移住をテーマに現代の“新しい幸せのカタチ”を描く
菅田将暉×宮藤官九郎が岸善幸監督作で初タッグ、映画『サンセット・サンライズ』1月公開
2024.08.26 04:00
©︎楡周平/講談社 ©︎2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
2024.08.26 04:00
楡周平の同名小説を実写映画化した『サンセット・サンライズ』が2025年1月に全国公開されることが決定した。
監督は2023年の『正欲』で第36回東京国際映画祭最優秀監督賞と観客賞を受賞した岸善幸。脚本は、書いたドラマは必ず注目を集めるといえるほど常に話題作を連発し続ける宮藤官九郎。主演は『あゝ、荒野』(17)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞ほか数々の映画賞を受賞して以来、7年ぶりに岸監督とタッグを組んだ菅田将暉。異色のコラボともいえる豪華タッグで、近年特に若い世代にも注目され様々なメディアでも取り上げられている“移住”をテーマに、現代人の新しい幸せのカタチを描く。
本作は、都会から移住したサラリーマンと宮城県・南三陸で生きる住民との交流や、人々の力強さや温かさをユーモアたっぷりに描いたヒューマン・コメディ。その背景にあるコロナ禍の日本、過疎化に悩む地方、震災などの社会問題と向き合いながら、宮藤官九郎が岸善幸監督との異色のコラボレーションで豊かなエンターテインメントに転化させた。
物語の舞台は、新型コロナウイルスのパンデミックで世界中がロックダウンに追い込まれた2020年。東京の大企業に勤める釣り好きの晋作は三陸の町で4LDK・家賃6万円の神物件に一目惚れし、気楽な“お試し移住”をスタートさせた。仕事の合間には海へ通って釣り三昧の日々を過ごすが、東京から来たよそ者の晋作に町の人たちは気が気でない。一癖も二癖もある地元民の距離感ゼロの交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作だったが、その先にはまさかの人生が待っていた。
本作の主人公で、東京から三陸へ“お試し移住”する晋作は、自分に正直に生きるエネルギーで人の心を動かしつないでいくキャラクター。等身大の存在感を保ちつつ軽やかな息吹を晋作に吹き込んだ主演の菅田将暉は、『あゝ、荒野』を撮り終わった後、岸善幸監督と「次は笑える作品がいいよね」と話し、「沢山涙を流したからか自然と笑顔を求めていたように思う」と本作に出演した思いを振り返る。初出演となる宮藤官九郎の脚本については、「悲しみの先に笑顔を作ろうとする人たちの物語」で「岸さんの生活力と宮藤さんのセンス、お二人の想いが温かい願いとなってこの作品は生まれたんだと思います。」と豪華タッグで生み出された本作の魅力についてコメント。そして、笑顔でいっぱいの現場では「僕自身沢山笑い、ほんの少し泣きました。」と撮影時を振り返った。
岸監督は「晋作という人物の優しさや繊細さ、感情の振れ幅は見事で、現場ではただただ笑い転げていました。菅田さんの表現領域が広がっていくような瞬間があって、それを目の当たりにできたことが本当に嬉しかったです。 」と菅田と再びタッグを組んだ想いを語る。そして脚本の宮藤については、同じ東北出身でもあることから、原作の東北人の描写に笑い合ったと言い「自分にとっては初めてのコメディ作品ですが、宮藤さんならではの笑いを大切に演出することを心がけました。」とコメントした。
そして宮城県出身の宮藤は、本作の舞台・宮城県気仙沼市について「そういえば⾃分の地元を正⾯から描いたことはまだなかった」とし、「子供の頃は父親と南三陸で魚釣りをして遊んだりしてて、自分の好きな分野の話だし、舞台も方言も知っている土地と言葉だし、僕自身も地元に住んでテレワークで仕事できないかなと考えたことがあったので、他人事とは思えない物語でした。」と執筆時を振り返った。さらに菅田将暉については、これまで自身の脚本作品では“食”をあまり描いてこなかったことを踏まえて「(郷土料理のどんこ汁を)菅田君が本当に嬉しそうに食べているのが僕の映画じゃないみたいですごく好きです。」とコメントした。
