2023.12.15 08:00
©2023“霧の淵” Nara International Film Festival
2023.12.15 08:00
三宅朱莉と水川あさみが出演する『霧の淵』が2024年4月に公開されることが決定し、ティザービジュアルが解禁された。
本作は実際にある老舗旅館を舞台に、今この時代だからこそ残したい“時間”を静かに美しく映し出す物語。監督を務める村瀬大智は京都芸術大(旧:京都造形芸術大)在学中に『忘れてくけど』『彷徨う煙のように』『赤い惑星』を制作。短編映画『忘れてくけど』はカンヌ国際映画祭のショートフィルムコーナーに出品され、卒業制作『ROLL』は、なら国際映画祭の学生作品部門NARA-waveで観客賞を受賞した。
長編商業デビューとなる本作は同映画祭のプロジェクト「NARAtive」にて制作され、監督自ら単独で川上村に長期滞在し、現地の人々と交流することから生まれた。そして本作で第72回サン・セバスチャン国際映画祭の新人監督部門に最年少で選出。「奥深い日本の暮らしを描いている」と賛され、アジア最大規模の映画祭である第28回釜山国際映画祭のA Window on Asian Cinema部門でアジアプレミアを遂げた。
主人公は、奈良県南東部の山々に囲まれたある静かな集落にある代々旅館を営む家に生まれた12歳のイヒカ。数年前から父は別居をしているが、母の咲は父との結婚を機に嫁いだこの旅館を義理の父・シゲと切り盛りしている。そんなある日、シゲが姿を消してしまう。旅館存続の危機が迫る中、イヒカの家族に変化の時がやってくる。
奈良県出身の新人俳優・三宅朱莉は本作の主演にオーディションで抜擢。老舗旅館を営む家に生まれたイヒカ役を演じ、子供から大人への揺れ動く佇まいを瑞々しく表現する。イヒカの母・咲を演じる水川あさみは『喜劇 愛妻物語』『滑走路』でキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞ほか多くの映画賞を受賞し、近作に『沈黙の艦隊』『唄う六人の女』等に出演する実力派俳優。別居中の旦那の実家の旅館を切り盛りするという複雑な状況の中、娘の成長を見守る母親を真っすぐに演じる。
さらに、イヒカの父・良治を演じるのは『母性』『ケイコ 目を澄ませて』などの話題作に多数出演する俳優・三浦誠己。イヒカの祖父・シゲ役としてはTBSドラマ『水戸黄門』シリーズ、ANBドラマ『暴れん坊将軍』といった人気ドラマシリーズをはじめ、数々のVシネマの名作に出演する堀田眞三が出演する。
解禁されたティザーチラシビジュアルには、娘と母の二度と戻らない一瞬が切り取られており、裏面にはどこか懐かしく、親しみのある目線で撮影されたシーンが掲載。誰しもが持つ「家族の物語」が感じられるデザインとなっている。
三宅朱莉(イヒカ役)コメント
この「霧の淵」という作品の出演が決まった時、喜び以上に驚きや不安がありました。
それまで映画に出演した経験もなく、不安な気持ちもありました。
ですが、いざ現場入りしてみると、監督さんやスタッフさん、共演者の方々が私のことをイヒカとして接してくれて、イヒカとして生活する事で、とても自然体で撮影に臨むことができました。
奈良の川上村で過ごす、日常を切り取った様な暖かい作品です。ぜひ劇場でご覧下さい。
水川あさみ(イヒカの母・咲役)コメント
奈良の川上村で住むようにして撮影した日々を思い出します。
山で椎茸や山菜をとったり、薪で火を焚べたり、沸騰するお湯の湯気すら愛おしい時間でした。
わたし演じる咲のモデルとなった朝日館の女将から、色んな話を伺う事で役が生きてきて映画に反映される。
東京で暮らすわたしには全てが贅沢で素晴らしい経験でした。
それぞれ登場人物の想いや葛藤はもちろんですが、雰囲気や匂い、そんなものまで感じてもらえたら嬉しいです。
三浦誠己(イヒカの父・良治役)コメント
大好きな出演作が、またひとつ増えました。
撮影現場で何度も映画が「育つ」瞬間を体験でき、また演技の中で導かれるように動く自分に鳥肌が立ちました。
この映画は村瀬監督のもと、素晴らしいチームの力と奈良県川上村の方々の協力によって「育てられた」映画だと思っています。
素晴らしい脚本が、撮影現場の様々なアンサンブルによって超越していく瞬間がありました。
是非、映画館で「風の音」「森の匂い」を感じて下さい。
堀田眞三(イヒカの祖父・シゲ役)コメント
令和4年3月23日、古来より神秘の力が宿り、悠久の歴史を誇る奈良県の奥吉野川上村、朝日館さんにてクランクインしました。
峰にはまだ雪があちこちにあり、以来 山全体 吉野桜 満開の絶景 に至る 大自然の元 3週間撮影しました。安全成功祈願祭、さざれ石、てんから釣り、見事な苔・石垣 、源流館 、ジビエのロールキャベツ、鹿の焼き肉弁当
春増さんのお話、撮影では百々カメラマンの笑顔に助けられ、尽きぬ想い出ばかりです。
そして何よりの喜びは皆々さんに 凄ーく良くして頂け心豊かな毎日を過ごさせていただいた事です。
『霧の淵』に関わる皆様、本当にありがとうございました。
村瀬大智監督コメント
『霧の淵』は、川上村で川上村の皆さんと作った大事な映画です。
2020年から川上村で長い時間を過ごさせてもらい、撮影も沢山の村民の方々にご協力やご出演いただきました。
そして『霧の淵』は、過疎化が進む村で老舗旅館を営む家族の映画です。
この映画の舞台となった奈良県の川上村は、2018年には人口減少率では全国でワーストになってしまった村です。
僕はこの村出身でもないし、縁もゆかりもありませんでした。言ってしまえば他所者です。
他所者には分からないこともあれば、他所者だからこそ感じるものもあります。
村内の人が住まなくなってしまった集落、ダムの底へと続く旧道。
かつての人々の生活の痕跡。
何かを永遠に保存していたい気持ちと衰退の過程の瞬間にある無常を美しいと思ってしまう矛盾した気持ちを抱きながら、この映画は出来上がりました。
過去、現在、未来と、フレームの外へ伸びてゆく川上村での時間を体感していただけたら嬉しいです。