2022.07.18 12:00
気がつけば僕はまたここに必死に“駆けつ”ける。
『地雷震』との出会いは齢19の頃…20年以上前になる。
これまでも家にあったものは何度も繰り返し読んでいたりと、漫画が好きには変わらなかったのだが、別段新しく買い足すこともそれほどなく、なんとなくな浪人生活を過ごしていた。
そんなある朝、とあるきっかけで(またその作品の時に話せるはず)どうしてもその作品が読みたくなり近所の書店に原チャリ飛ばして駆けつけ夢中で読破。そして久保田悠来に第2次漫画ブームが起こる。
しかも今度はより一層大人向けで刺激あるいわゆる青年誌を中心に。
その時に次何を読もうかなと本棚舐めまわしていたところふと目があったのが『地雷震』。
1巻の表紙の飯田響也(主人公)とまさしく読んで字の如く目が合ったのだ。
当時はそこまでネットにレビューなどが落ちてるわけでもなくとりあえずジャケ買い的な買い方をしていた。自分的な当たり外れも読んでみなければわからないのでとりあえず3巻くらいまで買ってみる。
結果いつの間にか再び原チャリに跨がり宝庫に駆けつけ全巻を購入。
更に僕の漫画ブームは加速し、そして高橋ツトム作品の虜になり、そのまま先生の作品は片っ端から買い漁ることとなった。
主人公の飯田響也は刑事である。事件解決の為なら善悪手段を選ばない男。一歩間違えば犯罪者側にいてもおかしくないような人間故に犯罪心理を巧みに読み取り冷徹に事件を片付けていく。そんな中時折見せる優しさ。そんなものはずるいに決まっている。こんな男になりたい。彼の愛煙しているショートホープも吸いたいくらいだ。生まれてこの方非喫煙者だが。
読み進めていくうちに人間の深淵をいつの間にか覗き込んでいる俯瞰の自分を飯田響也の視線に気づかされる。
そしてその飯田と対峙する犯罪者達もどこかカリスマ的に描かれている人物や強い信念を持っているためドラマが両視点から繰り広げられ犯罪心理描写はより深みへと堕ちていくのだ。
事件解決後の飯田響也の放つ一言には毎度撃ち抜かれ全身の毛が起立を越え敬礼する。
役者をやっている今、この地雷震で描かれるているものがどこか演技の血肉となっているのは間違いない。
そしていつの日かこんな役に巡り会えたらと思わせてくれる男飯田響也。
僕はその日まで駆け続け、役者人生を“力ける”。