2026.02.24 19:00
2026.02.24 19:00
30歳の誕生日に、自分の夢を形にする。それだけでも十分すごいことなのに、藤原丈一郎はさらに、その翌日にフルマラソン初挑戦という無謀ともいえるスケジュールに挑んだ。なぜ、彼はここまでするのだろう──その答えは、この舞台を観れば分かる。
なにわ男子の藤原丈一郎によるセルフプロデュース公演『じょうのにちじょう』が、藤原の30歳の誕生日となる2月8日に大阪で幕を開けた。大阪では5公演が大盛況のうちに幕を閉じ、そして残り25公演が2月23日(月・祝)から東京・グローブ座にて開幕。2月22日開催の大阪マラソンへの出場を電撃発表した数時間後、藤原はグローブ座にてゲネプロ公演及び会見に臨んだ。

『じょうのにちじょう』は藤原が構成・演出・出演を手掛ける作品。高校時代から書き溜めてきたメモにアイデアをもらいながら、自ら企画書を作成し事務所にプレゼン。そして、実現へとこぎつけた、彼の“挑戦したいこと”がぎゅっと詰まった内容となっている。
ストーリーの軸となるのは小学生の丈一郎。家族紹介の作文を書くという宿題が出され、丈一郎は頭を抱える。なぜなら、彼の家族はちょっと変わっているから。ここから藤原が母親や祖父、兄や姉に扮しながら、彼らなりの愛情をユーモアたっぷりに、趣向を凝らしたコーナーと共に丈一郎に伝えていく。
セリフの半分がアドリブのワンマンショー
まず驚かされるのが、膨大なセリフ量。約90分、藤原は淀みなく話し、客席にもボールを投げ、リアクションを拾い、そして物語を進行させていく。本来のセリフはそのうちの半分で、残り半分はその場のアドリブだというから驚きだ。ゲネプロではカメラマンや記者を相手に、「ええ感じに撮ってくださいね」「もう少し声、出せますか? みなさんもお仕事で大変かと思いますが、僕もこれが仕事なんです(笑)」と、ゲネプロならではのネタを次々と放り込み、常に妥協しない全力のトークスタイルを見せつける。

大阪のおかんといった出で立ちで登場してノリノリで歌を披露したかと思えば、次の場面では足を骨折した野球好きの兄の姿で登場する。
野球フリークである藤原そのもののような兄は、ステージ上で野球ゲームの「パワフルプロ野球」(通称「パワプロ」)をプレイ。なにわ男子のメンバーや事務所の先輩後輩で作り上げた2チームによる試合を、毎公演ガチンコでやっているのだ。この日は本人曰く「大当たり回」とのことで、なんとも劇的な試合展開に。サヨナラ逆転のチャンスで、弟・丈一郎を模した選手がバッターボックスに入り、そのまま勝利の一打を決めてみせた。さすが“持っている男”である。

ゲームをする姿というのは本来地味だが、決してそうはならないところに藤原自身のオーラを感じざるを得ない。溢れ出る野球愛と、どんな展開にも即座に反応する彼のトーク力が、ゲーム画面を見ているだけの時間を最高のエンタメに変えていく。会見では30代の夢として「オリックス・バファローズが日本一になる姿を見たい。そしてビールかけに参加したい」と語っていた藤原。そんな野球への情熱が、ステージ上でも全身から溢れ出ていた。
毎回ガチンコ勝負だからこその面白さが楽しめる「パワプロ」企画。だが、見どころはもう一つある。小学2年生の頃から事務所に所属してきた藤原の仲間への温かな視座を感じられる点だ。両チームのオーダーを組む際や、選手がバッターボックスに入った際の藤原のコメントがなんとも愛に溢れている。一つ一つは「(横山裕は)ほんまに色白」といった、ほんの一言。だが、その声色に滲む温かさが、日頃の関係性の良さを物語っている。先輩・後輩・同期、と何人分ものエピソードを聞けるこの企画は、野球ゲームでありながら、藤原の“人となり”が最も表れる瞬間でもある。
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