魅力的な実力派たちがノスタルジックなサスペンス劇に挑む
岩松了の新作戯曲で勝地涼×河合優実×小泉今日子が共演、舞台『私を探さないで』10月上演決定
2025.04.23 12:00
2025.04.23 12:00
勝地涼主演、共演に河合優実、小泉今日子らを迎える舞台『私を探さないで』が10月11日(土)から11月3日(月)に本多劇場にて上演されることが決定した。東京公演後は、大阪、富山、愛知、広島、岡山と全国へ巡演する。
本作は眞島秀和主演『クランク・イン』(2022年)、黒島結菜主演『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』(2023年)、仲野太賀主演『峠の我が家』(2024年)などを発表し、高い評価を得てきた岩松了がM&Oplaysと定期的に行っているプロデュース公演の最新作。スティーブン・ミルハウザーの短編小説『イレーン・コールマンの失踪』にインスパイアされ、背景を現代の日本へと置き換えた岩松流のサスペンス劇として上演される。
主人公は、結婚が決まりその報告のために郷里の町に帰省した古賀アキオ(勝地涼)。この町をなつかしく思うと同時に、高校の時に失踪した三沢アキラ(河合優実)のことを思い出したアキオは、失踪の原因は自分にもあるのではないかという思いにとらわれ、高校の時の担任で、今は作家になった大城ユイ子(小泉今日子)と再会する。彼女は本当にあの時の少女なのか。それとも抱き続けた贖罪の気持ちが見せた幻なのか。深まる謎を解き明かそうとするほど、男の不安が大きくなってゆく。
古賀アキオ役の勝地涼は、舞台『いのち知らず』以来4年ぶりの岩松作品への参加。物語の重要なキーパーソンとなる謎の失踪を遂げた少女・三沢アキラ役の河合優実は、今回が岩松作品に初参加となる。そしてアキオとアキラの高校時代の担任で、現在は作家になっている大城ユイ子役を演じる小泉今日子は、2016年の舞台『家庭内失踪』以来の岩松作品参加となり、舞台『ピエタ』ではプロデューサーも務めるなど幅広いフィールドで活躍中。さらにユイ子の作家活動を支える助手役には、今作で岩松作品3作目の出演となる富山えり子。アキオとアキラの高校の同級生役は、俳優活動のみならずバンド「貉幼稚園」でギター・ボーカルおよび作詞・作曲も務める篠原悠伸と、『峠の我が家』『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』など岩松作品にも出演し安定した演技力を誇る新名基浩が演じる。
魅力的で実力派ぞろいの豪華キャストたちが繰り広げる、ノスタルジックでありながらどこか不穏な雰囲気漂う世界。作・演出の岩松了と勝地涼、河合優実、小泉今日子からコメントも到着した。
コメント一覧
岩松了(作・演出・出演)
S・ミルハウザーの『イレーン・コールマンの失踪』という短編を読んで、失踪した本人もさることながら、それがまわりの人間を被害者的な感覚に陥れるという視点に興味を惹かれた、のが始まりです。
河合優実という女優が、この失踪者であると思った時、私の中でドラマが動き始めたのは、ふと姿を消し我々を不安に陥れる何かを彼女の中に見たからでしょう。
その失踪を「若さ」が時に向かう「負への傾斜」として「物語」に変えようとする小泉今日子。彼女の中ではそれが「若さ」に対する「嫉妬」なのか「憐れみの情」なのか判然としない。
勝地涼は、河合優実の失踪を自分の青春の汚点と感じるが、失踪者である河合優実自身が彼の前に現れて「あなたがそうやって私を思い出す時間と、私のことをすっかり忘れている時間はどう違うの?忘れてる時間がはるかに多いわけでしょう?だとしたらたまに思い出す時間はどういう時間なの?」彼はその問いに詰め寄られながら、人生の次の一歩を踏み出す。
……3人には、そんなドラマを体現してくれることを期待している、ということです。
勝地涼(古賀アキオ役)
「いのち知らず」の公演時に、岩松さんから「次もやりたいね。 25年か26年かな。」と言っていただけて、こうして実現したことが嬉しいです。
岩松さんは公演の数年前から構想をお持ちなので、今回は「ある少女が失踪した話にしたい」と仰っていて、それだけでも興味深かったのですが、今は戯曲が読みたくてウズウズしています。
自分の初舞台は岩松さんの戯曲、小泉今日子さん主演の作品でした。 21年経ってまたおふたりとご一緒できるなんて、役者を続けてきて本当に良かったと思います。
沢山の演出家の方がいる中で、定期的に岩松さんの作品に呼ばれることは、自分にとって襟を正すきっかけになります。きっと高いハードルが用意されていると思いますが、共演者の皆さんと共に乗り越えていく覚悟です!
河合優実(三沢アキラ役)
素敵な先輩方とともに岩松さんの舞台を経験できること、とても嬉しいです。稽古と本番を通してぜいたくな探究の時間を味わい尽くすことが、正直、今いちばんの楽しみではあるのですが、ドラマをもってお客さまとどのように出会い、どのように噛み締めてもらえるか、そこに自分の身体で辿り着かなければとも思っています。とても豊かで自由で厳しい道のりになりそうで、ワクワクしています。強い気持ちで臨もうと思います。
小泉今日子(大城ユイ子役)
私が岩松さんの戯曲に惹かれるのは、生と死、光と影、本当と嘘、そういうものの境界にはっきりと線を引かないからなのかもしれない。死にたいと思いながら生きる。生きたいと思いながら死ぬ。どちらも切実で、どちらも苦しい。
だから人は嘘をつく。そして嘘が本当になったり、本当が嘘になったりする。
今回、私が演じる元教師は作家になって小説を書きながらその境界に線を引こうとするのか。そんなこと出来っこないくせに。とにかく今私はワクワクしながらこの役をどう演じるのか考えています。