2023.06.07 10:00
Ⓒ2023『鯨の骨』製作委員会
2023.06.07 10:00
落合モトキとあのがW主演する映画『鯨の骨』(くじらのほね)が2023年秋より渋谷シネクイント他にて劇場公開されることが決定し、場面写真が解禁された。
監督は、濱口竜介監督と共同執筆した『ドライブ・マ イ・カー』 が米アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、話題沸騰の配信ドラマ『ガンニバル』の脚本も手がけた大江崇允。いま世界が注目する映画作家が、リアルとバーチャルが混濁する現代の身寄りのなさをミステリアスな迷宮ファンタジーに昇華させた。
結婚間近だった恋人と破局した不眠症の間宮は、マッチングアプリで唯一返信をくれた女子高生と会うが、女子高生は間宮のアパートで自殺してしまう。間宮はうろたえて山中に埋めようとするも、気が付けば死体は消えていた。間宮はARアプリ「王様の耳はロバの耳(通称ミミ)」の中で、死んだ女子高生とそっくりな少女“明日香”を発見。明日香は「ミミ」を通じて再生できる動画を街中で投稿し、動画目当てのファンたちが街を徘徊するカリスマ的存在だった。 明日香の痕跡を追いかけるうちに、現実と幻想の境界が曖昧になっていく間宮。いったい明日香とは何者か? 彼女は死んだ少女と同一人物なのか? そして本当に存在するのだろうか?
海の底には、“鯨の骨”の栄養を求めて群がる魚たちがいるという。明日香をさがす人々も、半バーチャル世界の底に潜り込み、ほのかな光を求めて集まってくる。果たして彼女は救いをもたらしてくれる希望か、それとも現実から目をそらし続けるための底なし沼か。誰もが確実ななにかを欲しながら見つけられずにいる時代の不安定さを反映しながら、ときに切実に、ときにユーモラスに展開する“少女探し”と今を生きるすべての人を大江崇允がリンクさせる。
まったくの未知だった拡張現実アプリにはまり込んでいくサラリーマンの間宮を演じたのは『桐島、部活やめるってよ』『素敵なダイナマイトスキャンダル』の落合モトキ。子役からの長いキャリアを持つ実力派が、無気力とナイーブの狭間を漂う主人公を好演。そして孤独な人々を引き寄せる明日香には強烈な個性で注目を集めるミュージシャン・あのを起用。 あのという存在が象徴している今の時代の空気が見事に役に生かされている。また、明日香に憧れ「ミミ」内で新たなカリスマを目指す女性・凛役に横田真悠、 間宮の恋人・由香理役に大西礼芳、明日香の熱狂的な信者・しんさん役に宇野祥平が扮し、脇を固めている。
さらに、本作が本年度第27回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決定。韓国では釜山国際映画祭に次いで2番目の歴史を誇る同映画祭は、今年は6月29日から7月9日にかけて開催される。
大江崇允 コメント
「都会の夜は深海に似ている」
このフレーズが映画の発端であり、またその全てです。
深海では、海底に落下した鯨の骨に群がり、その栄養を吸って生きる小さな生物群集が存在しています。それらは鯨の骨の栄養を吸い尽くすと、やがて骨と一緒に消えてしまう儚い生物です。
そんな生物たちですが、どうやら薄っすらと発光しているそうなのです。
僕には深海の点在する光が、まるで空から見た都会の夜の灯りと重なりました。
僕が四角い水中眼鏡をかけて見ている世界、それがこの映画です。
一人でも多くの人にこの眼鏡を楽しんでいただけたら嬉しいです。
落合モトキ コメント
大江監督とイメージを合わせながら撮影していましたが、完成した作品を観た時自分の中には存在しないジャンルの映画でした。なので皆さんに観て頂いた後の感想が非常に楽しみな作品です。撮影中、印象に残ってるのはあのちゃんを追いかけるシーン。あのちゃんは信じられないくらい足が速くて久々に本気で走りました。でもそれが可愛らしく見えたり。是非劇場にお越し頂けると嬉しいです。宜しくお願いします!
あの コメント
ただ無性に冷たくて息もうまく吸えないそんな時期に撮影し、撮影しながらまるで深海にいるような、何度も明日香が自分と重なっては濁って消えていく、そんな体験をしました。鯨の骨でしか味わえない何とも奇妙な浮遊感を皆様にも楽しんでいただきたいです。