2023.11.28 07:00
©2024「52ヘルツのクジラたち」製作委員会
2023.11.28 07:00
2024年3月に全国公開される杉咲花主演映画『52ヘルツのクジラたち』からティザービジュアルが解禁された。
原作は2021年の本屋大賞を受賞し、現在80万部を売り上げる町田そのこによる傑作ベストセラー小説。「52ヘルツのクジラ」とは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かず、何も届けられないため、世界で一番孤独だと言われている。
監督を務めるのは『八日目の蝉』『銀河鉄道の父』の名匠・成島出。主演の杉咲は、自分の人生を家族に搾取されてきた女性・三島貴瑚を演じる。ある痛みを抱えて海辺の街に越してきた貴瑚は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれる声を発することのできない少年と出会う。彼との出会いが呼び覚ますのは、貴瑚の声なきSOSを聴き救い出してくれた、今はもう会えない安吾との日々だった。
解禁されたティザービジュアルには、東京から海辺の街に移り住んだ貴瑚が広い海を望むテラスで目を閉じて空を仰ぎ、耳を澄ます姿が写されている。撮影したのは若手写真家・八木咲で、撮影場所は劇中で貴瑚の住む一軒家の海に向かってせり出した象徴的な六角形のテラス。この一軒家には、監督をはじめ制作チームが運命的に出会ったという大分の海辺の高台にある日本家屋が選ばれた。海中を思わせる幻想的なブルーがかった風景の中、貴瑚は何を想い、誰を感じ、どんな声を聴こうとしているのだろうか。そこにおかれたコピー「ここに、あなたを感じる」の<あなた>とは。
また、主演の杉咲花より今年8月~9月に東京と大分を中心に行われた撮影のクランクアップコメントが到着。切なる祈りを込め、全身全霊で臨んだ本作への思いを語っている。
杉咲花 コメント
2ヵ月間の暗闇を走り続け、最後のシーンを撮り終えた時、私たちはあまりにも美しい夕陽に遭遇しました。
演じ手である私がやり切ったと感じることに意味はあるのだろうかと自問しますが、やっぱり完成する映画には、この世界の何かに結びついてほしいという淡い期待を覚えます。
そしてこの物語に気づかされた感覚を、時代とともに更新し続けていくことが、私たちに託された大きな課題なのだと思います。
陽が沈んでしまっても、その夜を越えようとするたったひとりの誰かへ、朝の光とともに届く作品となることを願って。