2022.12.01 19:00
Eminem「Cleaning Out My Closet」/2Pac「Dear Mama」
2022.12.01 19:00
エミネムのレーベル〈Shady Records〉から2003年にデビューしたラッパー、50セント。1stアルバム『Get Rich Or Die Tryin’』は全米で900万枚を超える大ヒットとなり、アメリカで最も売れたヒップホップアルバムの10位にランクインしている。そんな彼が、ヒップホップ業界に大きなインパクトを残した2人のアーティスト、エミネムと2Pacについて語った。
ジャーナリストBrian J. Robertsとのインタビューに出演した50セント。彼は人種と環境という要素がいかに2人のラッパーのリリックに影響を与えたかということを語っている。
「例えばヒップホップ文化のなかで深く、多作だけど全く違うアウトプットをした2人を比べてみる。例えばエミネムがドラッグ中毒の母親について歌ったときは、“ごめんさない母さん/あなたを傷つけるつもりじゃない/あなたを泣かせるつもりじゃない/でも今夜は心のクローゼットの中を整理して吐き出す”という感じだ。
そして2Pacがドラッグ中毒の母親についてラップしたときは、“あなたはクラック・コカインをやっていたけど、常にブラック・クイーンだった”というリリックだ。2人の間では、怒りのトーンが違うんだ。エミネムの怒りは、“本当はもっと良い状況であるべきなのに悪くなってしまったこと”に対して怒りを表している。でも2Pacのリリックは、母親に対する愛のようなものでもある。“大変だったけど、あなたしかいなかった”みたいな。
“物事が上手くいくはずだった”と期待する白人の視点に対して、上手くいっていないことをデフォルトとして受け入れるアフリカン・アメリカンの視点の違いが、この2曲のトーンの違いとなっている。2曲とも同じシナリオだけど、表現方法が違うんだ」
エミネムの「Cleaning Out My Closet」と、2Pacの「Dear Mama」を例に挙げ、人種の違いによって怒りのトーンが変わるとコメントした50セント。「Cleaning Out Me Closet」はエミネムの『The Eminem Show』に収録されているヒット曲であり、母親に不当な扱いを受けて育ったことに対する怒りについてラップしている。一方で2Pacは「Dear Mama」にて、貧困のなかシングルマザーとして2Pacを育てた母親に対する感謝とリスペクトの気持ちをラップしている。