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宍戸里帆のViddy Well 見る作品評『リンダ リンダ リンダ』
#4 2023.09.21 19:00
私は中学生の時に山下敦弘監督作『リンダ リンダ リンダ』(2005)を見て、高校で軽音楽部に入部する事を決めた。文化祭直前、ボーカルが脱退し路頭に迷うガールズバンド(恵、響子、望)に韓国からの留学生(ソン)が飛び入りで参加して後夜祭出場を目指すという、一見突拍子も無いストーリーのこの作品が自分の中で青春映画の金字塔となったのは、多くの人が抱いているであろう青春というものへの晴れやかなコンプレックスを見事に奏でていたからであろう。 この映画は、いわゆる“青春映画”と呼ばれる作品群の中でも異質な雰囲気を放っている。「韓国人留学生のソン」という存在そのものがその根元になっている事は確かなのだが、オフ<a href="https://bezzy.jp/2023/09/32868/">…
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宍戸里帆のViddy Well 見ることを恐れるな
#3 2023.05.01 17:30
私たちは見る。何気なく目の前の景色を、映画を、世界を、あなたを見る。何を見ているのか、それ自体意識する事なく、次から次へと視界に入ってきた情報は記憶の中を素通りしてゆく。そんな繰り返しの中で、偶然目に入った名前も知らない誰かの美しい横顔を、こちらを不思議そうにじっと見つめる赤ん坊の瞳を、何気なく思い出す。もしそれらが全て、偶然ではなかったら。あなたが選んだ結果なのだとしたら。 私たちが人間である以上、視界に入ってくるのものは自らが見たいと望んだものだ。生まれたての雛は最初に見たものを親だと認知する習性があるらしいけど、私たちは親であれば良いと思う人物を親として視認してゆく。何かを見ているという<a href="https://bezzy.jp/2023/05/24743/">…
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宍戸里帆のViddy Well 視線の先には何がある
#2 2023.02.13 19:00
皆さまこんにちは、宍戸里帆です!第2回目となる今回は、この連載のタイトルである“Viddy well”の由来に迫るものになります。 “Viddy”とは、『時計じかけのオレンジ』の作者で言語学者でもあったアンソニー・バージェスが生み出した、「見る」事を意味する造語です。この作品の主人公アレックスは、我々に向かってこう言い放ちます。 “Viddy well, little brother. Viddy well.”「見るんだ、兄弟。よく見てろ。」 この連載は、前々から私が興味を抱いている「みる」という営みの本質を、映画を通じて様々な視点から解き明かしていきたいという思いから始まりました。何故なら「<a href="https://bezzy.jp/2023/02/19112/">…
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宍戸里帆のViddy Well 見ることで“それ”を超えてゆけ
#1 2022.11.14 17:00
1895年12月28日、パリのグラン・カフェに生み落とされたそれは、誕生と同時に未来を失った。この日が所謂、〈映画が生まれた日〉である。しかしこの日付はカメラが作られた日でもなければ、初めて撮影が行われた日でもない。なぜか“それ”は、人々の前で初めて上映された日を誕生の瞬間とした。 皆様、はじめまして。この度、Bezzyにて映画に関するコラムを書かせていただく事になりました、AV女優の宍戸里帆です!私の事を知らない方は、何故AV女優が映画に関する文章を書くのかを不思議に思う事でしょう。逆に、既に私の事を知っている方は、私からやっと映画にまつわる話が聞けると思っていただけているかもし<a href="https://bezzy.jp/2022/11/11180/">…
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