映画化にあたり企画・プロデュースの佐藤順子は「コロナ後に2年振りに田舎に里帰りした時に、たった2年でガラッと変わってしまった町を見て、地方はどうなってしまうのか?と不安な気持ちになりました。空き家問題や地方と都会の交流で生まれる物語をこのチームで作ることにこだわりました。少しでも観客の皆さまに明るく新鮮な気持ちになってもらいたいと。本作の中に詰まった作りての想いを皆さんに届けられたら嬉しいです。」と製作のきっかけを語る。
併せて解禁された第一弾ビジュアルは、釣り好きの晋作が今まさに“なにか”を釣り上げた瞬間を切り取ったカット。「新しい生き方、釣れちゃった!?」のコピーと晋作の笑顔からは、“お試し移住”した先で思いもよらない人生と新しい出会いが待ち受けていることが分かるビジュアルとなっている。
菅田将暉(主演)コメント
岸善幸監督と『あゝ、荒野』を撮り終わった後、次は笑える作品が良いよねと話していました。沢山涙を流したからか自然と笑顔を求めていたように思います。そんな中、脚本に宮藤官九郎さんが加わると聞きました。上がってきた脚本は悲しみの先に笑顔を作ろうとする人たちの物語でした。岸さんの生活力と宮藤さんのセンス、お二人の想いが温かい願いとなってこの作品は生まれたんだと思います。沢山の方に届き、少しでも笑顔になってもらえたら幸いです。ちなみに目標通り撮影現場は笑顔でいっぱいでした。
僕自身沢山笑い、ほんの少し泣きました。映画『サンセット・サンライズ』宜しくお願いします。
岸善幸(監督)コメント
宮藤さんに初めてお会いしたとき、原作の東北人キャラについて笑い合うことができ、この作品を宮藤さんの脚本でつくってみたいと思いました。自分にとっては初めてのコメディ作品ですが、宮藤さんならではの笑いを大切に演出することを心がけました。
菅田さんとは7年ぶりの作品になりました。俳優としてどんどん新しい役に挑戦を続けていて、久しぶりにあった彼はとても大きな俳優になっていました。一つだけ、変わらないなあと思えたのは、役に向き合う姿勢です。晋作という人物の優しさや繊細さ、感情の振れ幅は見事で、現場ではただただ笑い転げていました。菅田さんの表現領域が広がっていくような瞬間があって、それを目の当たりにできたことが本当に嬉しかったです。
悲しみを癒すのに時間の流れというものがあるとしたら、もう一つ、悲しみを癒せるのは、人との出会いかもしれません。菅田さん演じる晋作を見ていてそう思えました。この映画を観る皆さんにもそれを感じてもらえたら幸せです。
宮藤官九郎(脚本)コメント
僕は宮城県出身なのに、そういえば⾃分の地元を正⾯から描いたことはまだなかったんです。子供の頃は父親と南三陸で魚釣りをして遊んだりしてて、コロナ禍の趣味として、また釣りを始めていたこともあって、自分の好きな分野の話だし、舞台も方言も知っている土地と言葉だし、僕自身も地元に住んでテレワークで仕事できないかなと考えたことがあったので、他人事とは思えない物語でした。震災の話になると、僕は疎外感を味わうというか、なんかこう切なくなるんですよね。ずっとモヤモヤしてたんだけど、それに対する答えを現時点で言葉にするならこういう感じかなとしっくりきたんです。それが僕の一番言いたかったことかなと思います。
自分の書いた映画で、こんなに食べるものが出てくるのは初めてなんです。東北って本来は食が一つの大きな売りなのに、正直今までピンときていなかったんですよね。どんこ汁を美味い美味いと言って晋作が食べるのは、自分で書いていても新鮮だったし、菅田君が本当に嬉しそうに食べているのが僕の映画じゃないみたいですごく好きです。