詳しいことも伝わってきた。
「(映画『花束みたいな恋をした』に)きのこ帝国、フレンズ、羊文学、ceroをさりげなく使うのヤバくないですか?」
「NUMBER GIRLのTシャツもさりげなくズルいですよね!」
「オーサム(Awesome City Club)のPORINが出てきたのもびっくり!」
「ですよね!!」
・
・
・
趣味の合う人と話していると時間が経つのが早い。気がついたら、坂元さんの話題で1時間くらい過ぎていたようだ。
「あっ、ヤバい。もう電車がなくなりそう…!」
「残念…この続きはまた今度!」
「はい!いくらですか?」
「3000円ちょうどです」
「はい。では、お先です!」
よほど終電がギリギリだったようで、彼女は1000円札を3枚お財布から出すと同時にテーブルに置きお店を飛び出していった。
彼女の名前も連絡先も聞けないままこの日は別れてしまった。
けれど、1つだけ約束はしていた。
「こないだ坂元さんの朗読劇に行ったんですけど、『往復書簡 初恋と不倫』って知ってますか?」
「えっ!?朗読劇!?知らないです。面白いんですか?」
「朗読劇も面白かったですが、その小説も面白いですよ!」
「えっ!今度貸してください!」
「はい!今度ここに持ってきますね!」
僕は坂元さんの小説を貸す約束を勝手に取り付けたのだった。とはいえ、連絡先も知らないので約束もできず、それから毎日、僕はカバンに坂元さんの小説―しかもハードカバーの重いやつ―を数冊入れて持ち歩いていた。
「T」に行ったら、また会えるかな?
という淡い期待と重いバッグを抱えつつ、その後「T」には3度足を運んだけれど、残念ながら一度も彼女とは会えなかった…
ちなみに…今回このコラムでは坂元裕二さんのことを熱く書いているけど、普段ブログやSNSで、音楽以外のこと―小説やドラマ、映画の話―はこれまでほぼ書いたことがない。
僕は好きな音楽の話だったら永遠に話していられるけれど、ゲームやお笑いやファッションにも疎くこれまで書いたことはない。
ファッションの話とか書いたら「いいね 」が増えたり、こないだの彼女も「友達申請」してきて連絡先交換とかできるのかな…?
たまにはそういうブログを書いてみようかな…
あっ、そういえば…
数年前、「ブランド」についてブログを書いたことが1度だけあった。
↓ ↓ ↓
2016年7月のブログより
【COACH】
♪
ヴィトン ブルガリ グッチ エルメス
ティファニー プラダ シャネル カルティエ
僕が全部 買ってあげるから
銀杏BOYZが20年くらい前に「援助交際」という名曲を作ったのですが、上に書いたのは、その歌詞の一部です。
僕は歌詞に出てくるブランド品は1つも持っていないし、ブランドにはあまりに詳しくありません。
ここで質問です。
「COACH(コーチ)」というブランドはこの歌詞に出てこないけれど、
援助交際する人は「COACH」の商品をプレゼントされても嬉しくないのですか?
あ、別に援助交際をしている訳でも、
誰かにプレゼントを考えている訳でも、
急にブランドに目覚めた訳でもありません。
じゃぁ、何で「COACH」かって?
今からロケで「高知」に行くんですよ。
・・・
誰か僕にダジャレの「コーチ」をしてください。
(ブログここまで)
この頃は毎回、タイトルでヒキを作ってダジャレオチで終わるブログばかり書いてました。
爆笑を取るようなオチはほぼありません。
「くだらねえなぁ(笑)」と、クスリと笑ってもらえればそれ以上に望むことはありませんでした。
基本的に欲しがりな性格ではないので、誰かに褒めて欲しいというよりは自己満足で「タイトルとオチ」を完結させたかったんですよね。
そしてブログに凝ってる時はだいたい仕事が充実してない時なんです。クリエイティブな刺激が物足りなく、「文章を書くこと」に脳を働かせて満足していたのだと思います。
最近はダジャレブログは一切書いていません。
クリエイティブな文章を書いていないというのは「仕事が充実している」ということですかね?
そんな中、今回は「片想い」という、久々にヒキのありそうなタイトルでコラムを書いてみました。
さぁ、先ほどの続きはどうなったのでしょう?
続きをご覧ください。
「こんばんは!」
「あっ、ジュンさんいらっしゃい!」
翌週、再び「T」に足を運んでいた。
この日は月曜日ということもあり、まだ僕以外のお客さんはいなかった。友人の店員と30分くらい雑談をした頃に僕は我慢できずに聞いてみた。
「そういえば、こないだの坂元裕二さんの作品好きな人、最近来てる?」
「あっ、最近来てないですね…明日仕事休みだから今日あたり来るかもしれないですね」
「そうなんだ。また、こないだの話したいん…」
ガチャ…
会話の途中で、お店のドアが開いた。
僕は無意識にカウンターの方に目を向け、誰が入ってきたのか見ないようにした。
「いらっしゃいませ!あっ、ジュンさん来てますよ!」
えっ!?
本当に来たの!?
・・・
僕は恐る恐る入り口の方を見た。
「ジュンさん、お久しぶりです!」
「なんだカザマか(´・ω・`)。。。」
知り合いの売れないバンドマンだった…
僕の淡い期待は裏切られてしまったけれど、この日もレモンサワーは裏切ることのない安定の美味さだった。
そしてカザマとの会話も楽しくて時間が経つのを忘れて長居してしまった。
終電の時間が迫ってきたので、僕は会計を済ませ、トイレに入った。
トイレから戻ると「あの人」がカウンターの端にいるとかそんなミラクル起きないよな…?
立ったまま用を足しながら僕は妄想に耽っていた。そして、ゆっくりとトイレの扉を開けると…
・
・
・
やっぱりカウンターには、売れないバンドマン(カザマ)の姿しかなかった。
「いつもありがとうございます!そろそろ終電ですよ」
トイレから戻ると、優しい店員さんが僕のバッグを持って待ち構えていた。
「あっ…ごめん!重いよね?」
「荷物、多いですね。何が入ってるんですか?」
「夢」
「・・・」
「えっ?酔ってます…?」
「いや、冗談(笑)」
・
・
・
彼女に貸す約束をした小説をいつ会っても渡せるように、毎日健気に持ち歩く僕はどこからみてもセンチメンタルな男だった。
よいしょ。
重いトートバックを右肩に背負い、お店の階段を下った。今日は沢山の小説に加えノートPCもカバンに入っている。いつもより重いトートバッグの持ち手の部分が肩に食い込む…
あぁ肩重い…
肩重い?
カタオモイ?
「片想い」
・
・
・
誰か、僕にダジャレのコーチをしてください。
連載2回目のコラムが突然、恋愛物語のような作品で驚かれた方もいるかもしれません。
僕は以前「妄想ブログ」という作品を趣味で書いていました。
今回の作品も完全に妄想物語です。
物語の展開にちょっとだけキュンとなったり、
くだらないオチに「クスリ」としてもらいたい、
それ以上でも、それ以下でもありません。
あっ、1つ言い忘れていましたが、この物語全てが妄想ではありません。レモンサワーの美味しいお店でたまたま居合わせたお客さんと「坂元裕二」さんの作品の話で盛り上がった、というのは本当の話なんです!
(ただし、相手は僕と同世代の男性客でした )
このコラム「いいね 」とかないので評価はわかりませんし、評価は受け付けません。
ただ、最後まで読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました(о´∀`о)
♪オススメの「音」