第75回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞
ルッキズムと現代階級社会をテーマに描く転覆劇 『逆転のトライアングル』来年2月公開
2022.12.22 12:00
Fredrik Wenzel © Plattform Produktion
2022.12.22 12:00
今年の第75回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した『逆転のトライアングル』が、2023年2月23日(木・祝)よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開されることが決定し、ポスターと予告編が公開された。
『フレンチアルプスで起きたこと』(2014年)で第67回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞を、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(2017年)で第70回カンヌ国際映画祭最高賞であるパルムドールを受賞したリューベン・オストルンド監督が、カンヌ史上3人目の2作品連続パルムドール受賞という快挙を果たした本作。驚くべき人間観察眼とセンス抜群のブラックユーモアで、毎度観客を絶妙に気まずい気分にさせてくれるスウェーデンの鬼才が選んだ次なる標的は“ファッション業界とルッキズム、そして現代階級社会”。観る者の価値観をひっくり返す、世紀の大逆転エンタメが誕生した。
モデル・人気インフルエンサーのヤヤと、男性モデル・カールのカップルは、招待を受け豪華客船クルーズの旅に。リッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界。しかしある夜、船が難破してしまう。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態で、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃婦だった――。
主演を務めるのは『キングスマン:ファースト・エージェント』のハリス・ディキンソンと、残念ながら本作が遺作となってしまったモデル出身のチャールビ・ディーン。フィリピンのベテラン女優ドリー・デ・レオンや名優ウディ・ハレルソンらも参加し、弱肉強食のサバイバル劇が繰り広げられる。さらに、第80回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)と、トイレの清掃婦を演じたドリー・デ・レオンの助演女優賞の2部門でノミネートを果たしている。
今回公開されたポスターは、セレブを乗せた豪華客船が傾きながら炎上し、彼らを襲う災難を予期させるデザインとなっている。「狂った時代を、笑い飛ばせ。」のキャッチコピーは、時代の闇をユーモアをもって斬りまくるオストルンド監督らしい一言。男性ファッションモデルの主人公・カールが高級ブランドと庶民派ブランドを演じ分けるシーンから始まる予告編は、冒頭からオストルンド節がさく裂している。
世界三大映画祭の中でもゴージャスで世界中のセレブが集まるカンヌ国際映画祭で上映された際には、そのスクリーン上で繰り広げられる想像をはるかに超えた“地獄絵図”っぷりに場内は爆笑の渦に包まれたという。そのまま最高賞パルムドールを受賞し、“異色のパルムドール作品”と囁かれる本作。大逆転してしまった世界に翻弄される登場人物たちの混乱、混沌、そして残酷なまでに晒される人間の本性が描かれる。