©THRONE / KARAVAN Pictures
2022.09.15 08:00
11月4日(金)より、シネスイッチ銀座、ユーロスペース他にて全国順次公開される映画『桜色の風が咲く』から予告編と場面写真が公開された。
本作は、9歳で失明、18歳で聴力を失いながらも世界で初めて盲ろう者の大学教授となり、東京大学の教授として教鞭をとっている福島智と母・令子の実話にもとづく物語。 2003年TIME誌による「アジアの英雄」に選出され、現在は、東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野教授を務める福島智の幼少期から大学受験までの姿を描く。また令子が、盲ろう者である智との日常の中から考案した、リアルタイムで言葉を伝える新たなコミュニケーションの手段“指点字”。 現在、多くの人々に希望を与え続けているその“指点字”誕生に至る、知られざる物語でもある。
教師の夫、三人の息子とともに関西の町で暮らす令子。末っ子の智は幼少時に視力を失いながらも、家族の愛に包まれて天真爛漫に育つ。やがて令子の心配をよそに東京の盲学校で高校生活を謳歌。だが18歳のときに聴力も失う……。暗闇と無音の宇宙空間に放り出されたような孤独にある息子に立ち上がるきっかけを与えたのは、令子が彼との日常から見出した、“指点字”という新たなコミュニケーションの“手段”だった。勇気をもって困難を乗り越えていく母子の行く手には、希望に満ちた未来が広がっていく。
12年ぶりの主演を務めるのは、自身も3人の子供を育てながら活躍する小雪、福島智の青年期を演じるのはめざましい活躍の田中偉登。夫・正美役に吉沢悠。ほかに、リリー・フランキー、朝倉あき等が顔を揃える。監督は、『最後の命』『パーフェクト・レボリューション』の松本准平が務める。
この度公開された予告編には幼少期に右目の視力を失いながらも、3人兄弟の末っ子として天真爛漫に育つ智と母・令子や家族のユーモアにあふれる、楽しい日々が綴られる。しかし高校生になった智は聴力をも失ってしまい苦悩するが、それでも母・令子と智は前を向いて、「指点字」という方法にたどり着く様など、諦めずに未来を向いていく母子の姿が描かれ、これが実話である重みとともに心に深く響く予告編となっている。
さらに本作で半生が描かれる福島智からのコメントも到着した。
福島智 コメント
私・福島智は今、59歳。母・令子は今、89歳。私は東京で妻と、母は神戸で一人で、おかげさまでまずまず元気にすごしています。この映画は、私のごく幼いころから、20歳ころまでの母と私の歩みを描いた作品です。シナリオを20バージョン以上も拝見し、いろいろと感想や意見をお伝えしました。また、母・令子役の小雪さんや智役の田中さんたちとも直接お会いして、雑談もまじえながら、点字や指点字の練習を一緒にしました。なので、私の心の中にはこの映画が鮮やかに息づいています。
実話に基づいているとはいえ映画ですので、さまざまな脚色やフィクションは当然含まれています。それでも、幼いころの義眼のエピソードや運動療法に取り組んでいた時のエピソードなど、事実に基づいていることも少なくありません。中でも、1981年の3月のある朝、「病院に遅れるで」と、文句を言いに台所に行った私に、母が突然、両手の指で私の指に妙なことをし始めたこと、つまり、「指点字」の始まりの場面は、現実と映画がそのまま連続しているように感じました。
ただし、小雪さんは母よりも指が細く、背がずっと高い。セリフもすっきりした東京言葉で、関西のおばちゃん言葉ではない。だけど、共通点もあります。それは、「生きるパワーがある」ということです。