コロナ禍でわずかな上演だった宮本亞門演出作
東山紀之主演舞台『チョコレートドーナツ』10月より再演決定、新キャストに岡本圭人
2023.06.24 13:20
2023.06.24 13:20
2023年10月8日よりPARCO劇場にて、開場50周年記念シリーズ『チョコレートドーナツ』が再演されることが決定した。
本作は、70年代のアメリカのヒットナンバーを散りばめた華やかなショーシーンと緊迫の法廷ドラマを織り交ぜつつ、愛と希望、未来を求めて苦闘する人間の姿を感動的に謳い上げるヒューマンドラマ。ゲイの男性が育児放棄された障がいを持つ子供を育てたという実話に着想を得て製作された映画『チョコレートドーナツ(原題:ANY DAY NOW)』を元に、宮本亞門演出で2020年に世界で初めて舞台化。コロナ禍でのわずかな上演となっていたが、今回再演されることとなった。
映画でトニー賞受賞俳優アラン・カミングが演じた主人公を東山紀之が演じ、その卓越したダンス、唄、演技で観客を魅了する。ルディと共に障がいのある少年マルコを育てようと世間と闘う検察官ポールには、今回からの新キャストとして岡本圭人。『Le Fils息子』(2021年)や『4000マイルズ〜旅立ちの時~』(2022-2023年)など舞台での活躍が目覚ましい岡本が新たなポールに挑戦する。また、ダウン症のある少年マルコ役には、初演同様、実際にダウン症のある青年のオーディションで丹下開登、鎗田雄大、鈴木魁人がトリプルキャストとして選ばれた。そのほか、新たなキャストの山西惇や初演から続投する高畑淳子らといった豪華な俳優陣も集結した。
先日行われたビジュアル撮影では、初演時にマルコ役を務めた丹下開登が「楽しかった!」と当時の公演についてコメント。撮影の合間にも丹下が「東山さんかっこいい」と言うと東山が「そういうのは(カメラが)回っている時に言うんだよ」と返したり、岡本と丹下も「カイト!」「ケイト!」と呼び合いハイタッチをするなど、和気あいあいとした雰囲気だったという。
なお、本作は東京公演を皮切りに11月には地方を巡演する。
原作:トラヴィス・ファイン コメント
『チョコレートドーナツ(原題:ANY DAY NOW)』がパルコの素晴らしいチームと東山紀之さん、岡本圭人さん、そして才気と想像力あふれる演出家の宮本亞門さんを始めとする最高のキャストとスタッフによって、再び上演されることにとてもワクワクすると同時に大変光栄に思っています。コロナ禍がこの地球上の私たち全員に強いた、張り詰めた静寂と極度の孤立の後、みんなで劇場に戻り、あの神聖な空間に互いに並んで座ることができることは、本当に言葉で表せないほどありがたい贈り物です。私が映画脚本の中で創り上げたキャラクターたちが再び命を吹き込まれる公演初日。そこに立ち会える瞬間が待ちきれません。
翻案・脚本・演出:宮本亞門 コメント
「家族とは? 愛とは? 人を思う気持ちとは?」この物語は、1979年の実在したゲイと公言するルディを元に作られました。麻薬患者の母から育児放棄されたダウン症のある子供を、ルディは家族のように育てようと奮闘します。しかしLGBTQ+の人たちが家族を育てることは、当時のアメリカでは計り知れない困難を強いられることでした。今もまだ同性婚が認められない日本で、この再演の意味を深め、これからの「あるべき姿」また「あってはならないこと」は何かを、共に考えつつ稽古できればと思っています。
ルディ役:東山紀之 コメント
『チョコレートドーナツ』は素晴らしい作品なだけに、たくさんの方に見ていただきたいと思っていたので、もう一度チャンスをいただけて大変ありがたいです。
さらに、今回は圭人との共演ということで、赤ちゃんの頃に抱っこしていた子が大きくなって、一つの作品で共演できるというのは不思議な感じがしますが、大きな縁も感じます。昔、森光子さんと岡本健一と共演させていただいたときに、圭人があまりに森さんを好きすぎて、座っている森さんにジャンプで飛び込んで行って…ほぼ飛び蹴りなんですよ。それを見てみんなで青ざめるっていうことがあったんですけど(笑)その子と同じ舞台に出演するというのは僕自身、胸に迫るものがあります。
前回、中止となって見ることができなかった方もいらっしゃると思います。これまでよりは生の舞台を安心してお届けできる時期になったので、この普遍的なテーマの作品の魅力を皆様に感じてもらえるよう、時間と場所とを共有できたらなと思います。
ポール役:岡本圭人 コメント
『チョコレートドーナツ』の映画版を公開当初に拝見しました。美しさの中にある儚さ、人間の強さや脆さ、愛情と優しさ、沢山の感情がちりばめられている作品でした。とても自分の心に響き、そして僕の人生を変えた作品でもあります。
東山さんは僕が小さな頃から抱っこしてもらったり…(笑)自分が生まれた時から成長を見守ってくれていた方なので、自分の心を預けて一緒に作品をつくる事ができるとてもいい環境だと思います。
今回は再演ということで、稽古場に入ってどういう化学反応が起きるか今からとても楽しみです。真摯に役と向き合って、自分自身の心に響いたように、お客様にも作品を届けられるよう一生懸命頑張りますので、みなさんぜひ楽しみにしていてください。