「とてつもない緊張と高揚が連鎖した」と綾野が話すシーンとは
綾野剛×柴咲コウ×亀梨和也が共演裏話と作品の魅力を語る、映画『でっちあげ』特別映像2本解禁
2025.05.21 18:00
©︎2007 福田ますみ/新潮社 ©︎2025「でっちあげ」製作委員会
2025.05.21 18:00
6月27日(金)より公開される綾野剛主演映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』の特別映像と新場面写真が解禁された。
日本で初めて認定された教師の体罰事件を描いた福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を映画化した本作の主人公は、児童・氷室拓翔への体罰で保護者から告発された小学校教諭・薮下誠一。その内容は聞くに耐えない虐めで、報道をきっかけに薮下は「史上最悪の殺人教師」と呼ばれ停職処分に。その後児童側を擁護する550人の大弁護団が結成され民事裁判へと発展するが、法廷は担当教諭の完全否認から幕を開けることになる。
監督は、映画『悪の教典』(12)や『怪物の木こり』(23)などのほか、ドラマ『新・暴れん坊将軍』でも監督を務める三池崇史。キャストには薮下誠一役の綾野剛のほか、柴咲コウ、亀梨和也、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫ら豪華キャストが集結した。
先日、「世にも<奇妙>な家庭訪問」と題し、殺人教師の疑惑をかけられた薮下(綾野剛)とその対象とされる児童・拓翔への体罰を訴える母親・氷室律子(柴咲コウ)、双方の主張をもとにした回想シーンの本編映像が公開されると、「どっちもヤバいじゃん…!」「二人とも演技力すごすぎ」との声が続出。今回はコメント映像と本編、メイキング映像を掛け合わせた特別映像「感想編」「共演編」の2本が同時解禁された。
感想編では、薮下誠一役の綾野、氷室律子役の柴咲、週刊春報の記者・鳴海三千彦役の亀梨が、それぞれのキャラクターに絡めて本作の感想を語っている。映像には、朝の薮下家での1シーンが登場。顔面蒼白の薮下が震える手で持つ週刊誌には、自身の名前とモザイク入りの顔写真が載っていて、テレビからは「悪魔のような教師」と読み上げるアナウンサーの声が聞こえ、玄関前には何十人もの報道陣が押し寄せる。そんな世間に追い詰められた薮下を演じた綾野は「彼(薮下)があらゆることに巻き込まれていくわけですが、“巻き込まれている”という見方だけが正しいのかといわれると、それも違う気がする」とひときわ多くの登場人物と接した綾野ならではの視点で振り返る。また、本作の見どころの一つでもある豪華キャスト陣との共演については「芝居合戦というよりはノーガードの撃ち合いのよう」と話した。
同様に律子役の柴咲も「お芝居をする側としてのワクワク感」「『綾野さんとバチバチできるのかな?』みたいな」と俳優としての高揚感があったことを振り返る。律子を演じるにあたっては「確固たる強さ」を表現するために、瞬きを控えるなどして目に見える形でも役作りを工夫したという。一方で、「記者としての正義・使命」を全うすべく事件を追いかける鳴海役の亀梨は、「人間の複雑さ」「一つの答えには辿り着かないもどかしさが、この映画の魅力」だとコメント。自身の役について「記者としての正義や使命が役としてあったと思う」と振り返り、その表現の仕方について強弱を大事にしたことを明かした。そして綾野が最後に「あらゆることはそんなに単純じゃなくて、角度によって全部違う」と語っている。
共演編では、お互いの印象について振り返っている。綾野が「とてつもない緊張と高揚が連鎖した」と語るのは、律子の供述をもとにした家庭訪問の回想シーン。片手にタオルを持ちながら靴下のまま部屋に入ってくる薮下の、濡れた前髪から覗く目は狂気に満ちている。このシーンについて綾野は「柴咲さんから出ている律子のムードを受け取れたので、あの薮下が生まれた」と柴咲あってこその演技だったと話した。一方で、柴咲も綾野の仕草一つ一つを挙げながら「薮下先生の振る舞い方を作るのが本当に上手だった」と絶賛した。
また、カラスの鳴き声が不気味に響く薮下家の玄関前のシーンについて、綾野と14年ぶりの共演となった亀梨は「役として(綾野に)しっかり突っ込んでいけるか」が肝だったといい、綾野の現場での出で立ちや向き合い方に「真似したくてもできない」と感動を伝えた。綾野も「(亀梨に)引き出されて、見たことのない声やパワー」が出たようで、「(役を)ちゃんと自分ごととして捉えている姿」に改めて感銘を受けたと語った。さらに、綾野は三池監督の印象について「俳優が何をするかということを受け止めてくださる」と話し、綾野が何パターンか提案(演技)した後、いずれかを選択する形で撮影を進めたとの裏話を明かした。
併せて新場面写真3点が解禁された。1枚目は、児童・氷室拓翔への体罰があったとして、保護者に向けて謝罪と説明をするという意図のもと開かれた保護者懇親会でのシーン。校長・段田重春(光石研)の指示でこの会に出席した薮下が、必死に何かを訴えかける鬼気迫る表情を捉えている。

続いて、夫・氷室拓馬(迫田孝也)を従えて学校に乗り込む律子のシーンのカット。黒のジャケットを羽織り、シャツのボタンは一番上まできっちりと締めており、すれ違う児童には目もくれず鋭い眼差しで進むその姿からは、息子を守る母親の強い意志が感じられる。

また、鳴海が週刊春報の編集部で上司である編集長・堂前(髙嶋政宏)にでき上がった原稿を見せているカットも。身を乗り出し真剣な表情で訴えかける鳴海の姿が印象的な写真となっており、鳴海の気概に押された堂前は、体罰事件の実名での報道に踏み切ることになる。
映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』場面写真 ©︎2007 福田ますみ/新潮社 ©︎2025「でっちあげ」製作委員会