2024.04.12 19:00
愛おしいものを常に持ち歩きたい。
誰しもが抱いたことのある感情だと思う。
特に子供の頃は顕著なものである。
大好きなお菓子や玩具やぬいぐるみ、そして飼っているペットまでも。
どんなに大きいものでも無茶言って持っていきたいと駄々をこねていたのも懐かしい記憶だ。
同時にこう思っていた。
これを小さくしてポケットに詰め込めたらどれだけ嬉しいのだろうと。
そしてもうひとつ小さい頃から叶わぬ夢があった。
おとぎ話や漫画で目にすることの多かった事象であり数々の不思議な道具や魔法で変身、または最初からその世界観である小人の世界だ。
ある時は寝てる間に靴を直し、ある時は茶碗で川下り、ある時はお人形ハウスの豪邸で牛乳のお風呂、そしてまたある時は人の胸ポケットに入り日常生活。
今回この両方を叶えてくれるワクワクファンタジーを展開するのは、これまでのそれとは程遠い極道と警察だ。
最重要危険人物とされるヤクザの組長・三黒。
そしてそれを追えと命令された組織犯罪対策課の新米女刑事・新谷。
そんな2人が初めて対面した時、突然男が腹痛を訴えみるみるカラダが着せ替え人形サイズに縮みます。
そしていつの間にか女のポケットに忍び込み奇妙な同棲生活がはじまる。
女刑事は手柄を求められ、ミニ組長はその情報を世話になっている恩として返してやると。
こうして新たな凸凹バディが誕生したのである。
次々と事件に巻き込まれていく2人(1人ポケットサイズ)、なぜ小さくなったのか、果たして元に戻れるのか、ガサツな組長に苛立つも要所で筋の通った漢気に時折ときめくこともある女刑事の心やいかに……も、もちろん注目だが、この現代社会で働き躓きそうな女性を組長のそのカラダとは裏腹の大きな言葉で後押しされてく様は、我々の背中をもいつの間にか押してくれている。
警察とヤクザ、ほろりとぽろりの狂依存『極道パラサイツ』。
まさかの展開です。
ぜひ。