2025.08.24 13:00
©2025映画「海辺へ行く道」製作委員会
2025.08.24 13:00
横浜聡子監督の最新作で、8月29日(金)に公開される映画『海辺へ行く道』のキャラクター紹介動画が解禁された。
本作は、漫画家・三好銀の晩年の傑作『海辺へ行く道』シリーズの映画化。脚本・監督を『ジャーマン+雨』『ウルトラミラクルラブストーリー』などで話題を巻き起こして来た横浜聡子が担当し、約800人のオーディションを経て抜擢された15歳(当時13歳)の原田琥之佑が主演を務める。共演には麻生久美子、高良健吾、唐田えりか、剛力彩芽、菅原小春、諏訪敦彦、村上淳、宮藤官九郎、坂井真紀ら個性豊かな大人たちに加え、蒼井旬、中須翔真、山﨑七海、新津ちせなど実力派の若手俳優が集結。さらに、ラップトリオDos Monosのフロントマン荘子itが、自身初となる映画音楽を担当している。
物語の舞台はアーティスト移住支援をうたう、とある海辺の街。14歳の美術部員・奏介とその仲間たちが大人たちから受ける不思議な依頼をきっかけに、ものづくりに夢中で自由奔放な子供たちと秘密と嘘ばかりの大人たちの、優しさとユーモアに満ちた少しおかしな人生讃歌が描かれる。
今回解禁されたのは、主人公・奏介と彼を取り巻く大人たちのキャラクター動画を集めた2種類の特別映像。〈予感編〉には、いろんな事を頼まれがちな奏介、彼と一緒に暮らす寿美子(麻生久美子)、妙な関西弁の包丁売り・高岡(高良健吾)、高岡の恋人でパリへ行きたいと願うヨーコ(唐田えりか)の4名が登場する。アトリエで創作に励む奏介、飼い猫の行方を気にかける寿美子、魚を華麗に捌く高岡、“わたし、宇宙へ帰るとこ”と金魚を預けるヨーコなど、それぞれの個性が際立つシーンが収められている。
また〈自由編〉に登場するのは、街の不動産屋でアーティストや移住希望者へ住居を案内する理沙子(剛力彩芽)、アーティストから借金を回収しに街に戻ってきたメグ(菅原小春)、いつも海からランチを食べにやってくる五郎(宮藤官九郎)、海辺でランチを販売する静香(坂井真紀)の4名。思わずクスっと笑ってしまうユーモアを感じさせ、キャラクターたちの魅力あふれるシーンが盛り沢山の映像となっている。
さらに、劇場公開を前に本作を鑑賞した著名人からの応援コメントも到着した。俳優の池松壮亮は「横浜聡子作品が優しい寄り添いと共に、消えることのない深い余韻をまた残してくれた」とコメント。先日、横浜聡子監督が参加した瀬戸内国際芸術祭の総合ディレクターを務める北川フラムは「発生期の美術が立ち向かう混沌と断絶の現代社会を爽やかに流れゆく、映画ならではの透明な気持ちの良さ。横浜聡子は断絶の時代のメルヘンを描いた」と、映画を絶賛している。
原作の著者・三好銀とも交流があった漫画家のやまだないとは「白黒の三好さんのあの海辺の街に色がつくと、きっとこんな風景だったんだな。無表情なようでいて、みんなこっそり日々のすみっこのできごとににんやりしてる。ひっそり明日を楽しみにしてる。吉祥寺でもかかるんだって,三好さん。あ、照れてますね?」と語っている。さらにアーティストの長場雄からは、奏介とメグの姿を捉えた劇中ワンシーンの描き下ろしイラストが寄せられた。

なお、本作はすでに海外でも高い評価を受けており、第75回ベルリン国際映画祭ジェネレーションKplus部門で特別表彰を獲得。TIFFネクスト・ウェーブ映画祭、アジアン・フィルム・アーカイブ、台北映画祭、カラコルム国際映画祭でも上映され、今後もアジアン・シネラマ(香港)2025やカルガリー国際映画祭など、国内外の映画祭への出品が決定している。
コメント一覧
池松壮亮(俳優)
横浜聡子作品が優しい寄り添いと共に、消えることのない深い余韻をまた残してくれた。
驚きや可笑しみや、創造することが日常の隣にあるこの街では、不思議なことや、魔法のような出来事が日々起こる。
アートとは何かという問いに現代からの答えは無いが、ここには神秘的な出会いや喜びが溢れている。
この街の誰でもないところからの眺めは、わたしたちを純粋で豊かで、生き生きとした場所へと誘ってくれる。
北川フラム(アートディレクター)
真っ青な空と海を背景に、若者の感覚が交錯するやわらかな展開に、こちらの日常性が揺らいだ。
不思議さ、感応、包摂、循環、浸透、ズレ・・・。
発生期の美術が立ち向かう混沌と断絶の現代社会を爽やかに流れゆく、映画ならではの透明な気持ちの良さ。
横浜聡子は断絶の時代のメルヘンを描いた。
やまだないと(友人・漫画家)
白黒の三好さんのあの海辺の街に色がつくと、きっとこんな風景だったんだな。
無表情なようでいて、みんなこっそり日々のすみっこのできごとににんやりしてる。
ひっそり明日を楽しみにしてる。
吉祥寺でもかかるんだって,三好さん。あ、照れてますね?
トミヤマユキコ(マンガ研究者/白百合女子大学准教授)
三好銀のマンガを読んだ後に感じる、夢と現実のあわいをふわふわ心地よく漂う感覚を、この映画からも感じることができた。横浜監督が原作を全力で愛しつつ、しかし、ただマンガをなぞって終わりにならないよう、
じっくり丁寧に映像へと昇華してくれたことが伝わってきて、わたしまでうれしい気持ちになった。
へんてこで、かわいくて、どこにも似ていないこの街に、わたしもいつか行けたらいいのに。
宮代大嗣(映画評論)
横浜監督のフィルモグラフィー上、もっとも大きなスケールと未来への視野を持った傑作!
この道はどこへ続いていくのか?
自分の選んだ道は、果たして正しかったのだろうか?
この映画に吹く潮風の香りは、すべてを笑いとばしてくれる。ウソっぱちな言葉に救われる心を発見する。
思いがけないダンスに救われる体を発見する。
あなたがついてくれた小さなウソに、来世でも感謝したくなる。
伏見 瞬(批評家/ライター)
たくさんの魅力が混ざっている。
少年が新たな世界に出会う青春劇の魅力。うさんくさくて不思議な人々が織りなすコメディの魅力。
太陽と海の間で溢れる光の魅力。
そして、撮影と編集によって躍動を生み出すアクションの魅力。
魅力の混ざった柔らかいメレンゲの中で、アートと資本の関係が再定義されていく。
誰かを糾弾することなく、映画という形式への愛を持って表現と社会を捉え直した。
長く愛されるべき映画。