ヒップホップで社会を生き抜く! 第8回
30代後半でグラミーに初ノミネート、フレディ・ギブスの軌跡から見る“遅咲き”のメリット
2022.10.30 18:00
Photo: Pat Martin
2022.10.30 18:00
「数年間は学ぶための期間だった」
30代後半でラッパーとして大成した彼は、グラミー賞にノミネートされた2021年に、Vulture誌のインタビューにて遅咲きのメリットを以下のようにコメントしていた。
「最初、レーベルとの契約すること自体は難しくなかった。ラップを始めてから1年か2年くらいでレーベルと契約をしたんだ。契約をするのがどういうことかあまり理解していなかった。それから半年でレーベルから降ろされて、本当に早かった。だから自分だけで成功することを学ぶ必要があったんだ。
10年前の俺に、グラミーノミネートは10年かかると言ったらラップを辞めていたかもしれない。だがそれは若い頃の考えだ。10年も続けないといけないのかよ……と思っていたかもしれない。この数年間は学ぶための期間だった。今いるレベルに辿り着く準備ができていなかった。今は準備できている。
22歳までに成功しないと、もう死んだのと同じことだって考える奴らが多いだろ。若くして全てを手に入れて、全てを失うよりは、遅くなったとしても、後で手に入れることを俺は選ぶよ。俺が売れようと必死だった10年前に売れたラッパーたちは、皆いなくなってしまった。その内の多くは、ライブをやっても売上にならないかもしれないし、原盤権も持っていないと思う。ストリーミングから金も得ていないだろう。キャリアを長生きさせることが、俺にとって重要なんだ」
遅咲きが故に、キャリアを長続きさせることができているフレディ・ギブス。彼の『$oul $old $eparately』もグラミー賞にノミネートされることが期待されている。