2024.06.13 05:00
2024.06.13 05:00
クリープハイプ尾崎世界観による小説『転の声』が、第171回芥川賞候補作に選出された。
第164回芥川賞候補作となった『母影』以来、尾崎世界観にとって3年半ぶりの中篇小説(約230枚)となる『転の声』。「文學界 2024年6月号」掲載時から話題を集め、7月11日(木)には同作を収録した単行本『転の声』が文藝春秋から発売される。
舞台はライブチケットの転売が今よりも市民権を得ている社会。ロックバンドのフロントマン・以内右手は、長引く喉の不調が招く不安に追い詰められ、とうとうカリスマ“転売ヤー”に縋りついてしまう。
「俺を転売してくれませんか」と自分たちのチケットに“プレミア”が付いていく。高額取引の痕跡をファンのSNSで確認するたびに、湧き上がる後ろめたい喜び。エゴサ文学の到達点であり、まさに尾崎世界観にしか書けない虚実皮膜のバンド小説となっている。